「韓国代表は暗黒時代にある」プレミア12で予選敗退の「屈辱」を母国メディアが猛烈批判…侍ジャパンと対照的に世代交代が進んでいない現状…敗因分析は?
プレミア12のグループリーグBの3試合が17日、台湾で行われ、日本がキューバに7-6で競り勝ち、台湾が豪州に11―3で快勝したため、1試合を残して2勝2敗の韓国の予選敗退が決定した。韓国メディアは「屈辱」「台北の惨劇」「暗黒時代」などと厳しい論調で大会の敗因を分析し、2026年のWBC、2028年のロス五輪に向けて世代交代が進んでいないことを批判した。
主力に故障者が続出してベスト布陣組めず
2008年の北京五輪で星野ジャパンを粉砕して金メダルを獲得し、2009年のWBCではイチロー率いる王ジャパンを決勝で苦しめ、2015年のプレミア12の初代王者である韓国がグループリーグで敗退した。
初戦の台湾に3-6で敗れ、続くキューバに勝ったものの日本にも3-6で敗れて16日のドミニカ共和国戦では6点差を跳ね返す大逆転勝利でスーパーラウンド進出へわずかに可能性を残していた。しかし、台湾が3勝目を挙げたため、残る豪州戦に勝っても、直接対決で台湾に敗れているため望みは絶たれた。
韓国メディアは厳しい論調でこの結果を報じた。
「ひどい」との見出しを取り「韓国野球は暗黒時代にある」と伝えたのは「マニアタイムズ」だ。
「国内リーグでは1000万人の観客動員時代の到来を告げたが、国際大会では通用していない。“(プレミア12のような)Bクラスの大会で負けることはたいした問題ではない”と自己満足している人もいるだろうが、韓国はAクラスの大会でも惨敗している」
今大会では主力メンバーが故障などで揃わなかった。投手陣では、KBOリーグの最多勝ウォン・テイン、160キロを投げ昨年のアジア大会優勝メンバーのムン・ドンジュ、今季9勝左腕のソン・ジュヨンらが怪我のため参加できず、最速158キロを誇るサイドハンドのイ・ガンジュンはブルペンでの投球練習中の肘の痛みで欠場した。野手では昨年まで4番を務め、2023年の2冠王で今季24本、89打点のノ・シファン、今季MVPのク・ジャウク、大物新人のキム・ヨンウン、今季打率.316で4割を超える出塁率を誇るキム・ジチャンらも怪我で離脱。今季打率.286、26本、96打点のカン・ベクホ、メジャーも注目している俊足巧打のユーティリティプレーヤー、キム・ヘソンらの欠場も響いたという。
だが、同メディアは「主力が欠場したことが影響したという声もあるだろう。それは韓国だけでなく他のチームも同様の状況だ」とした上で、今回の代表メンバーの最年長が34歳の捕手のパク・トンウオンという急速な世代交代を問題視した。
「世代交代の名の下に彼らはベテラン選手を遠ざけてしまった。世代交代は年齢の問題ではない。34歳のパクのようにスキルが高く、情熱的な選手であれば、年をとっていても代表に入れるべき。それが勝利の方法だ。世代交代は選手層が厚いときに行われるべきだ。今の韓国はどうだ?選手がいない今日では、何らかの理由で代表に参加することを許されない選手がいるのが現実だ」
さらに監督、コーチの采配、指導力についても「選手を責めるという受け身の指導法から抜け出せず、過去にとらわれているコーチングスタッフの考え方も変えていかなければならない」と批判した。
「スターニュース」は「奇跡は起きなかった」と憂いた。
「怪我人が多く大会前から期待値は下がっていた」と今回は故障者が続出してベストな布陣を組めなかったことを敗因にあげたが、同メディアも「国際舞台での競争力を徐々に失っている」として、WBCでは、2013年、2017年、2023年と3大会連続で予選リーグを突破できなかったことを指摘した。
「国際的に通用する先発投手の不足や、常に指摘されてきた打線の弱体化は今大会でも続いた。クァク・ビンを除いて先発投手は4イニング以上持たず、3試合で打率.455だったパク・ソンハンを除いて打線は一貫性を欠いた。2026年のWBCと2028年のロサンゼルスオリンピックへ向けて世代交代の真っ只中にある韓国の野球は再び深刻な問題を抱えている」とした。
「台北の惨劇」とグループリーグ敗退を伝えた「OSEN」が「決定的な敗因」としてあげたのは、克服できなかった「初戦のジンクス」だ。
2017年のWBCはグループリーグの初戦でイスラエルに敗れ、2023年のWBCでも同初戦で豪州に敗れている。韓国は、13日の初戦の台湾戦に万全の準備を整えるため、5日も前に台湾入りし、台湾のプロチームとの練習試合などを行い、現地の環境に順応するのに十分な時間を持ち、早い段階で台湾の先発が左腕のリン・ユーミンである情報を得て、その分析に多くの時間を費やした。
「若手選手で構成された代表チームの雰囲気は、明るく近年の国際大会の中でも最高と評価された」という。
「台湾打線はアンダースローに弱い」という分析の上、5年で総額107億ウォン(約12億円)の契約をKTウイズと結んだ“107億ウオンのサブマリン”のコ・ヨンピョを先発に抜擢したが、2回に2本の2ランを浴びるなど一気に6失点して主導権を台湾に渡した。
同メディアは「18日に豪州に勝ったとしても憂鬱な帰国になる。2026年のWBCと2028年のロス五輪に向けて世代交代が進むと言われているが、結果的に台湾に敗れたショックが悔しく響いた」と伝えた。
韓国「デイリースポーツ」は「先発投手の不振が痛かった」と敗因をそこに求めた。中継ぎに負担が回り、グルーブリーグ4連戦の中で、1試合平均5.75人の投手がマウンドに立ち、リュ・ジョンイル監督は「先発陣がすぐに崩れてしまうので、中継ぎに負担がかかり続けている」と訴えたという。
同メディアは「先発投手は大会が始まる前からチームの弱点だった」とし、ムン・ドンジュ、イ・ウィリ、ウォン・テインらのKBOリーグを代表する若手の先発投手の欠場を指摘した。そのためチームは14人のロースターの大部分を中継ぎ投手で固め、先発投手はクァク・ビン、コ・ヨンピョ、イム・チャンギュの3人だけ。「先発の弱点を強固なブルペンで克服する計画だったが、予想外の先発投手の不振が続いたため、序盤の失点が影響するパターンが繰り返された」と分析した。
同メディアは、「日本の投手陣は、現在世代交代が進んでいる」と、高橋や才木、早川ら若手の先発陣が揃う日本と比較した。
KBO関係者の「昨年のWBC後にキム・グァンヒョン、ヤン・ヒョンジョン、リュ・ヒョンジンらが代表を引退したことで先発ローテーを牽引する選手が不足しているのは事実だ。ウォン・テインが怪我で欠場するなどの主力選手の悪いニュースもあり、チームは大きく悪化している」というコメントを伝えた。
「国民スポーツ」は「恐れていたことが現実になった」として同じく「先発投手の弱体化と4番不在」を敗因にあげた。
今大会で責任投球回数の5回をクリアした先発投手は1人もいず、打線では、キューバ戦で満塁本塁打を放った21歳の超新星キム・ドヨンも出てきたが、台湾戦、キューバ戦で4番を任されたユン・ドンヒは2試合でノーヒット。続く日本戦ではムン・ボギョンが4番に起用されたが、4打数1安打、3三振で「効果がなかった」と記した。かつてイチローがライバル視した“強い韓国”はいつ蘇るのだろうか。
11/18 07:22
RONSPO