大谷翔平は来年3・18-19東京ドーム開幕戦で二刀流を解禁できるのか…元メッツGMは「5月1日まで投球できなくてもいい」と“焦り”を警告

 ドジャースの大谷翔平(30)の来季の二刀流解禁の時期を巡って米メディアや関係者の間で議論が起きている。大谷はワールドシリーズの第2戦で盗塁を試みた際に負った左肩亜脱臼の修復手術を終えたが、その影響を危惧する声があり、元メッツGMのスティーブ・フィリップ氏は「5月1日まで投球できなくてもいい」と警告を鳴らした。ドジャースは来年3月18、19日に東京ドームで今永昇太(31)、鈴木誠也(30)の所属するカブスとの開幕戦を控えているが、そこでの登板の可否が焦点になっている。

 ド軍GMは「1年の最も大事な試合でピークであればいい」

 いつ大谷は二刀流を解禁できるのか。その問題が米メディアや関係者の間で議論となっている。大谷がワールドシリーズの第2戦で盗塁を試みた際に痛めた左肩の亜脱臼が予想通りの重症だった。その際に関節唇を断裂しており、6日に内視鏡による修復手術がチームドクターのニール・エラトロッシュ博士の手によって行われた。
 球団は「スプリングトレーニングには間に合う」との見込みを明かしたが、昨年9月に手術を行った右肘のリハビリへ与える影響が危惧されている。
 米サイト「ジ・アスレチック」によると、開催中のGM会議でドジャースのブランドン・ゴメスGMは、「大谷は打者としてスプリングトレーニングのスタートに準備が整うことが見込まれる」と語り、二刀流解禁への影響については「慎重になり過ぎるくらい慎重になっていくだろう。しかし全体的な懸念はない。それを取り除き、週を追うごとにリハビリを続けていく」との見解を示したという。
 同サイトは昨季大谷と同じようにトミー・ジョン手術明けだったウォーカー・ビューラーの開幕を5月6日まで遅らせた例をあげた上で、「左肩手術のリハビリがなかったとしても、彼は、2度目の大きな肘の靭帯修復の過程にあった。ドジャースは、今年似たような状況でビューラーのシーズン復帰を遅らせる判断を下した。ドジャースは、2025年シーズンを大谷の母国で日本の東京ドームで開幕するが、同じ判断が下されるのだろうか。ゴメスGMは大谷に何らかのイニング制限を課すことを言及しなかった」と伝えた。
 ゴメスGMは「最も大切なことは1年で最も大きな試合の時にピークな状態にあるということだ」と意味深な発言を付け加えたという。
 同サイトは「投手のリハビリを終える最終段階では「打者との対戦や実戦形式の登板を含めた部分におけるロジスティックな問題を見定めなければならない」とも指摘している。
 3月18、19日のカブスとの東京ドーム開幕戦に「投げないだろう」という見解を示したのは、米スポーツイラストレイテッド誌の「ファンネーション」だ。
「ゴメスGMは、大谷が2025年の開幕戦に間に合わないとは言わなかったが、その可能性は低いと思われる。大谷は、このオフに左肩を一定期間固定する必要があるだけでなく、トミー・ジョン手術からのリハビリをまだ完全には完了していない。それがさらに遅れている今、ドジャースは、大谷を急いでマウンドに戻すことはない。彼に二刀流を取り戻す時間を与えることはないだろう」

 

 

 その中で元メッツGMのフィリップ氏は、MLBネットワークの番組に出演して、大谷が二刀流解禁を急ぐことへ警告を発した。
「私なら魔法の日付を作らない。投球を急がせたり、打撃を急がせたりはしない。もし彼が5月1日まで(投手に)復帰できないとしてもそれでいいと思う」
 フィリップ氏は、大谷がエンゼルス時代の2023年7月28日のタイガースとのダブルヘッダーで起こした異変を取り上げ、二刀流にかかる想像を絶する負担を指摘した。
「大谷はプレーオフに進出したことで、さらに1か月多くプレーした。そのことで右肘のリハビリ時間はカットされ、そのリハビリ過程でオフに入った。覚えておいていただきたいのは、彼の肉体が、エンゼルスがトレードを封印した時期に二刀流選手になることを拒否していたことだ」
 大谷は、そのダブルヘッダーの第1戦に「2番・投手」で出場し、9回111球を投げて1安打8奪三振のメジャー初の完封勝利を成し遂げ、その約45分後に行われた第2戦にも「2番・DH」で出場し、37号、38号の2打席連続本塁打を放った。だが、その時、痙攣を起こしており、7回の打席で代打を送られて途中交代となった。
「彼は完封勝利した後のダブルヘッダーの第2試合で痙攣し始めた。彼は、その年の残りの期間も、同じような症状を訴えて最終的に肘を痛めた。彼は、今リハビリのスローイングプログラムを進めなければならないが、左肩の手術のために投げることができない」
 元GMの見地でフィリップ氏が警鐘を鳴らすと、ドクターの立場からそもそもスプリングトレーニングに間に合うとされている見込みへの反対意見も出た。
 著名な医師として知られるデビッド・J・チャオ博士が「Sports Injury Central」のXにビデオ映像を投稿してこう語った。
「ドジャースは彼がスプリングトレーニングの準備ができていると言っていますが、私たちはそれを信じていません」
 チャオ博士は、左肩の亜脱臼によって断裂した関節唇の修復手術からのリハビリには時間がかかることを懸念している。
 ドジャースと大谷自身が今後の回復の状況を見ながら最終的にどんな決断を下すのか。常識を覆すのが大谷翔平。何が起きても不思議ではない。

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