清原和博氏の息子である慶応大の正吾は24日のドラフトで指名されるのか…注目候補の“二世選手”が他にも4人いる

 いよいよ24日にプロ野球ファン注目のドラフト会議が開催される。注目の一人が、清原和博氏(57)の長男、正吾(22)だろう。慶応大で4番を任され今秋の東京六大学リーグ戦の成績は打率.200ながら2本塁打をマークした。また清原以外にも元プロ野球選手を父親に持つ“二世選手”のドラフト候補が他にもいる。果たして彼らはドラフトで指名を受けるのか。かつてヤクルトで編成部長を務めた松井優典氏(74)に評価を聞いた。

 

 清原ジュニアは日ハムとのプロアマ交流戦でホームラン

 

 運命のドラフトが近づいている。指名されるかどうか。不安と期待に胸を膨らませているのが、元プロ選手を父親に持つジュニア達だ。
 注目は西武、巨人、オリックスでプレーしてプロ通算525本塁打を誇る清原和博氏の長男の正吾。その風貌も1m86、90kgの堂々たる体格も父と瓜二つ。おまけにバットを構えたグリップの位置やタイミングを取る際の手の動きも、現役時代の清原氏にそっくりでファンにロマンを感じさせる。
 ただ中学でバレー、高校でアメリカンフットボールをしていたため、慶応大で「4番・一塁」のレギュラーを獲得したのは4年の春。打率.269、7打点で東京六大学のベストナインに選ばれ、8月31日にエスコンフィールドで行われた東京六大学選抜と日ハム2軍のプロアマ交流戦では、ファームで主に中継ぎで登板し今季防御率2.71の数字を残した育成左腕の山本晃大からレフトへ特大の2ランを放ち、一躍、ドラフト候補としてクローズアップされるようになった。
 プロ志望届を出して臨んだ今秋のリーグ戦でも2本の本塁打を記録した。9月28日の明大戦では、2-3で迎えた9回に最速152キロを誇る右腕の大川慈英の初球の外角高めのカットボールをバックスクリーンまで運んだ。価値ある同点弾だった。さらに10月7日の東大戦では、元ロッテのサブマリン渡辺俊介氏の息子で、同じく下手投げの尚輝のカーブを捉えてレフトスタンドに叩き込んだ。ノーステップ打法の割には、今秋の打率は.200と確実性に欠けるが、パワーだけではなく、遠投100m、50m6秒5と、肩と足もあるアスリート型のプレーヤーだ。
 その清原ジュニアは、ドラフト指名の可能性のある逸材なのか。
 ヤクルト、阪神、楽天で野村克也氏の参謀役を務め、ヤクルトでは編成部長としてドラフトの指揮を執り、阪神では関東地区スカウトを務めたこともある松井氏は「現段階ではプロのレベルには達していない」という厳しい見方をしている。
「大学から本格的に野球を始めたという経緯を考えると、将来への伸びしろがあるけれど、もう少し時間がかかる。パワーヒッターだが、ひとつ間違えればと、バッテリーを警戒させるほどバットが振れるわけではなく、内角を速いボールで攻められると打てないのが致命傷。技術的にはまだバットが遠回りしている。芯でボールを捉える率も低い。内野は二塁、三塁と守れるそうだが、一塁という点もマイナスポイント。社会人や独立リーグへ進んで、もう少し経験を積むことが賢明だろう」

 

 

 だが、松井氏はドラフト指名の可能性はゼロではないと見ている。
「ドラフトでは実力や将来性にプラスして話題性という部分も重要視される。プロ野球は、ファンに注目されてなんぼという視点。清原の場合、将来性は期待できるのだから、指名する球団が出てきても不思議ではない。もし育成指名でOKならば逆に争奪戦になるのかもしれない。ただ東京六大学の選手に対しては、指名順位でさえ、できるだけ上位でという不文律のようなものがある。早大で現阪神の大竹耕太郎が、本人の希望で育成でソフトバンクに指名された特殊なケースはあるが下位指名となる場合も含めて、事前に指名する側と慶応大側との入念な話し合いが必要になる。お父さんの出身母体で、野手の補強がテーマの西武や、3軍まであり、正木、柳町、広瀬と慶応OBの多いソフトバンク、異色の指名や育成に定評のある日ハムなどが指名の可能性のある球団の候補だろう」
 松井氏は可能性のある球団として西武、ソフトバンク、日ハムの3球団をあげた。
 父はPL学園で待ったドラフトで希望していた巨人に裏切られ、西武に1位指名されて涙した。清原家にとって運命のドラフトである。
 今回のドラフトでは清原ジュニア以外にも二世選手のドラフト候補が多い。しかも、かなり指名される可能性が高いのだ。松井氏が二世選手の中でナンバーワン評価したのが、立正大の外野手、飯山志夢だ。
 父の裕志氏は、内野の全ポジションを守れるユーティリティープレーヤーとして日ハムで19年間プレー。2017年限りで現役を引退し、1、2軍の内野守備コーチなどを昨年まで6年間務め、今年からスカウト兼アマスカウトに就いた。
 飯山は、立正大で昨春の東都2部リーグで首位打者とベストナインを獲得。今年は、大学日本代表に選出され、国際大会では「1番・センター」で起用されて4割近い打率を残した。足と肩もある。
「左打ちの安打製造機タイプでコンタクト率が高い。足と肩もあり動きがいい。阪神の近本のような1番打者として育つ可能性がある」と松井氏。
 野手では、西武で9年間プレー、先発、中継ぎ左腕として通算で36勝、54ホールドをあげた三井浩二氏の長男である浦和学院高の雄心に複数の球団から調査票が届いている。三井は1m80、82kgで通算34本塁打を誇る左の大型スラッガー。1年生から4番を任され、2年の夏には甲子園にも出場した。
「集中力に若干問題があるが、振り回すタイプではなく、バットのヘッドスピードを使って打球を飛ばす。その飛距離は目を見張るものがある。中学時代には、チーム事情で一塁を守っていたそうで、プロのスカウト目線で見ると、その期間が少しもったいなかった」と松井氏。

 

 

 もう一人の候補は、名門横浜高の捕手の椎木卿五。中日、ロッテ、西武でプレーした父の匠氏はレギュラーはつかめなかったが、なくてはならない2番目の捕手として存在感を示した。椎木は横浜高で1年秋からレギュラーをつかみ、今夏の神奈川県大会の決勝では、東海大相模のエースでドラフト1位候補の大型左腕、藤田琉生から逆方向へ一発を放り込み、なんとサイクル安打を達成した。1m78、85kgで強肩に加えて長打力がある。
「粗さはあるがパンチ力は魅力で肩も強い。どの球団も捕手の育成が課題だけに、その将来性は魅力」。
 そう評価する松井氏が「すぐ使える」と即戦力として見ているのが、法大の左腕の吉鶴翔瑛だ。1m75と上背はないが、最速151キロを誇る左腕。
 父は中日では3番手捕手に甘んじたが、ロッテにトレードされてからは、レギュラー捕手としても活躍し、現在はソフトバンクで3軍バッテリーコーチを務めている憲治氏だ。息子は捕手ではなくピッチャーで、法大ではドラフト上位候補の篠木健太郎に次ぐ2番手の立場だが、3年の秋は防御率1.87をマークした。
「4年になり球威が増してきた。ボールに角度がありコントロールがいい。安定感がありゲームを潰すタイプではないので、中継ぎとしてすぐに使えると思う。横浜DeNAなど、左腕が欲しいチームが指名してくる可能性がある」
 元プロ野球選手を父に持つジュニアたちは果たして父と同じプロの世界に足を踏み入れることができるのか。そしてそこで父を超えることができるのだろうか。
(文責・RONSPO編集部)

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