野球への関心が薄い“あの国”まで…世界6大陸のメディアが大谷翔平「51ー51」の歴史的偉業を報じる

 ドジャースの大谷翔平(30)が19日(日本時間20日)、敵地ローンデポ・パークで行われたマーリンズ戦で「1番・DH」で先発出場。1回と2回に盗塁を成功させて今シーズンの盗塁数を51に伸ばすと、6回に49号、7回に50号、9回には51号と自身初の3打席連続本塁打をマーク。前人未到の「50-50」を一気に達成し、さらに「51-51」へと伸ばした。大谷が成し遂げ得た偉業を普段は野球を取り上げないヨーロッパや南米、オセアニア、アフリカなど他大陸のメディアが大々的に報じた。

 エジプトメディアまで

 前人未到の「50-50」達成へカウントダウンに入っていた一戦で、自身初の3打席連続本塁打を含めた6打数6安打、10打点、2盗塁をマーク。大記録を一気に「51-51」へと伸ばした大谷の常識を越える活躍を、世界中のメディアも報じた。
 しかも、普段は野球をあまり取り上げない国のメディアが、今回は特別とばかりに大々的に報じている。英国の公共放送『BBC』は「大谷が『50-50』を達成して、MLBの歴史にその名を刻んだ」と伝えた。
 同メディアは他のプロスポーツのスーパースター、NFLのパトリック・マホームズ(29、チーフス)やNBAのレブロン・ジェームズ(39、レイカーズ)のX(旧ツイッター)へのポストを取り上げながら記録の価値を伝えている。
「大谷が達成した偉業を、パトリック・マホームズが『正気の沙汰ではない』と表現すれば、レブロン・ジェームズも『この男は非現実的だ』と続いた。さらにフィリーズでワールドシリーズ制覇に貢献し、ドジャースを最後に引退したチェイス・アトリー氏はBBCの取材に、大谷の存在を『唯一無二の存在で、野球界の歴史における史上最高の選手。フェンスオーバーの打球を数多く放つ能力をもちながら、これほど多くの盗塁を成功させる選手を、私はこれまでの人生で見た記憶がない』と語った」
 いつもはスペインを中心としたヨーロッパのサッカーに関するニュースがほとんどを占める同国のスポーツ紙『MARCA』もこの日は特別だった。
 マーリンズ戦における大谷のプレー動画を引用し、アマチュアや日ハム時代からのキャリアを追った記事で「日本人打者が初めて達成した『50-50』クラブは、これまでの野球界の常識を覆す価値を伴っている」と伝えた。そのなかでは「比類のない」や「前例のない」という意味で「ユニーク」が用いられている。
「年月の経過とともに、これからもより多くの記録が達成されていくだろう。いま現在では夢と思われる記録達成も習慣化されると見られるなかで、昨夜に大谷翔平が到達させた数字は歴史上でもっともユニークなものになる。今後に『50-50』クラブに入会する選手は、おそらく現れない。それを物語るように、ドジャースが誇るMVPトリオの一人、ムーキー・ベッツは『言葉がない。この最高すぎるマイルストーンについては、誰も何もできない』と試合後に語っている」
 マイアミ発の衝撃は南米にも伝わった。同大陸の野球大国として知られるベネズエラの『Lider』は「大谷翔平は、彼の物語を成長させ続けている」と報じた。
「大谷翔平は木曜日にマイアミの地で、完璧すぎるほどの一夜をすごした。これまでの彼のキャリアで、1試合で3打席連続の本塁打を放ち、5打点以上を稼いだのは、この夜のマーリンズ戦が初めてだった。次に彼はどのような記録を狙うのか。ちなみに日本人選手が1シーズンで記録した盗塁数は、2001年にイチロー・スズキがマークした『56』で、大谷は残り9試合であと5つに迫っている」

 

 

 中米の野球大国として知られ、昨年3月のWBC準決勝では日本と死闘を繰り広げたメキシコの『EL UNIVERSAL』も、大谷の大偉業を伝えている。
「アトランタでの4連戦でちょっとした干ばつに見舞われた大谷翔平は、マイアミでの3連戦の最後を歴史に残る、世界最高峰の舞踏会へと様変わりさせた。メジャーリーグ史上で6人目となる『40-40』クラブへの入会を、最速となるシーズン126試合目で達成してからわずか数週間。それ以降も増え続けた数字は誰も成し遂げていない『50-50』クラブを誕生させた。もちろん物語はまだまだ続いていく」
 季節が真逆の南半球のオセアニアも、大谷の一挙手一投足にスポットライトをあてた。豪州の『ABC News』は「『50-50』とは何ですか」と見出しを打った記事のなかで、野球ファン以外にも大谷が達成した記録の価値を伝えている。
「野球ファンでなくても、ホームランの意味を知っているでしょう。ゆえに最初の『50』を説明する必要はありませんが、もうひとつの『50』である盗塁は、成功させればゲームチェンジャーになる可能性がある分だけリスクも高く、スピードに加えてほぼ完璧なスタートを切る必要があります。簡潔に言えば、過去1世紀半で2万3000人以上の選手がMLBでプレーしてきましたが、大谷翔平が達成した『50-50』に近づいた選手は皆無でした。この偉業達成とともに、多くの専門家がベーブ・ルースバリー・ボンズらのレジェンドを凌駕する、史上最高の選手として大谷を位置づけています」
 エジプトの『Middle East Times』も大谷の快挙を報じている。
大谷翔平の51本塁打は、2001年にショーン・グリーンがマークした49本のフランチャイズ記録を更新した。また日本人スラッガーはドジャース史上で初めて1試合で10打点を記録しただけでなく、1901年以降のメジャーリーグの歴史で、1試合で5安打以上、複数本塁打、複数盗塁を同時に達成した初めての選手になった」
 もちろん韓国メディアも大谷の大記録達成を報じた。
 大谷は48号を放った時点でメジャー通算219本塁打として、レンジャーズなどで16年間プレーした韓国野球界のレジェンド、秋信守(42、現SSGランダース)を追い抜いて、アジア出身選手で歴代1位に浮上していた。
 その際に従来の最多本塁打記録を「知らなかった」と言及した大谷に対して、19日の記事で「秋信守のプライドを傷つけた」と批判気味に報じた『Sports Seoul』は、一転して「MLBの歴史を一挙に塗り替えた」と大谷を称賛した。
「大谷による、大谷のための舞台だった。彼はメジャーリーグの140年の歴史のなかで、誰よりもまばゆい輝きを放つ主人公になった。三塁寸前でタッチアウトになった第3打席の長打がもしスリーベースになっていたら、前人未到の大記録にサイクルヒット達成を添えていた。マーリンズに大勝したドジャースは12年連続でポストシーズン進出を決めたが、大谷にとってはメジャー7年目で初めて、待ち焦がれてきたポストシーズンの舞台でプレーする機会をつかみ取った」
 大谷が連続盗塁を成功させたマーリンズ戦の開始早々から、ファイナルカウントダウンに入ったと熱狂していた米国メディアを含めて、ヨーロッパ、南米、オセアニア、アフリカ、そして日本以外のアジアを駆け巡った大谷関連のニュース。世界の全6大陸で共有された跡が大谷が到達させた記録の価値を物語っていた。

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