「大谷翔平の功績は認めない」“MVP争い”で「40-40」大谷ではなくメッツのリンドアを推す地元スポーツキャスターの発言が物議

 ドジャースの大谷翔平(30)が史上6人目の「40本塁打―40盗塁」を成し遂げた話題が全米を席巻しているが、最有力と言われるMVP争いに関してメッツの地元メディアのスポーツキャスターが「功績を認めない」との反対意見を述べて物議を醸している。ポッドキャスト「ロックオンメッツ」でホストを務めるライアン・フィンケルスタイン氏が番組内で発言したもので彼が推すのはメッツのショートストップのフランシスコ・リンドア(30)。「50―50」への挑戦と共に“MVP論争”もヒートアップしてきた。

 「毎試合、約7分から10分しかプレーしていない

 大谷がドジャースタジアムで打席に入るとスタンドから「MVP」の大合唱が沸き起こるようになってきた。サヨナラ満塁弾でメジャー史上6人目の「40―40」を成し遂げ、しかも翌日にまた逆転の41号2ランを放ち、史上初となる「45-45」、前人未到の「50-50」に邁進、本塁打だけでなく打点争いでもトップに立ったのだからそれも当然だろう。
 だが、そのMVP争いに関して「待った」をかける問題発言があった。
 2019年からポッドキャスト番組「ロックオンメッツ」のホストを務めるスポーツキャスターで、専門サイト「ジャスト・ベースボール」の編集長を務めるフィンケルスタイン氏が24日(日本時間25日)の番組内でこう発言したのだ。
「大谷翔平がフランシスコ・リンドアよりも(MVPの)価値があると評価するつもりはありません。大谷は、指名打者として毎試合、約7分から10分間プレーするだけです。彼は試合中にベンチ裏へ下がり、好きなだけスイングをし、イニングの合間にはマッサージを受けているかもしれない。そこで何が起こっているのかわからないけれど、大谷はリンドアよりも、はるかに簡単な仕事をしている」
 フィンケルスタイン氏がMVPに推すメッツのリンドアは、その日のパドレス戦で満塁弾を含む2本塁打、5打点と大爆発していた。リンドアは、今季ここまで131試合にフル出場し、打率.269、27本塁打、78打点、OPS.826、25盗塁をマークしている。
 このフィンケルスタイン氏の発言は物議を醸した。
 この番組のユーチューブコメント欄には、「DHの選手はMVPの資格を得るべきではない」「大谷は記録を水増ししているだけで、あなたは説得力のある主張をしている」と支持する意見と「リンドアがメッツで最も価値のある選手であることに疑いの余地はないが、彼にMVP のチャンスがあると考えるのは気が狂っている。大谷翔平がいる今季はそうだ」、「リンドアの今季成績はどれも驚くべきものではない。 彼はどの攻撃カテゴリーでもリードしていない。 彼はメッツのMVPかもしれないが現時点でこのリーグで最高の選手ではない」などの反対意見の賛否両論が飛び交った。
 SNSで話題になった記事をクローズアップするインド資本の米サイト「スポーツキーダ」も、この発言を取り上げて「大谷がDH出場となっている今季は、リンドアがMVPを獲得する最高のチャンスになるかもしれない」との意見を伝えた。

 実はリンドアのMVPを唱えるのはフィンケルスタイン氏だけではない。
 メッツの地元のニューヨーク局「SNY」は「メッツのスター、リンドアは伝説的な大谷に対して2024年のMVPを強く主張している」との見出しを取った記事を掲載した。
 同メディアがリンドアMVPの根拠として主張するのは、勝利貢献度を示す指標の「WAR」が6.5で、大谷の6.3を上回りナ・リーグのトップに立っている点だ。
 リンドアよりも上にいるのはアーロン・ジャッジ、ファン・ソト(共にヤンキース)、ボビー・ウィットJr.(ロイヤルズ)、グンナー・ヘンダーソン(オリオールズ)らア・リーグの選手だけ。同メディアは、守備面でも遊撃手として守備指標のOAAで99%を示す「真のエリート」で3度目の「25-25」を果たしたことを強調して「彼のオフェンスへの貢献度とディフェンスの価値は他に類を見ないもの」と評価した。
さらにMVPの投票基準は3つあり、その一つに「チームに対するプレーヤーの価値、つまり攻守の強さ」があり「リンドア対大谷を語る際には、この“攻守の強さ”の部分が重要だ」と指摘。過去にクレイトン・カーショウジャスティン・バーランダーなどの投手がMVPを受賞したケースはあるが、DH1本でシーズンを過ごした選手がMVPを受賞した例がないことを紹介した。
「もしそれをつかむケースがあるとすれば今年の大谷だ」とし、大谷の今季の活躍を「伝説的」と紹介しながらも「大谷の魔法のようなシーズンの中で考慮すべきことがいくつかある」と問題提起をした。
「DHよりも価値のあるポジションの選手がいる場合にMVPを受賞すべきか。ベーブ・ルース以来の二刀流選手として過去に2度MVPを獲得している大谷以外のDHがこのような数字を出していたらMVPを取れるのか」と疑問を呈し、「彼が勝てなければ、番狂わせになるだろう。しかし、今年はリンドアの方が良い活躍をしておりMVPにふさわしいと主張することはおかしくない」と続けた。
 一方、CBSスポーツは「メッツのスーパースターが大谷に勝てなくても話題になる理由」との見出しを取った記事を掲載。同メディアは、「リンドアはキャリア最高のMVP級のシーズンを過ごし、最大のスポーツ市場にあるメッツでプレーしているにもかかわらず、まだ過小評価されている」と伝え、「リンドアのようなレベルで毎日プレーすることには大きな価値がある。全131試合に出場し打席数と打数の両方でトップに立っている」とし、今季のここまでの成績を紹介した。
 リンドアは、得点(3位)、ヒット数(5位)、塁打数(3位)、二塁打(3位)、本塁打(5位)、盗塁数(7位)、OPS+(8位)、長打数(2位)、出塁回数(5位)、勝率加算(8位)の部門でトップ10にランクインしている。
 しかし同メディアは「彼がMVPを受賞する可能性は信じられないほど低いと思われる」と結論づけた。米球界の話題を一人占めしている大谷のレギュラーシーズンの戦いは残り31試合だ。

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