「競争して勝っていかないといけない」沢村賞の看板を懸けて中日・大野雄大が臨む勝負イヤー


◆ 「自分のセールスポイントは中6日で投げ続けること」

 中日・大野雄大投手がプロ15年目の切符を手にした。11月21日にナゴヤ球場に隣接する選手寮「昇竜館」で契約更改交渉に臨み、今季の3億円から減額制限(元の年俸が1億円を超える場合は40%)を超える1億8000万円減の1億2000万円でサイン。すっきりした表情で会見場に姿を見せた。

「球団から必要な戦力だと言ってもらったときに、素直にうれしかったんですよね。契約していただいて、来季も野球ができる。年俸が大幅に下がることは分かっていました」

 昨季は1試合登板で左肘の遊離軟骨除去手術を受けた。復帰イヤーの今季は9試合登板。2勝6敗、防御率4.87。1億2000万円の金額は「もっと下がっても何も言えませんよ」と覚悟していた。結果を出して出来高も含めれば、穴埋めはいかなくても大きく取り戻せるという。

 今季、納得の真っすぐを投げられたのは2試合。8月18日の阪神戦(バンテリン)と同月25日の巨人戦(東京ドーム)の2試合だった。

「その2試合ぐらいしか自分自身の球が投げられたっていう試合はなかった。そういう試合を増やしていくと言いますかね、年間の波がないようにやっていくために秋からそういう準備をしていくことが大事かなと思います」

 11月には異例となるブルペン入りもした。投げ続けて年明けを迎え、キャンプインする考えという。例年なら12、1月はほぼ投げない。調整法をガラッと変える。

 力でローテを奪いにいく。ドラフト会議では金丸夢斗(関西大)、吉田聖弥(西濃運輸)といった即戦力左腕を獲得した。

「僕個人としてはね、やっぱりライバルになりますしね。強力なライバルですし、競争して勝っていかないといけないです。とはいえ、チームとして考えた時にはすごく嬉しいですよね。金丸君引き当てて嬉しかったですし。金丸君が元気であれば、奪われるっていうところになるとは思う。(米挑戦を公言している小笠原)慎之介も抜けるかもしれない。やっぱり左で安定してローテーションを守れるピッチャーがいなくなるっていうのは、チームとしては痛いと思います。そこは競争でまたチームが底上げできたらいいと思います」

 2020年に沢村賞に輝き、1年延長オプション付き3年契約が終わり、新しく契約した大野。来季37歳イヤー。

「自分のセールスポイントは中6日で投げ続けること。規定投球回を投げて23、24試合を投げる。それが1番充実感を感じられる」

 小笠原の動向は不透明。移籍となった場合、チームは髙橋宏斗を除くメンバーは混沌(こんとん)としている。背番号22が、来季勝負をかけてローテ入りを勝ち取る。

文=川本光憲(中日スポーツ.ドラゴンズ担当)

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