大谷翔平がMLB日本人通算HR記録を更新 それでも超えられない「ゴジラ松井」という高い壁

日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)

 これまで数々の記録を作ってきた大谷翔平(29才)が、また1つ金字塔を打ち立てた。大谷は4月21日の試合で5号ホームランを打ち、これでメジャー通算176本塁打。松井秀喜氏(49才)が持つ日本人メジャー最多本塁打記録を更新した。

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「大谷は日本時代から二刀流で活躍してきましたが、日本での通算ホームラン数は48本。2015年に最多勝と最優秀防御率のタイトルを取るなど、どちらかというと投手として注目されていただけに、アメリカに渡ってからの進化には本当に驚かされます。

 日本人はずっとパワーで劣ると言われ続けてきましたが、昨年の大谷のホームランの平均飛距離は、10本塁打以上打った選手の中で最長で、6月に打った30号ホームランは150m以上飛んでメジャー最長。名実ともに世界一のホームランバッターに成長しました」(スポーツ担当記者)

 松井氏が10年かけて175本塁打を打ったのに対し、大谷は6年ちょっとでこの記録を突破。29才という年齢を考えれば、大幅に記録を更新するのは確実だが、これで「大谷>松井」と決めつけるのはあまりに早計だ。

「メジャーでは、いくらホームランを打っても、MVPを何回取っても、チャンピオンリングを持っていなければ“真のスター”とは見なされない。それをワールドシリーズMVPという最高の形で実現したのが松井です。松井は2009年、フィリーズとのワールドシリーズで1試合6打点を記録するなど大爆発して、MVPを獲得。ポストシーズンにとにかく強く、プレーオフ通算打率は3割を超えています。

 アメリカでは、勝負どころで活躍するバッターを“クラッチヒッター”と言い、そのように呼ばれるのは最大級の名誉ですが、松井はヤンキース在籍時、しばしば“メジャー最強のクラッチヒッター”と呼ばれました。試合を決められる選手を特別に評価するのがメジャーの流儀なのです。

 それに対して大谷は、M・トラウトというメジャー屈指のスターがチームにいながら、プレーオフで活躍するどころか進出することさえできなかった。所属チームがエンゼルスという弱小球団だったことを割り引いても、その点は大きな課題。人気や知名度は文句なしのスーパースターですが、選手としてはまだまだやることがたくさんあります」(フリーのスポーツライター)

 また、大谷が置かれてきた環境も松井とは雲泥の差がある。

「大谷は突出した成績を残してきましたが、これまで何度も大けがで長期欠場を余儀なくされ、ファンを落胆させてきました。二刀流という過去に例を見ない存在だけに腫れ物に触るかのように扱われるのは仕方ありませんが、ともすれば過保護な印象は否めません。

 それに対して松井は、とにかくたくましかった。名門・巨人で4番の座を守り続け、2006年にケガで記録が途切れるまで、日米通算で1768試合連続出場を続けました。松井は巨人入団当初、長嶋監督から『一生で1回しか東京ドームに来られない人もいる。だからお前はそういうファンのために毎試合出場しろ』と言われ、それを忠実に守りました。試合に出るのはプロとして大前提のようなものですから、その点でも松井の偉大さは際立ちます」(前出・スポーツライター)

プレッシャーをはねのけて結果を出し続けた松井

 大谷は今季から最強軍団と称されるドジャースに移籍。プレーオフに出る可能性は一気に高まった。偉大なる先輩に肩を並べる日は着実に近づいている。

「松井が称賛を浴びるのは、プレッシャーをはねのけて結果を出し続けたからです。当時の巨人戦は毎試合、地上波のゴールデンタイムに中継があり、視聴率は常時2ケタ。負ければ4番の松井が叩かれる中、在籍10年で4回リーグ優勝を果たし、3回もMVPを取る活躍を見せました。さらにヤンキースファンは巨人ファン以上に辛辣ですが、こちらでも『ゴジラ』と親しまれ、チームを去る時には最大級の賛辞をもって送られました。積み重ねた結果が国民栄誉賞です。

 大谷もプレッシャーと無縁だったわけではありませんが、日ハム時代、エンゼルス時代と、かなりのびのびとプレーしてきたのは事実。しかし、ドジャースファンはヤンキースファンに負けず劣らず熱狂的で、これから厳しい批判が寄せられる場面もあるでしょう。それらをはねのけてプレーオフで圧倒的な力を見せれば、人格面では称賛を集めているだけに、いよいよ正真正銘のスーパースターです。彼の場合、とにかく心配なのはケガ。そのあたりは妻の真美子さんのサポートもポイントになってきそうです」(同上)

“ゴジラ超え”の日が待ち遠しい。

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