「ショートでは誰にも負けたくない」巨人2位指名は“令和の牛若丸”になれる 小坂、稼頭央、浅村ら背負った「32」

仮契約を結んだ浦田はスローイングのポーズを披露(カメラ・今西 淳)

 巨人のドラフト2位・浦田俊輔内野手(22)=九産大=が18日、球界を代表する遊撃手への飛躍を誓った。福岡市内のホテルで契約金7000万円、年俸1200万円(金額はいずれも推定)で仮契約を結び「ショートという守備位置では誰にも負けたくない」と宣言。本職一本で勝負する意欲を示し門脇、泉口、中山らに挑戦する。背番号は参考にしている小坂誠や松井稼頭央、浅村栄斗らが背負ってきた「32」に決定。名ショートの系譜を歩んでいく。

 浦田の目に光が宿った。やや緊張の面持ちで始まった仮契約の会見中盤。遊撃への思いを問われると「ショートという守備位置では誰にも負けたくない」と端正なマスクを引き締めた。長崎・海星中から主戦場にしてきた定位置。巨人では門脇、泉口、中山らがひしめく激戦区だが「球団を代表する、日本も代表できるようなショートストップになりたい」と、まずは遊撃一本でプロに飛び込む思いを明かした。

 171センチ、67キロで抜群の身体能力が武器のルーキーに、水野スカウト部長は「小坂(誠)選手のようなショートになってもらいたい」。ロッテ、巨人、楽天でプレーし、4度のゴールデン・グラブ賞を獲得した167センチの名手。その俊敏な動きから「平成の牛若丸」の異名を取った名ショートに、将来像を重ねた。

 偶然にも、父・秀明さんのすすめで数年前からYouTubeで小坂氏のファインプレー集をリピートしていた浦田。「守備範囲が広くて、堅実かつ、すごくアクロバチックなプレー」を目に焼き付けて参考にしてきたといい「背丈も同じぐらいですし、理想です」とうなずいた。

 出世番号から名遊撃手への道を歩む。背番号「32」は松井稼頭央、浅村栄斗らが若手時代に背負い、球界を代表する内野手に羽ばたいた縁起のいいナンバー。そして、目標とする小坂が引退時に背負っていた番号でもある。32が名遊撃手の番号であることを問われた浦田は「知っていました」と即答し「それに恥じないプレー、姿勢を見せられたら」と目を輝かせた。

 守備だけでなく、足でも巨人に新風を吹き込む。50メートル5秒8を誇り、九州六大学のリーグ戦では通算37盗塁で3度の盗塁王を獲得した。将来的な目標は「首位打者、ベストナイン、GG賞、盗塁王」。巨人の盗塁王は11年の藤村大介(28盗塁)が最後。シーズン30盗塁以上は08年の鈴木尚広(30盗塁)までさかのぼるだけに、近年不足していた快足リードオフマンとして期待がかかる。

 現在は週5日の筋トレで143試合を戦うための体作りに励んでいる。今春の全日本大学選手権で2試合、東京Dでプレー。プロとして戻る大舞台に「あれが満員だったらどれだけ感動するんだろうと。本当に楽しみでいっぱいです」。“令和の牛若丸”になる可能性を秘めた逸材が、スタートを切る。(内田 拓希)

 ◆背番号「32」で二遊間を守った主な名選手

 ▼松井稼頭央 PL学園から西武入団1年目の94年から3年間「32」。96年に50盗塁。翌97年は「7」に変更して盗塁王、遊撃でゴールデン・グラブ賞。同賞は通算4度。米球界から復帰後の11年楽天でも「32」。日米通算2705安打。

 ▼小坂誠 ロッテ時代は「00」と「1」をつけて柔らかいグラブさばきで遊撃で計4度のゴールデン・グラブ賞。巨人では「2」と「6」をつけ、09年から楽天で「32」をつけてプレーし10年限りで現役引退。

 ▼浅村栄斗 大阪桐蔭から強打の遊撃手として09年に西武に入団して8年間「32」。プロでは主に二塁手として13年に打点王、初の打率3割を記録。17年から「3」に変更して19年の楽天移籍後も「3」。

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