信頼が打たせた辰己、用兵が打たせた源田…「新しいヒーローの出現は心強い」高木豊氏が読み解く台湾戦

3回2死三塁、適時二塁打を放つ 辰己涼介

◆ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12 1次リーグB組 台湾1―3日本(16日・台北ドーム)

 辰己の適時二塁打は、井端監督の信頼に応えたひと振りだった。2試合ノーヒットで、短期決戦では使い続けるか否かという見極めもしなくてはいけない。とはいえ、今回のメンバーの中では代わりの中堅手を探すのはなかなか難しい…というところで、結果を残した。

 本人は焦りもあったと思う。強化試合ではホームランも打って勢いに乗っていたのに、大会に入ると勝手が違ったわけだから。ただ、彼は凡打でも打つ方向を間違えていなかった。初回無死一、二塁で一ゴロ。これが例えば遊ゴロなら、併殺の可能性が高まっていたわけで、三塁に走者を進めたのが、森下の犠飛につながった。悪いなりに、打席内容に意図が見える。自由奔放なイメージもあったけど、代表にふさわしいプレーができていて、感心したね。

 源田の一発は、ベンチの用兵の妙だった。死球の影響もあったとはいえ、状態があまりよくなかった栗原に代わって紅林を三塁で使い、源田でセンターラインを締めたのが、攻守にわたって効いた。若い選手が多い中で、代表経験も豊富で、精神的支柱になっている。

 打線では森下、牧、小園あたりが目立っていたが、一方で決して調子がよくない選手もいる。新しいヒーローが出てきたのは心強いし、いい流れだよね。(スポーツ報知評論家・高木 豊)

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