巨人・坂本勇人の「最低限」…担当記者が「見た」

三井ゴールデン・グラブ賞が発表され、遊撃手部門で5回受賞している坂本は、三塁手として初受賞を果たした

 セ・パ両リーグで守備のスペシャリストを記者投票で選ぶ第53回「三井ゴールデン・グラブ賞」が12日に発表され、巨人・坂本勇人内野手(35)が三塁手部門で初受賞した。同部門で守備率9割7分6厘、失策数6は両リーグトップ。遊撃から本格転向1年目で勲章を手にした。

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 試合前の守備練習に、おなじみの光景があった。坂本は同じ方向への打球を繰り返しさばき、地道に動きを反復する。ノッカー役の川相内野守備コーチ(現2軍野手総合コーチ)に「こういう打球を打ってほしいです」と、その時々のテーマをリクエストしていた。

 例えば、三塁前へのボテボテのゴロ。一見、捕球自体は難しくないように見えるが、繰り返し要望していた打球の一つだった。現役時代に遊撃から三塁へ転向した経験がある川相コーチは「体が前に行きながらあの打球をさばいて投げるとシュート回転しやすくて、コントロールがすごく難しい」と、特有の難しさを説明。その上で「サードになって不安な打球もあったと思う。練習の中でいろんなものを試してたのは大きかったかな」と代弁した。

 三塁線への難しいハーフバウンドのゴロを2度捕球できなかった9月11日・広島戦(マツダ)の翌日は、黙々と同様の打球をさばく姿があった。シーズン中、好守で幾度となくチームを救っても「そこは最低限ね」と繰り返していた坂本。明確な意図を持った地道な基礎練習が、華麗な守備の土台にある。(野手担当・内田 拓希)

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