初デスターシャ出た!DeNA・牧秀悟、日本S1号3ランで王手…不振抜け出し「打てたことにホッとした」

4回無死一、二塁、牧が3ラン本塁打を放ち、雄たけびを上げる(左は前田純=カメラ・上村 尚平)

◆SMBC日本シリーズ2024第5戦 ソフトバンク0―7DeNA(31日・みずほペイペイドーム福岡)

 「SMBC 日本シリーズ2024」第5戦がみずほペイペイで行われ、DeNA(セ・リーグ3位)がソフトバンク(パ・リーグ1位)に7―0で完勝し、26年ぶりの日本一に王手をかけた。1―0の4回に牧秀悟内野手(26)が1号3ランを放つなど、先発全員の13安打7得点。投手陣は2戦連続完封で、26イニング連続無失点は66年ぶりのシリーズタイ記録となった。10年ロッテ以来となるリーグ3位からの下克上Vへ、敵地3連勝。勢いに乗り、2日の第6戦から本拠・横浜に帰還する。

 青く染まった左翼スタンドに打球が突き刺さったのを確認すると、両拳を握り大きくほえた。1―0の4回無死一、二塁。牧が前田純の141キロ直球を完璧に仕留めた。今シリーズ1号3ランで、初の“デスターシャ”を敵地で決めた。「いい形で打てたし、その前にチャンスを作ってくれたので思い切っていけた。(ガッツポーズは)ホームランを打ったことよりも得点が入ることがうれしくて」。26年ぶりの日本一をグッと引き寄せた。

 試合前までは打率1割1分8厘とバットが湿った。30日の第4戦では左足甲を負傷しながらも強行出場したオースティンや、不振だった宮崎がそれぞれソロを放って2勝2敗のタイに戻したが、自身は無安打。「打てたことにホッとした。なかなか打てていなかったので、こういう形でチームに貢献できてよかった」。巨人とのCS最終S第6戦の最終回に適時打を放ち突破を決めたように、ここぞの場面で仕事を果たした。

 夢にまで見た大舞台で先輩たちの借りを返す。17年の日本S第6戦では、1点リードの9回に守護神・山崎康が内川に同点弾を許し、延長11回サヨナラで日本一を決められた。当時、牧は大学1年。「印象的だったのは内川さんのホームラン。ちょうど(テレビで)見ていた」。同じように、左翼席へたたき込んでみせた。

 今シリーズ直前にはYouTubeで17年日本Sのダイジェスト動画を見た。「自分も本当に未知のシリーズ。雰囲気や、どういう勝ち方や負け方をしたのかを見た」。イメトレの効果を発揮した。

 本拠での2連敗から敵地で怒とうの3連勝で王手をかけた。全幅の信頼を置く主将の一撃で試合を決め、投手陣も盤石。現役時代の98年以来の頂点を目前に、三浦監督は「チーム状態もいい。選手たちの表情を見ても、いい形で3試合戦えた。ホームに帰っても同じような雰囲気で入っていけるように」と笑った。西武と戦った26年前も、本拠地・横浜の第6戦、4勝2敗で決めた。「本当に油断できない。相手も敵地に来て勢いを出してくると思う。自分たちができている野球をそのままできれば」と背番号2。勢いそのままに、下克上での日本一をつかみ取る。(内藤 菜月)

 ◆シリーズ記録

 ◇タイ記録

 ▽4試合連続打点=DeNA・桑原(04年〈4〉~〈7〉戦の中日・井上以来13人目13度目

 ▽連続3試合計最少得点1=ソフトバンク〈3〉~〈5〉戦(51年〈1〉~〈3〉戦の南海、92年〈2〉~〈4〉戦のヤクルトに次いで3チーム目)

 ▽2試合連続無得点=ソフトバンク〈4〉〈5〉戦(99年〈3〉〈4〉戦の中日以来7度目)

 ◆第5戦主な記録

 ◇タイ記録

 ▽1試合最多打数6=DeNA・梶原(20年〈2〉戦ソフトバンク・周東以来9人目9度目

 ▽両軍計最多死球4=ソ1―3D(08年〈2〉戦巨4―0西以来3度目)

 ※DeNAの先発全員安打は、66年対南海〈6〉戦で巨人が唯一記録した全員安打を含め、15年ヤクルト〈1〉戦のソフトバンクに次いで12度目。

 ◆記録メモ

 ▼V確率76% DeNAが3勝2敗として、日本シリーズ優勝に王手をかけた。過去、シリーズで先に王手をかけた74チームのうち、63チームが優勝。今年のように2勝2敗(引き分け含む)から王手をかけたケースは、過去29度。そのうち優勝22度のV確率76%。DeNAが2勝2敗から先に王手をかけたのは、98年の1度で、このときは優勝を手にしたが、今年はどうか。

 ▼5戦目まで敵地チーム勝利は3度目 5戦目まで敵地チームが勝利。〈5〉戦まで敵地チームが勝利したケースは3度目。過去2度は、00年が6戦目に本拠地球団が初勝利し巨人がV。11年は6戦目まで、敵地チームが勝利したが、7戦目にホームのソフトバンクが勝利。本拠地スタート球団が2度とも優勝している。

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