【侍ジャパン】「清水のカーブ、エグいです」大勢がブルペン視察で中日右腕褒めるも本人から想定外の反応

ブルペンの捕手側に立った大勢(右)。侍ジャパン投手陣の球筋をじっくりと観察した(カメラ・小林 泰斗)

 ダル&大谷流だ! 「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」(11月9~24日)に出場する侍ジャパンの事前合宿が30日、宮崎市清武総合運動公園で行われ、巨人・大勢投手(25)がブルペンで同僚の投球練習を熱心にチェックした。自身の練習後、清水(中日)と藤平(楽天)の投球練習を凝視。昨年3月のWBC前の壮行試合で、自身の登板前の投球練習をダルビッシュ有と大谷翔平がそろって見学したことが思い出される行動だが、他球団の選手の生きた情報も糧に学び、世界一への道を歩む。

 キャッチボールなどを終えた大勢はいったんロッカーへ引き揚げると、投球練習予定のないブルペンへ向かった。同じ救援で同学年の清水と1学年上の藤平の投球練習が行われていた。捕手の後ろから、時に立ちながら、時にしゃがんでトラックマンのデータを見ながら、仲間の球の軌道や回転数など特徴をじっくりと観察した。

 「せっかくなので。練習が終わったんで、見ていました。ブルペンのテレビの映像でしか見たことないピッチャーだったので。やっぱすごいなと思いました」

 侍でのブルペン視察と聞いて思い出すのは、昨年、3大会ぶりに世界一に輝いたWBC日本代表でのレジェンド右腕の姿。メジャー勢で唯一、2月の宮崎強化合宿から参加したダルビッシュは、大勢の初ブルペンに熱視線を送った。3月3日の壮行試合(バンテリンD)では、右腕の登板前の投球練習を見るために大谷がダルビッシュを誘って足を運んだ。当時ダルビッシュが「こんなに興奮している大谷翔平はあんま見ないぞ」と本人に伝えたほど。他球団の選手の生の“情報”は、何にも代え難い貴重な財産だ。他球団の一流選手が集まる侍の機会を、無駄にはしない。

 この日の大勢も文字通り目を丸くする場面もあり、「清水のカーブ、エグいです」と感嘆の声を上げた。そして2人にも直接感想を伝えた。だが清水は「藤平さんには『球速いっすね!』って言ってて、僕には『カーブいいね!』って。カーブしか褒められなかった(笑い)。僕もいろんな人のピッチングを見たい。で、僕だったらもっとうまく褒めます」とニヤリ。イジられる格好となったが、合宿2日目にして侍ジャパンの明るい雰囲気を漂わせた。

 自身は巨人でのCSでもフル回転していただけに、ブルペン入りは第2クール以降を予定している。「早く投げたいなという、うずうずさを出すためにも見ました。体をそうさせるために」と、もう一つの理由を説明。仲間の姿、響き渡るミット音を目と耳で感じながら、己を奮い立たせた。

 合宿前には、「何か吸収して、見て学んで、今後の野球人生につながるいい時間にしたい」とも話していた大勢。開幕まで約10日。守護神最有力候補が時間を有効に活用しながら、着々と準備を進めていく。(田中 哲)

 ◆侍ジャパンの技術交流 昨年2月、WBC前の宮崎合宿ではパドレスのダルビッシュに続々、弟子入りした。巨人の戸郷はカーブ、スライダー、ツーシームなど、変化球の握りや投げ方を約20分にわたって教わった。ロッテの佐々木朗はスライダーを中心に助言をもらい、ヤクルトの高橋奎はスライダーに関して尋ねるも、チェンジアップについて逆質問を受けた。今年3月の欧州代表との強化試合前、大阪市内での公式練習では、西武の源田が、明大の宗山と一緒にノックを受けた後、20分にわたって守備談議を交わして、極意を伝授した。

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