「一緒にプレーできたってことが本当にうれしかった」巨人・梶谷が引退会見で偉大な同学年の盟友に感謝「優しくていい男」

梶谷の引退会見にサプライズ登場した巨人のメンバー(カメラ・宮崎 亮太)

 巨人の梶谷隆幸外野手(36)が23日、都内で引退会見を行った。5月に古傷の左膝を痛めたことが決断の理由と明かし、「やりきった」とプロ18年間を晴れやかな表情で振り返った。会見の終盤には同学年の坂本勇人内野手(35)らチームメートがサプライズ登場。「彼と一緒にプレーできたことが本当に楽しくて、うれしかった」と、巨人入りの理由となった盟友から花束を受け取り、笑顔で現役生活に別れを告げた。

 一本気な男に涙はなかった。梶谷は晴れやかな表情で言葉を並べた。「18年間、本当に幸せでした。やりきりました」。ダイナミックな走攻守でファンを沸かせた裏で、故障とも闘い続けたプロ野球生活だった。5月に左膝痛が再発し、「とにかく体がついていかないというところのみで決断しました」と明かしたが、現役を終えて胸に残ったのは充実感だけだった。

 頬が緩んだのは、万感の思いを語り尽くした会見の終盤だった。会場の裏から、両手で青い花束を抱えた坂本が登場した。右肩を優しくたたかれ、「お疲れさま」と声をかけられた。20年オフに国内FA権を行使してDeNAから移籍。巨人入りを決めた大きな理由の一つが、坂本の存在だった。

 巨人での4年間で印象に残っている試合を問われると「坂本勇人と一緒に野球をやりたかったので。彼と一緒にプレーできたってことが本当に楽しくて、うれしかった」。プレーヤーとしても、人間としても尊敬している同学年のスター。「横浜にいるときもチームメートになってからも優しくていい男でした」と笑顔で語った。

 06年高校生ドラフト3巡目で横浜(現DeNA)入り。心の支えは、18年に結婚した妻の存在だった。左膝の状態が上向かなかった夏頃に引退を考えていることを伝えると、「自分が決めたことに従ったらいいんじゃない」と背中を押された。「美しくて、すごく強い。家に帰ったら野球の話をたくさんしたなぁと思いながら。本当に感謝しています」と感慨にふけった。

 今後は「球団の方からありがたいお話をいただいたんですが、一度ちょっと野球を離れたい」と新しい道を模索する考えを明かした。会見後は坂本に続き、チームメートが続々と登場。39歳の長野から19歳の浅野まで、計11人から拍手で送られた。「なかなか自分が思い描いたようにはいかなかったんですけど、移籍して良かったなと心から思います。素晴らしい仲間に出会えて、一生の財産です」。実直な人柄で慕われる男らしい、温かい終幕だった。(内田 拓希)

 ◆梶谷 隆幸(かじたに・たかゆき)1988年8月28日、松江市生まれ。36歳。開星から2006年高校生ドラフト3巡目で内野手として横浜(現DeNA)入団。外野手に転向した14年に初めて規定打席に到達、39盗塁で盗塁王。20年オフにFAで巨人入り。通算1064試合で打率2割7分、980安打、126本塁打、441打点、162盗塁。180センチ、90キロ。右投左打。

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