「待ってました」松井秀喜氏が巨人・阿部監督に送った熱烈エール 巨人ならではの「勝手に思っている」こと

2月、宮崎キャンプで臨時コーチを務めた松井氏(左)と話す阿部監督

 【米ニューヨーク州12日(日本時間13日)=一村 順子】巨人、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏(50)が阿部巨人に熱烈エールを送った。当地で恒例の野球教室を開催した松井氏は「慎之助が勝ってくれると本当にうれしい」と、阿部監督率いる古巣のセ・リーグ制覇を喜んだ。そして「リーグ優勝で満足ということは、ジャイアンツはあり得ない」とピシャリ。日本一のカギは「ピッチャー」とし、岡本和真内野手(28)については「いてくれればいい。そういう存在」と愛情たっぷりに話した。

 秋晴れの空の下、松井氏がハッスルした。子供たち相手に打撃投手として指導を行った後、打席に立ち2本の豪快なサク越えも披露。「今日は最高のグラウンドを選びました。リトルリーグの球場は最高。打ち損じても(サク越えエリアに)入っちゃう」と笑った。

 その後に報道陣に対応。しばし大リーグの話題に触れてから、阿部巨人について話を振られると「待ってました!」と歓迎した。「慎之助が勝ってくれると、ホントね、うれしいです」と自然と笑みがこぼれ、レジェンドOBらしく口を開いた。「ジャイアンツは日本一にならないと、その年、成功じゃないでしょう。セ・リーグ優勝だとまだ、目標の半分かな。リーグ優勝で満足ということは、ジャイアンツはあり得ないんじゃないかなと勝手に思ってますけど」

 自身は巨人で3回の日本一を経験しているが、1996年はオリックスに敗れた。「日本一になって初めて、いいシーズンだったと言える。自分も日本シリーズで負けたことがありますが、全然うれしくなかった」と振り返り、後輩たちに熱いエールを送った。

 「もうただ応援して見ている」という古巣の戦いだが、プレーオフに向けてのキーマンは「やっぱりピッチャーかな」とした。「短期シリーズではやっぱり投手が大切」として、4番打者については愛があふれた。「岡本君は、いてくれればいいですよ。そういう存在です。打つ時、打たない時、そりゃありますよ。いつも通りプレーしてくれれば」。主軸として同じ使命を背負ったことがある先輩だからこそ、の言葉だった。

 1994年、20歳で初めて経験した銀座パレードは忘れがたい。ファンが警備を押しのけて道路になだれ込んだ。動けなくなった先頭のオープンカーに乗っていた長嶋茂雄監督(現終身名誉監督=報知新聞社客員)がスッと立ち上がり、両手で観衆に手を振り、騒動を収めたという。「長嶋さん、すごいな。さすが長嶋茂雄だと思いました」と恩師のカリスマ性は今も脳裏に焼き付いているという。

 後輩たちにもあの銀座の熱気を体感してもらいたい―。巨人が最後に日本一になって12年、松井さんは日本一奪回の報告をニューヨークで心待ちにしている。

 〇…松井さんはリーグ優勝決定シリーズに進出した古巣・ヤンキース愛も口にした。GM付特別アドバイザーの役職にも就く松井氏は「もちろん応援しています」。主砲・ジャッジは、地区シリーズ4試合で13打数2安打、長打は二塁打1本のみ。「僕はいろんなすごい選手がいた中での自分だった。彼はやっぱりヤンキースの象徴的な存在なので。そういういろんなことを背負いながらプレーしてるんじゃないですかね」と気遣った。

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