【オリックス】中嶋聡監督、電撃退任の理由は「慣れ」 チームに生じた変化に「責任を取りたい」

最終戦でファンにあいさつする中嶋聡監督(カメラ・池内 雅彦)

◆パ・リーグ 楽天1x―8オリックス=7回表1死降雨コールド=(6日・楽天モバイル)

 オリックス・中嶋聡監督が今季限りで退任することを表明した。今シーズン最終戦となる楽天戦を終え、仙台市内のチーム宿舎で選手、コーチ陣、スタッフら全員を集めて伝えた。

 その後、報道陣に取材対応。監督自身の気持ちを問われると、「もう僕は責任という言葉をよく使っていたんですけど、こっちに責任があると。だから思い切ってやってくれと言っていたんで。それを考えたら優勝していたチームがここまで落ちるということの責任を取りたいと思いますね。今年で辞任します」と明かした。

 今季はリーグ5位に終わったが、主力にけが人が相次いだチーム事情やこれまでの功績を評価され、9月上旬に続投要請を受けた。しかし、即座の返答を保留。二人三脚で常勝軍団をつくった福良GMらからの再三の強い慰留には感謝しつつ、「形として3連覇して一つの時代と言ったらおかしいですけど、新しいことを始める時に新しい人が始めるべきだし」と説明した。そして、責任を取ってユニホームを脱ぐ最大の理由として胸の内を吐露した。

 「今まで通りやったとしても人って慣れるじゃないですか。慣れの方が今年は多く、より強く出てしまったのかなと思いますね。全力疾走であり、攻守交代であり、そこだけはしっかりやってくれと。本当に最下位からのスタートだったんでね。最下位のチームがそれをできないっていうんだったらおかしい話であり、勝ったチームがやらんでいいのかってなった時にどれだけ言っても、それが改善されなかった部分がもう、慣れという部分だと思う。きょう最後のところでヘッドがもう一回お願いした時にきょうみたいな事ができるわけですよね。なぜできなくなったのか。CSファイナルのゲームだったとか日本シリーズのゲームだったとかならやるわけじゃないですか。1年間通してやるっていうのが最低限の約束をしていたんですけど、そこに関しての薄さが出たというか、どんだけ言ったところで言ってもやれないなら、言ってないのと一緒なんで、そこに関しては慣れなのかなと思いますね」

 もちろん、グラウンドを去るさみしさはある。「楽しみな選手はいっぱいいますし、その選手たちの行く末を見たいですけど、いつかは終わりは来るわけですから、ここでって決めたわけですから。本当にいい思いもさせてもらったし、悔しい思いも辛い思いもしましたけども、それをいるメンバーで共有できたってのが本当に感謝していますし、楽しかったですね」と言葉をかみしめた。

 中嶋監督は19年に2軍監督として古巣に復帰。20年途中から1軍監督代行を務め、21年に1軍監督に就任した。長年、低迷していたチームを立て直し、“ナカジマジック”と呼ばれた手腕を発揮して昨年までのリーグ3連覇、22年の日本一と黄金期を築いた。

 

 ◆中嶋聡(なかじま・さとし)1969年3月27日、秋田県生まれ。55歳。鷹巣農林(現・秋田北鷹)から86年ドラフト3位で阪急(現オリックス)入団。西武、横浜(現DeNA)、日本ハムと渡り歩き、2007年からバッテリーコーチ兼任。15年限りで引退。19年からオリックス2軍監督。20年途中から1軍監督代行、21年から1軍監督を務め、リーグ3連覇。22年に日本一。選手時代は通算1550試合、804安打、55本塁打、349打点、打率2割3分2厘。右投右打。

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