巨人異例15人前後の若手選手を海外3つのウィンターリーグに同時派遣へ 普段と異なる環境でメンタル強化

阿部慎之助監督

 巨人の若手選手たちが、世界各地のウィンターリーグ(WL)に参加する見通しであることが4日、分かった。昨オフもNPB選抜として参加した台湾に加え、今オフはレベルの高いプエルトリコ、さらにはオーストラリアにも2010年以来14年ぶりに派遣することを検討。総勢15人前後になる見込みで、普段とは異なる環境で武者修行をすることで、メンタル面の成長を促すのが狙い。若手の底上げを実現し、常勝軍団を目指す。

 就任1年目でリーグVを達成した阿部巨人が、ヤングGの強化に乗り出す。今オフに総勢15人前後の若手をWLに参加させる可能性が高くなった。昨季も参加した台湾に加え、メジャーリーガーも多く参加するレベルの高いプエルトリコ、さらにはオーストラリアにも派遣することを検討。どのリーグに誰を派遣するかは選定中だが、15人前後の参加も、3つのリーグへの同時派遣も、巨人では異例の試みとなる。

 各地のWLは主に若手選手に実戦の場を与え、成長を促すことなどを目的に創設されている。巨人は昨オフは台湾での「アジア・ウィンターリーグ」に堀田や萩尾ら計8選手を派遣。巨人、DeNA、中日、楽天、西武からの派遣選手による混成チームで出場した。その台湾に加え、今回検討されているプエルトリコは、16年に岡本和が参加した。メジャーリーガーも多数参戦するため競争を勝ち抜かなければ、出場機会も得られないハイレベルなリーグとなっている。もう一つのオーストラリアは、10年に亀井(現1軍外野守備兼走塁コーチ)らが参加して以来、球団では14年ぶりとなる。

 球団は今季から若手を育てるため、育成強化部を新設。ジャイアンツ寮に併設されている研究棟のラボなどを駆使し、科学的な観点から技術面や肉体面を伸ばしてきた。加えて、ファームから1軍で結果を残すためには、数少ないチャンスで結果を残す“適応力”が必要だ。そのため、WLへの派遣を通じて普段とは違う環境に適応し、どんな状況でも力を発揮できるメンタル面での成長を促すのが狙いだ。

 これまでもWLでの武者修行を通じ、飛躍を遂げてきた。岡本和は15年オフに台湾、翌16年オフにはプエルトリコのWLに参加している。「みんな気持ちのスイッチの切り替えがすごい」とメンタル面で大きく成長を果たし、18年にブレイクした。吉川も17年オフに台湾で行われたアジアWLに参加。翌18年に92試合に出場し、レギュラーに定着した。

 今季チームは4年ぶりのリーグ優勝を達成した。阿部監督は「次世代の選手を入れて勝つってこともしないといけない」と浅野や門脇ら我慢強く若手を起用。将来を見据えたチームづくりも行ってきた。今回のWLの派遣も近未来のチームへの投資となる。黄金時代をつくるべく、ヤングGの強化に余念がない。

 ◆アジア・ウィンターリーグ 2012年から東アジア地域のチームが中心となって、台湾で毎年開催される冬季リーグ。今季は11月23日から12月15日まで。19年の大会を最後にコロナ禍で中断したが、昨年復活。NPBから選抜チームが2チーム参加し、巨人からは堀田ら8選手に加え、駒田3軍監督、大竹2軍投手コーチ、橋本2軍打撃コーチが参加した。ヤクルトの山田哲人村上宗隆、オリックス時代の吉田正尚(現Rソックス)らが参加している。

 ◆オーストラリア・ベースボールリーグ 2010年に創設され、今季は11月15日に開幕。6チームがホーム&アウェーで、計40試合を戦う。レギュラーシーズンは来年1月19日に終了する。巨人からは創設初年度の10年に亀井、橋本到、金刃、小野らが参加。亀井はメルボルン・エーセズで16試合に出場し、打率4割3分8厘、7本塁打、25打点をマーク。他球団では菊池(アストロズ)や今永(カブス)らが参加したことがある。

 ◆プエルトリコ・ウィンターリーグ ドミニカ共和国、ベネズエラ、メキシコとともに4大ウィンターリーグに数えられ、メジャーリーガーも多数参加するハイレベルなリーグ。今季レギュラーシーズンは11月7日から来年1月4日の日程で開催。巨人では16年に岡本和、高木勇、平良が参加。同時期にソフトバンクから松坂大輔も参加していた。

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