アストロズ菊池雄星、第3戦先発予定ながら「連投のつもり」ブルペン待機も終戦…今オフはFAに

◆米大リーグ・ワイルドカードシリーズ アストロズ2―5タイガース(2日、 米テキサス州ヒューストン=ミニッツメイドパーク)

 シリーズ第2戦を行い、初戦黒星のアストロズは、2―2で迎えた8回2死満塁で、中継ぎ陣が崩れ、2―5で連敗し、敗退した。ア・リーグ最長だったリーグ優勝決定戦連続進出が7年で途切れた。3日の第3戦(日本時間4日)に先発予定だった菊池雄星投手は、緊急中継ぎ登板に備えてブルペン待機も出番なく、メジャー6年目が終了した。

 最後の打者デュボンが二ゴロに倒れた瞬間、ブルペンで投球練習を続けていた菊池は、しばらく立ち尽くした後、ゆっくりとフィールドを横切り、一塁ベンチに戻った。マウンドで繰り広げられる敵軍の歓喜の輪には、目もくれなかった。

 「祈るしかなかった。きょう勝たなければ明日はない。連投のつもりでした。ここで終わるとは思っていなかった」

 試合前の国歌斉唱は中堅フィールドで聞いた。フェンスに壁当ての最中だったからだ。先発の前日調整を兼ねた、中継ぎ登板の準備。任務は「4回前に先発が崩れた場合、もしくは、延長戦」。ブルペンで体を動かしながら待機。7回、アルテューベの逆転犠飛で、第3戦への道が開けたと思われた矢先、8回、暴投で同点を許し、なお2死満塁から代打イバネスに走者一掃二塁打を浴びて、夢舞台が遠のいた。

 「ヒューストンに来た意味を理解していたつもり。ポストシーズンで投げ続けるためにトレードしてもらったと思っていました」

 ブルージェイズでの実績が高評価され、7月のトレード期限で自身初のトレード移籍を経験。新天地で、好投を重ね、プレーオフ(PO)では第3戦先発と同時に、第2戦の救援登板と“最後のとりで”を任されるほどに信頼を得た。昨年はツインズとのワイルドカードシリーズで、救援投手として自身初めてのPO登板。本領発揮できなかった悔しさをぶつけ、成長を証明するチャンスでもあった。

 「ポストシーズン先発が、ひとつ自分自身の目標でもあった。1勝1敗で迎える明日については、待ちに待ったというか、僕自身が目指していたところ」と胸を高鳴らせたが、2017年以降7年間、少なくともリーグ優勝決定戦まで駒を進め、同期間中メジャー最多のPO99試合を戦い、メジャー最多の59勝を築いた常勝軍団が10月勝利なしで敗退した。

 最終目標に到達はできなかったが、常勝軍団での2か月は、新たな野球観を学び、常勝軍団の指標を考える大きな転機になった。データの見方、相手の弱点を突く戦法。発見の毎日を「インパクトが大きかった」と振り返る。

 「今までは自分の投げたいボールを投げ、気持ちいい球を投げていた。いかに打者の嫌がることをするか。バッターも自分の得意なカウントにいかに持っていくか。投手を楽にさせないかを意識している。そういうデータの扱い方はすごく勉強になりましたし、自分自身のボールを信じて使い方を考えていけば、十分これからも戦っていけるという自信も(得た)」

 33歳左腕は今オフ、再びFAとなる。来季はメジャー7年目、波乱万丈の野球人生の次章が、また、始まる。

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