51試合22ホールド、巨人ブルペン支えた27歳「睡眠に命かけた」“大谷流睡眠調整”で新人王最有力

この日の全体練習で、軽快に走り込む船迫(カメラ・相川 和寛)

 巨人の船迫大雅投手(27)は2年目の今季、51試合に登板し、4勝(無敗)、22ホールド、防御率2・37とブルペンを支え、球団最年長での新人王の有力候補だ。飛躍の秘けつである「大谷流!? 睡眠調整」を巨人投手担当の水上智恵記者が「見た」。

 ブルペンを支えた右腕が球団最年長での新人王を狙う。16日に28歳を迎える背番号58は今季、救援としてフル回転した。1年目の昨季は36試合で30イニング。新人王の資格を残していた。「新人王は去年から目指していたものではあった。運良く去年30イニングギリギリで終わっていたこともあって目指せる権利がある。でも、今年は優勝を目指して、勝ちパターンで50登板を目標にやってきた。結果的についてきたらいいなと思います」と振り返った。広島の黒原らライバルもいるが、球団では22年の大勢以来の新人王獲得も見えてきた。

 2年目のジンクスをものともせず、チームを支えてきた右腕。飛躍の秘けつは「大谷流の睡眠調整」だ。「今年は睡眠に命をかけた。試合前の仮眠をめっちゃ取った。疲れている中でも少しずつ回復に努めることができて、シーズンで戦えたのかなっていうのは一つの要因」と語る。

 ホームゲームの際は試合前などの時間を見つけて、多い時は計2時間、ビジターでも1時間ほどの仮眠を取るようにした。東京Dでは仮眠室を利用し、ビジター球場にはキャンプ用のエアベッドを持参して体の回復に力を入れてきた。

 ドジャース・大谷も10時間以上もの睡眠時間の確保をしていると言われており、コンディション管理の最重要項目に「睡眠」を掲げている。「睡眠を取らないとエネルギーにならないし、大事! 去年は36登板に終わったけど、今年はしっかり50登板できて、けがなく投げられていることは良かった」と効果を実感している。

 リーグ優勝の喜びをかみしめながらも、見つめる先は日本一。「今年は左打者の被打率(・298)が良くない。自分が目指している勝ちパターンでバルちゃん(バルドナード)、KK(ケラー)、大勢みたいな存在になるためにそこをしっかりして、来年ではなく、CSからしっかりやれるように課題を持ちながらやっていきたい」。寝る子は育つ。ポストシーズンも船迫が大きな戦力となる。(巨人投手担当・水上 智恵)

 【記録メモ】藤田&長野超え巨人最年長

 新人王候補の船迫(巨)は社会人出身(西濃運輸)の遅咲きデビュー。2年目の今年は28歳のシーズンだ。新人王の最年長は1950年の大島信雄(松竹・投手=大塚産業)の29歳。28歳シーズンは、79年藤沢公也(中日・投手=日鉱佐賀関)、85年熊野輝光(阪急・外野手=日本楽器)、04年三瀬幸司(ダイエー・投手=NTT西日本中国野球クラブ)の過去3人。28歳以上の4人はいずれも社会人出身だ。

 巨人の新人王は、20人いるが、最年長は、57年藤田元司(投手=日本石油)、10年長野久義(外野手=ホンダ)の26歳。28歳の船迫が新人王なら、年長2番目、球団では最年長になる。

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