【ヤクルト】CS消滅で今季終戦 高津臣吾監督が「一つや二つではない」と語った今季の低迷要因を考察

高津臣吾監督(左は村上宗隆)

◆JERAセ・リーグ ヤクルト6―7中日(21日・神宮)

 ヤクルトは今季134試合目でクライマックスシリーズ(CS)進出の可能性が消滅した。2年連続Bクラスが決定した。ここまで56勝74敗4分けの借金19で最下位となった。高津臣吾監督が「一つや二つではない」と語った低迷の要因を考察する。

 わずかに残されていたCS進出への道が完全に閉ざされた。敗戦後、会見場に現れた指揮官は「ただただ悔しいの一言。僕の力もチームの力もなかった」と現実を受け止めた。

 今季はシーズンを通して歯車のかみ合わないシーンが目立った。指揮官の「昨日、今日の試合が典型的な今年のスワローズかな。5点取っても、6点取っても勝てない」との言葉が示すように、20日は先発のサイスニードが初回に4失点。その後に打線が村上の2本塁打などで1点差まで詰め寄ったが、あと一歩届かなかった。

 カード2戦目は山野が初回に2失点するなど、4回5失点。打線が奮起するもまたもや1点及ばなかった。野手陣は村上が打率こそ2割4分だが、30本塁打、79打点はリーグトップ。サンタナは打率3割2分で自身初の首位打者が目前。長岡も最多安打争いに食い込む活躍を見せるなど、オスナを加えた破壊力はセ界屈指だ。470得点はリーグ2位の一方で、525失点は群を抜いてワーストとなっている。

 SNS上で「ヤ戦病院」と揶揄(やゆ)されたように、今季は2月のキャンプ中から故障者が続出するなど戦力が整わなかったのは大きな誤算だった。3月29日の中日との開幕戦(神宮)で山田が下半身のコンディション不良を発症。5月中旬には塩見が左膝靭帯損傷でリタイアした。首位打者のサンタナも夏場に左足裏の炎症で1か月も戦列を離れ、正捕手・中村も右肘痛などの影響で年間を通じた活躍ができなかった。

 投手陣では、昨季10勝を挙げ、開幕投手の有力候補だったベテランの小川が右肘炎症のアクシデントに見舞われた。昨季33セーブをマークした田口もキャンプ中に下半身のコンディション不良を発症。開幕戦の翌日に2軍落ちするなど、しばらく状態が上がらない日々が続いた。

 守護神不在で春先を迎えると、木沢、石山、星を日替わりで抑えに起用した。先発で結果が出なかった小沢を中継ぎに配置転換した。2軍で先発調整していたロドリゲスを救援として再配備し、小沢とともに勝利の方程式としてめどが立ちそうな頃には借金は2ケタとなっていた。

 先発は吉村の8勝がチーム最多。先発防御率はリーグワーストだった昨季3・95から4点台に悪化するなど、整備が施せず。2年ぶりに2ケタ勝利投手がゼロの危機となっている。即戦力として期待されたドラフト1位の西舘は1月の新人合同自主トレ中に右肘を痛めて出遅れるなど、想定していなかった事態も重なった。

 高津監督は「新しい人を何とか戦力に(したい)と思って毎年やっているけど、なかなか顔ぶれが変わらない」と指摘したように、若手を中心とした伸び悩みの事実も見過ごせない問題と言えるだろう。

 契約最終年の高津監督は今後について「特に何も考えていない」とし、林田哲哉球団社長は「まだ何も決まっていない」と来季の監督人事は白紙だと強調した。小川淳司GMは「それはもう責任は感じていますけどね」と話したが、自身の進退については明言しなかった。

 故障の予防策、来季の戦力アップを見据えた補強、ドラフト戦略、投手陣の整備など、課題が山積するチームを球団と現場はどう立て直していくのか。強い覚悟での「改革」が求められる。(長井 毅)

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