大谷翔平、３本塁打２盗塁で衝撃の「５１―５１」　ロバーツ監督「唯一無二」「ＬＡのファンはガッカリ（笑）」

◆米大リーグ　マーリンズ４―２０ドジャース（１９日、米フロリダ州マイアミ＝ローンデポパーク）

　ドジャースの１２年連続となるプレーオフ進出に大谷翔平投手（３０）がメジャー史上初の「５０―５０」の偉業で花を添えた。敵地・マーリンズ戦に「１番・指名打者」で先発出場し、３本塁打、２盗塁で一気に前人未到の記録どころか、「５１―５１」まで到達。６打数６安打１０打点で歴史的な一日となった。

　初回先頭の第１打席は右中間フェンス直撃の二塁打で出塁。１死一、二塁からダブルスチールとなる三盗を決めて５０盗塁の大台に乗せた。さらに２回一、二塁では右前適時打。一、三塁から続くベッツの２球目にスタートを切り、二盗で５１個目の盗塁も決めた。驚異の２８回連続成功とした。

　３回２死一、三塁では左中間への２点二塁打。４点リードの６回１死二塁の第４打席だった。３番手右腕・ソリアーノの２球目、８５・４マイル（約１３７・４キロ）スライダーを完璧に捉えた。打球速度１１１・２マイル（約１７９キロ）、打球角度３６度で飛び出した打球は飛距離４３８フィート（約１３４メートル）で右翼席最上段に消えた。

　そして、９点リードで迎えた７回２死三塁での第５打席目だった。４番手右腕・バウマンの４球目、外角８９・１マイル（約１４３・４キロ）ナックルカーブを打球速度１０９・７マイル（約１７６・５キロ）、打球角度２７度、飛距離３９１フィート（約１１９・２メートル）で左翼席に運んだ。２打席連発の５０号２ランに敵地は騒然。「５０―５０」を史上初めて達成し、９回２死一、二塁での第６打席では内野手のブルーハンから再び右翼席最上段までかっ飛ばす５１号３ラン。１試合３発も自身初のことだった。

　自身初の１試合６安打＆１０打点で、０６年に松井秀喜（ヤンキース）が記録した日本人選手最多１１６打点も１２０打点で一気に更新した。球団記録だった０１年のグリーンの４９本塁打など様々な記録を塗り替えた。試合後のロバーツ監督の主な問答は以下の通り。

―試合後にナインにかけた言葉は

「翔平の素晴らしい夜を祝福し、彼の素晴らしいシーズンと、そして我々がチームとしてプレーオフに出るチャンスを確実にしたことをお祝いした。それはたやすいことではない。我々はハングリー精神を失わず、１０月の最後の試合に勝つことを望んでいる。つかの間の喜びはあっていい。こんな夜は当然エンジョイすべきだ」

―過去にこんな試合を経験したことはあったか

「かつてショーン・グリーンが６打数４安打で４本塁打した試合を見たことがある。でも、今日のマグニチュードは特別だ。彼はグリーンのドジャース記録を破ったんだ。こんな試合はかつて思いつかないほどだ。ただ、シャンパンで乾杯しただけ。西海岸への移動があるからね。みんな（明日から）競り合っている球団（パドレス）との大事な試合が待っていることを理解している」

―今日の翔平には雰囲気があったか

「最初の数打席で、サイクル安打に近づいていた。（３回は三塁打を狙ってアウトになったが）問題ないと思った。アグレッシブな走塁は問題ではない。だが、その時感じるものがあった。逆方向に打ったのを見て、彼の集中力を感じた。最後の本塁打を打って、多くのロサンゼルス在住のファンが、本拠地での達成がなくなってガッカリしたかもしれないと思ったが、彼の目を見て、彼はこの偉業を今夜やってしまいたかったんだということが分かった」

―５０号は一塁が空いていた。マーリンズ側は敬遠せずに勝負。驚きはあったか

「なかった。彼が翔平に対する尊敬を語っているところを見たのでね。さらに試合はもうすでに大差がついて、勝負は手のうちになかった。（敬遠すれば）ファンの前からも、そして翔平自身からも、記録達成のチャンスを奪ってしまうことにもなる。スキップ（シューマッカー監督）はあの打席の価値（敬遠以上にあること）を知っていた。その判断には尊敬の他に何もない」

―『５０―５０』について

「彼の個人のパフォーマンスは実に非凡だ。そして、これはメジャーリーグの勝利でもある。世界中の人々がこの試合を見て、歴史の証人となったことはエキサイティングなことだ。メジャーの歴史は長いが、誰もし得なかったこと。彼は唯一無二だ。彼ほど才能ある選手は他にいないだろう。決して手加減することもなく、やった。その上で我々は試合に勝った。彼はとんでもない打席を重ねた。『５０―５０』を達成して、プレーオフを確定させた。最高の一日だ。この１年、ずっとタフに戦い続けてきた。プレーオフ出場が決まっても、まだ我々は地区優勝に貪欲だ」

―試合後のクラブハウスでの翔平はどうだった

「彼はただ、チームメイトのサポートに感謝してた。口数の少ない男だったよ」

―３本塁打目は驚いたか

「そうだね。おいおい、この男は完全にモードに入っているなと。彼は（そのモードを）手放そうとしない、ということが確実に見て取れた。その瞬間をとにかく見たいという気持ちと同時に、ロサンゼルスでも（記念の）本塁打を打ってほしいなというのはあったけど、今日やるなと思った。（９回の３本目は）期待していなかった。野手が（投手として）４０球近く投げていた中で、もう勘弁してあげてほしかった」

―『４０―４０』はサヨナラ満塁弾で決めた。記録のかかった時にすごいことをやる

「（大谷の）ボブルヘッドの日も本塁打だし。その例は何度も挙げられるよね。皆が期待する中で、結果を出す。それは素晴らしいこと」