大谷翔平「6億円記念球」日本人社長2人が明かした「分刻みの入札デッドヒート」《終了2分前、「もしかしたら買えるかも」と思ったその時…》

「そんな飛ぶ?」「何を投げても抑えられる気が…」大谷翔平にホームランを打たれた男たちの告白〉から続く

 前人未到のホームラン50本、50盗塁の「50-50」を達成したロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平(30)。その記録もさることながら、試合後に注目されたのは、記念ボールの行方だ。現地記者が語る。

【画像】約6億円の値がついた記念球

「50号本塁打がレフトスタンドに打ち込まれると、複数の観客間で争奪戦になったようです。最終的にボールを獲得した男性はドジャースからの返還交渉に応じず、後日、ボールを米オークション会社『ゴールディン』に持ち込みました」

ワールドシリーズ初戦で二塁打を放つ大谷 ©時事通信社

これまでの最高額は300万ドル超

 実はこれまでにも、歴史的記念球がオークションに持ち込まれたことがあった。

「1998年にマーク・マグワイアが放った70号ホームランボールです。これは当時、スパイダーマンなどで知られる漫画家のトッド・マクファーレン氏が300万ドル超で落札し、最高額の野球ボールとしてギネスに登録されました」(同前)

 大谷の記念ボールも同様かそれ以上の値がつくと目されており、金額でも“記録更新”が注目されていた。オークション関係者が語る。

「オークションは9月27日に50万ドルの値で始まり、10月23日午前11時を終了予定時刻としていました。最終的に日本を含めた4カ国からの参加があった」

 今回、日本からのオークション参加を表明していたのが、アパレルサイトのロコンドを運営するJADE GROUP(東京都渋谷区)の田中裕輔社長と、名古屋市を中心にM&Aを手掛けるK2(愛知県名古屋市)の後藤和成社長だ。ゴールディンの代表が「オークションそのものが、あらゆる意味で記録を塗りかえるものだった」と語った歴史的入札の内幕を、当事者に振り返ってもらった。

 そもそも今回は、オークションへの入札権を得るのも容易ではなかったという。K2の後藤社長は事前審査などの多さから自社での入札を断念し、最終的に別企業を通じた代理入札で参加。ロコンドの田中社長も、「1週間前から急ピッチで準備をしたものの、最終的に権利を得られたのはオークション開始から数時間後」だったと振り返る。

終了間際、価格が大きく跳ね上がり…

 しばらく値動きはなかったが、価格が大きく跳ね上がったのは、入札期限の終了間際だった。田中社長が悔しさをにじませる。

「終了予定時刻の2分前である10時58分まで、価格は210万ドル(約3億2000万円)で、私が最高落札者でした。『もしかしたらこのまま買えるかも』と思いましたが……」

 K2の後藤社長も語る。

「終了直前は210万ドルの値がついていました。最高値が更新されると入札期限が30分延長されるシステムで、私達は220万ドル(約3億4000万円)を差し込もうと、代行業者と電話でやりとりを始めていたところだった」

 ところが――。後藤社長が手続きをしている間に、みるみる値が上がっていった。その額は250万ドル(約3億8000万円)、そして300万ドル(約4億6000万円)へ……。

「あまりに展開が早すぎて、正直、我々が代理入札で差し込んだ金額が反映されていたのかも確認できないほど。以降はただただ、値動きを見守ることしかできませんでした」(同前)

 多くの参加者が脱落を重ねる中で、最後までデッドヒートを繰り広げたのが田中社長だった。

「こちらが310万ドル(約4億8000万円)で再入札した時に、相手の反応速度の印象から、『これで終わりかな?』と思いました。しかしそこから相手のスピードが変わった。入れても入れても再入札される……これが3回繰り返されました。最終的に予算満額の350万ドル(約5億3000万円)で入札するも、これも再入札され、ついにギブアップしました」

 こうした延長戦は2時間半に及び、最終的に落札したのは台湾企業「優式資本(UCキャピタル)」。入札価格360万ドル(手数料を含めて439万2000ドル=約6億6700万円)で、記念球を手にしたのだった。ゴールディン社はXに〈新記録 あらゆるスポーツにおけるあらゆるボールの中で最高額〉と投稿。大谷がまたもや記録を塗り替えたのだった。

公益展示の可能性も

 デッドヒートに敗れた2人の日本人社長だが、果たして落札後はどうするつもりだったのか。田中氏と後藤氏は、そろって「意外な動機」を口にする。

「最終的には大谷選手にボールをお返ししたいと思っていました」

 後藤社長が“幻の計画”を明かす。

「まずはボールを日本に持ち帰って、野球ファンや子どもたちに見てもらう機会を作りたかった。例えば大谷選手の地元・花巻など日本全国で展示する機会を作れたらと思っていました。大谷選手の二刀流には当初は賛否両論もありましたが、それでも意思を貫き、結果を出して世界でこれだけ評価されている。それを証明するボールを、日本に持ち帰りたかった。そのうえで、大谷選手が望むなら、最終的にご本人やドジャースへボールをお返ししたかった」

 一方、UCキャピタル社も公式声明の中で、公益展示の可能性に言及している。

〈私たちは台湾と日本の機関と協力し、公益展示を計画することで、ファンが間近でその輝きを目にする機会を提供することを喜んでいます〉

 オークション界でも大谷は伝説となった。

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週刊文春電子版」では、「真美子夫人&デコピン新居購入」「懲りないフジテレビ」など「大谷翔平3大秘話」を詳報している。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 電子版オリジナル)

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