夢を語り、歌い上げる彼らの美しさに心揺さぶられる! ミュージカル『ニュージーズ』観劇レビュー
ミュージカル『ニュージーズ』写真提供/東宝演劇部
夢を語り、歌い上げる彼らの美しさに心揺さぶられる! ミュージカル『ニュージーズ』観劇レビュー
芸術の秋、自分も観劇ラッシュが続き、数々の素晴らしい作品に触れて「今年はもう満足!しばらく観劇はお休みかなぁ…」なんて心穏やかに過ごしていたのですが…とんでもない!これを観ずして今年は終われない!そんな風に気持ちを爆上げしてくれる最高の作品でした!
ミュージカル『ニュージーズ』写真提供/東宝演劇部
この作品はトニー賞を受賞したブロードウェイミュージカルで、2021年に日本初演され、読売演劇大賞の作品賞にも選ばれました。当時、京本大我さんが主演を務め、今回そのバトンを受け継いだのが後輩の岩﨑大昇さん。きっと大きなプレッシャーがあったでしょうが、それを全く感じさせない堂々たるパフォーマンスを披露してくれました。
ミュージカル『ニュージーズ』写真提供/東宝演劇部
観劇する際、特に冒頭シーンに期待が高まるものですが、こんなに「美しい始まり方」をするとは思いませんでした。ビルの屋上で、岩﨑大昇さん演じるジャックと、横山賀三さん演じるクラッチーのやり取りから物語がスタート。クラッチーは足が不自由で、そのリアルな芝居には思わず同情してしまいそうになりますが、彼の持つ自尊心がそれを跳ね返し、むしろ応援したくなるキャラクターでした!個人的には、彼の声も顔も、まさに応援したくなるタイプでした(笑)。特別な会話はなくても、二人の信頼関係が自然に伝わってきたのは、彼らが役を「生きている」証拠だと感じました。それだけでも満足度が高かったのに、さらに心を揺さぶられたのは、ジャックが夢を語り、歌い上げるシーン!照明、音響、美術、そして音楽までもが完璧に組み合わさり、まさに「美しいシーンだ」と感動せずにはいられませんでした。すべての要素が見事に調和し、孤児やホームレスの新聞販売少年たち“ニュージーズ”が「同じ人間として生きている」ことを強く感じさせられました。
ミュージカル『ニュージーズ』写真提供/東宝演劇部
孤児たちの話と聞くと、暗い物語を想像してしまいますが、むしろその逆でした。一幕が終わる頃には、ニュージーズたちの熱い生き様が強烈に印象に残りました。彼らのダンスはバレエのようにしなやかで、アクロバティックな力強さもあり、演技と一体化したパフォーマンスからは言葉を超えた感情が伝わってきました。そんな彼ら一人ひとりに目を奪われること自体、稀な体験!ジャックが彼らに与えている影響も非常に強く伝わり、胸が熱くなりました。
ミュージカル『ニュージーズ』写真提供/東宝演劇部
ミュージカル『ニュージーズ』写真提供/東宝演劇部
「ワールド」紙のオーナーであるピュリツァーを演じた石川禅さんは、ニュージーズの敵役でありながら、その役柄に深みを与え、ただの悪役にとどまらず、どこか人間らしさや共感を感じさせる巧みな演技を見せてくれました。新聞記者キャサリンを演じた星風まどかさんも、ジャックに影響されながら自ら成長し、そしてその成長がジャックに影響を与えるという関係性を、清々しく美しい形で表現していました。ひときわ印象的だったのが、劇場オーナーのメッダを演じた霧矢大夢さん。彼女は温かみと包容力を感じさせる演技で、ジャックが母親のように慕う理由が一目でわかる存在感を放っていました。その優しさと力強さが舞台全体に安心感を与え、観客にとっても癒しの存在となっていました。
ミュージカル『ニュージーズ』写真提供/東宝演劇部
後半のことも書きたいところですが、それはぜひ劇場で確かめてください!
2021年のレビューもあります。『ニュージーズ』にハマった方は併せてどうぞ!
(文:かみざともりひと)
ミュージカル『ニュージーズ』
【作詞】ジャック・フェルドマン
【脚本】ハーヴェイ・ファイアスタイン
【演出/日本語訳/訳詞】小池修一郎(宝塚歌劇団)
【出演】
ジャック:岩﨑大昇
キャサリン:星風まどか
デイヴィ:加藤清史郎
クラッチー:横山賀三
メッダ:霧矢大夢
ピュリツァー:石川禅
ほか
2024年10月9日(水)~2024年10月29日(火)/東京・日生劇場
2024年11月3日(日・祝)・4日(月・振休)/兵庫・兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール
2024年11月9日(土)~2024年11月11日(月)/福岡・福岡サンパレス ホテル&ホール コンサートホール
10/11 17:10
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