アドリブから生まれた「ぼく、ドラえもんです」…大山のぶ代さん死去

 テレビアニメ「ドラえもん」でドラえもんの声を長年務めた、声優で俳優の大山のぶ代(おおやま・のぶよ、本名・山下羨代=やました・のぶよ)さんが9月29日、老衰で死去した。90歳だった。告別式は近親者で済ませた。

大山のぶ代さん(2010年3月撮影)

 東京都出身。俳優座養成所を経て俳優となり、テレビドラマに出演。声優としても活動し、テレビアニメ「サザエさん」では、初代・磯野カツオ役を演じた。

 1979年にテレビ朝日系で放送が始まった「ドラえもん」では、未来から来たネコ型ロボット・ドラえもんを独特のドラ声で演じ、優しくておちゃめな“ドラちゃん”にぴったりだった。

 「こんにちは。ぼく、ドラえもんです」というフレーズは、アドリブから生まれたという。放送20年の際、本紙の取材に、子守用ロボットなので「きちんとした言葉遣いにした」と明かしていた。2005年に水田わさびさんと交代するまで26年間にわたり、子どもたちに夢を与え続けた。

 料理研究家として著書もあり、テレビ番組にも多数出演。おおらかな笑顔は、ドラえもんを思い起こさせ、多くの人に親しまれた。15年には、大山さんが3年前に認知症と診断されたことを、夫で俳優の砂川啓介さん(17年死去)が公表。表舞台から遠ざかっていた。

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