『ポケモン×工芸展』麻布台ヒルズギャラリーで開催中 ポケモンの世界を通して工芸の美と技を味わう
石川県金沢市の国立工芸館を皮切りに、国内外で開催されてきた『ポケモン×工芸展-美とわざの大発見-』が、パワーアップして東京に巡回。麻布台ヒルズギャラリーで2025年2月2日(日)まで開催されている。
同展は、世界的人気キャラクター、ポケモンの世界と工芸とを掛け合わせたことで起こる「かがく反応」をテーマにしたもの。若手から人間国宝まで20名のアーティストが、ポケモンに挑み作品に昇華させた。東京展初披露の新作を含め、約80作品が展示されている。
展覧会の最初のセクション、「すがた〜迫る!〜」ではポケモンの姿に着目した作品を紹介する。まず鑑賞者が目にするのは金工作家、吉田泰一郎の《シャワーズ》。吉田は金属をさまざまな形や色に加工する彫金の技術でイーブイとイーブイの進化系3種類のポケモンの姿を表現。また、東京会場では2メートルにも及ぶ大作、《ミュウツー》も発表した。ミュウツーはさまざまなポケモンをモチーフとした小さな金属板を組み合わせて構成されている。
陶芸家の今井完眞はポケモンの質感を追求した陶の作品を発表。可動する金属工芸品、自在置物作家の満田晴穂はポケモンの自在置物を発表。トランセルがバタフリーに進化する感動的な場面を再現した。
つづくセクション「ものがたり〜浸る!〜」は、ポケモンの物語から着想を得た作品を紹介する。ひときわ目を惹くのは、テキスタイルデザイナー、須藤玲子の《ピカチュウの森》。無数のピカチュウの姿をニードルレースで表現した森のなかを、鑑賞者はゆっくりと探索することができる。
漆を使った造形で知られる田中信行は、ポケモンの技「かげうち」を漆で表現。発泡スチロールで原型を作り、麻布を貼り、漆を塗って乾かす作業を半年続け作品を作り上げた。ガラス作家の新實広記は、「つららおとし」をガラスで表現。ガラスは透明な部分とマットな部分が混在し、見る角度で印象が変わる。「サイバー螺鈿」で知られる池田晃将は、古代文字に似たポケモンの「アンノーン」をモチーフにした作品を発表。遺跡の出土品を思わせる器はさまざまな想像を掻き立てる。
最後のセクション「くらし〜愛でる!〜」では、暮らしの道具とポケモンとのかがく反応を楽しむ。桑田卓郎はピチューやピカチュウをモチーフにした磁器を制作。水橋さおりは友禅でメリープとモココがひしめく友禅の訪問着と、メガデンリュウの帯を制作。メリープとモココの大群のなかには色違いが紛れ込んでいるという。
ポケモンの世界を楽しむと同時に、日本の工芸品の高い技術と美しさも堪能できる、大人も子どもも楽しめる展覧会。ミュージアムショップやコラボカフェと合わせて楽しもう。
©2024 Pokémon. ©1995-2024 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.
取材・文・撮影:浦島茂世
<開催概要>
『ポケモン×工芸展-美とわざの大発見-』
2024年11月1日(金)~2025年2月2日(日)、麻布台ヒルズギャラリーにて開催
東京展公式サイト:
https://www.azabudai-hills.com/azabudaihillsgallery/sp/kogei-pokemon-ex/
11/15 18:00
ぴあ