クリープハイプ尾崎世界観×ラランド ニシダ、“ダブルスタンダード”の魅力と『#尾崎ニシダラジオ』第二回イベントの構想を語る
お笑い芸人のラジオを聴ける人気番組多数のアプリ「GERA」の中でも、人気を誇る『クリーハイプ尾崎世界観とラランド ニシダのダブルスタンダード』。その第二回目の番組イベントが開催される。2024年11月4日(月・祝)、700人キャパの東京・有楽町朝日ホールにて、14:00からと18:00からの二回公演。二公演目には、ゲストで歌人の木下龍也も出演する。 昨年の一回目のイベントは、キャパ300弱の北沢タウンホールで一回公演だったので、規模4倍以上のジャンプアップである。このイベントにいかに挑むか、普段『ダブルスタンダード』にどのように臨んでいるかなどを、尾崎世界観とニシダに訊いた。
思いもよらないところにも、確実に届いている
──このたび二回目の番組イベントが決まりましたが。こういうイベントの類いに関しては、おふたりは乗り気な方ですか?
尾崎 そうですね。ただ、こんな感じで隔週でフワッとやっている番組なのに、大丈夫かなとは思います。
ニシダ 確かに。
尾崎 このキャパで、昼夜二回は。もっとリスナーが増えてからやるべきだとは思うんですが、待っていられないというか(笑)。
──2024年3月に一回目のイベントを北沢タウンホールで開催したり、2023年にはぴあフェス(PIA MUSIC COMPLEX 2023)の会場で公開収録をやったり、文学フリマや南天堂書房白山店でロケ収録を行ったり、これまでもスタジオの外に出て、いろいろやっておられますよね。それらの中で、強く記憶に残っている出来事があれば──。
尾崎 南天堂書房に行かせていただいた時、「新潮」の担当編集者さんが来て。イヤな予感がするな、(ニシダに)名刺とか渡しそうになったら止めよう、と思っていたんですが、パッと見たらもう渡していて。
ニシダ (笑)。
尾崎 それでエッセイの依頼があって、そこから文芸誌の目次をチョロチョロするようになったんです。ニシダくんが、文芸誌で書きたいのにエンタメの方で書いているというあの感じがよかったのに! 書き始めやがって、文芸誌で。
ニシダ はははは。いいんだよ、文芸誌の目次チョロチョロはいいんだよ!
──その、編集者がニシダさんに名刺を渡していた話と、ニシダさんが文芸誌の目次をチョロチョロするようになった話は、番組の中で、もうこすり倒していますよね。
尾崎 (笑)。まあ基本的にそれしか言うことがないので。同じことを延々言い続ける。ただ意外と、思いもよらない人から、「聴いてる」と言われることがあります。
ニシダ 俺もそうです。
尾崎 ふたりとも普段それぞれの活動をしていて、いろんなところに届けててはいるけれど、そこから漏れた場所にも、確実に届いてるという実感があるので。やっている意味は、すごく感じますね。
ニシダ うん。お笑いに興味がある、っていう感じじゃない人も、聴いてくれているので。
尾崎 作家さんもけっこう聴いてくれているみたいで。まあ単純に、本の話をする番組が少ないというのはあるでしょうね。
──でも確かに、この番組で聴ける尾崎さん、新鮮なんですよね。これまでもいっぱいラジオをやってきた人だけど、こんな尾崎さんは聴いたことがなかったな、という。
尾崎 そうですか? まあ、一貫して(ニシダが)失礼ですから。俺のライブも観たくないし、活動も知らない方がいいと思っているみたいで。
ニシダ 俺は、尾崎さんが何をしてるか、基本的に、知らないようにしている。
──尊敬したくないから?
ニシダ 尊敬したくないのもあるし、僕はなんにも知らないで、事前知識なしで話した方が、ラジオとしてはおもしろい気がするし。
尾崎 ライブは一回観たけどね。ぴあフェスで公開収録をやったから、その時に。
ニシダ それで観たら、かっこよかったので。これはもう観ない方がいい、と。
──新木場の若洲公園ですよね。お客さん、パンパンでした?
ニシダ パンパンでした。
尾崎 なんでそんなこときくんですか?
──いや、若洲公園超満員って、フェスの時のクリープハイプのキャパとしては、小さい方じゃないですか。あの3倍4倍のキャパでも、いつも余裕で超満員になるから。
ニシダ へえー!
──クリープハイプ、もうベテランですけど……同じ時期にデビューしてブレイクしたバンドたちの中で、クリープハイプだけが、今も若い世代のお客さんで超満員になる。
ニシダ はあー……。
尾崎 その知識、入れちゃダメです(笑)。ニシダくんの音楽の聴き方もおもしろいんですよね。スカパラ(東京スカパラダイスオーケストラ)が好きで聴いてたって言うんですけど、「あ、あの曲、尾崎さん歌ってんのか」とか。
──はははは!
尾崎 だから、そんなにちゃんと聴いてないんですよ。聴き流したり。でもきっとそれがリアルなんですよね。
──ああ、普通の人はね。普段僕らは、音楽を熱心に聴く人たちの世界で生きてるから、わかっていないけど。
尾崎 そう、それがいいんです。こっちも新鮮だし。だからうちのメンバーも「おもしろい」と言って聴いてくれています。
前回イベントの心残り「歌詞制作」をしっかりやりたい
──で、次のイベントですが。前回、非常に盛り上がったけど、時間が足りなくて途中で終わった「歌詞制作」を、今回もやるという。
尾崎 はい。今回はしっかり時間をとって、いけるところまでいきたいです。
ニシダ 前回は、10分ぐらいでしたしね。
尾崎 それで全然やりきれなかったのに、その時の感じだけで、お客さんにちゃんと伝わっていたんですよね。「楽しかった」「ずっと観ていたい」って。今回どんな形でやるかはこれから詰めるんですけど、絶対にやりたいと思っています。
ニシダ 前回は、俺が書いた文章から、なんとなく符割りっぽい感じに整える、ぐらいで終わりましたよね。
尾崎 うん。だから今回はもう、ニシダくんが作ったメロディに歌詞を付けるのがおもしろいんじゃないかなって。
ニシダ え、メロディ?
尾崎 文章を書いてもらっても、あまり変化がないというか。
──ほかにはどんなことを考えてます?
尾崎 まずはしっかり話すということ。お客さんがいると、こうやってスタジオでしゃべるのとは変わってくると思うので──。
ニシダ うん。
尾崎 いつも空気を読み合ってしゃべってるから。お客さんが入ることによって、さらに……その空気をお客さんが読む。
ニシダ (笑)。そうですね。
尾崎 やっぱり、ただふざけてしゃべってるだけではないんです。いつも微妙に探り合っていて、その空気感が伝わったらいいですね。第一部は、それをしっかりやりたいです。
──で、夜の公演にはゲストも。
尾崎 歌人の木下龍也さん。木下さんの案では、「その場でおふたりに短歌を作ってもらうというのはどうでしょうか」って。かなりハードル高いですけど。ニシダくん木下さんに会うの初めて? ……あ、文学フリマで会ったか。
ニシダ はい、ほかでも何度か。でも、長く話したことはないので、楽しみですね。あと僕も、お客さんがいるのはありがたいというか。そうすると、こっちも変わってくるので。
ふたりが思う『ダブルスタンダード』の魅力とは?
──尾崎さんだと音楽、ニシダさんだと漫才・コントっていう本業とは違う形で、客前で何かやる、っていうのは、楽しいもの?
尾崎 楽しいですね。なんのプレッシャーもないので。
──まあ、歌わなくていいとね。
尾崎 ずっとやっていたい、これを(笑)。
ニシダ あ、自分もそうですね。ネタとか何も覚えなくていいし。気楽に、ラジオの延長で人前でしゃべって。楽しみですね。
尾崎 でも毎回、不安もありますけどね。ほんとにいつも、何も決めないまま出て行ってしゃべるので。今までは大丈夫だったけど、いよいよ今回は変な感じになるんじゃないかって。そういう緊張感はあります。
──では最後に、おふたりが思う、『ダブルスタンダード』の魅力とは?
尾崎 そうですね……まあ、ある程度、名前を出して活動している人が、あまりしゃべらないようなことをしゃべっている気がするので。
ニシダ ああ、うん。
尾崎 「聴いてます」という反響が意外なところから来るのと一緒で、こっちも、「こんなことしゃべるんだ?」ということをしゃべってる。そこが魅力だったらいいなと思います。
──ニシダさんは?
ニシダ 守備範囲の広さみたいなのが、いいとこなのかな。俺、すっごい下ネタも言ったりするし。そういう振れ幅の広さが、いいのではないかな、というふうに思います。だから、文学だけとかじゃなくて、ざっくばらんにいろいろ話しているので──。
尾崎 小説に対して、やっぱり、本物じゃないと思ってるから、自分たちが。だからちょっと斜めから入れたりするんだと思う。
ニシダ 確かに。そこらへんの悪ふざけができる感じも、いいところなんだと思います。
取材・文:兵庫慎司 撮影:源賀津己
〈開催情報〉
『#尾崎ニシダラジオ in 有楽町』
2024年11月4日(月・祝)
13:00 開場 14:00 開演
17:00 開場 18:00 開演
会場:東京・有楽町朝日ホール
出演:
<14:00公演>尾崎世界観 / ニシダ
<18:00公演>尾崎世界観 / ニシダ ゲスト:木下龍也
【チケット】
全席指定:4,000円(税込)
全席指定 特典映像付きチケット:4,800円(税込)
https://w.pia.jp/t/ozakinishidaradio/
〈番組情報〉
「ぴあpresentsクリープハイプ尾崎世界観とラランド ニシダの『ダブルスタンダード』」
配信日:隔週火曜配信 18:00更新
番組公式X(旧Twitter)
https://twitter.com/pia_gera
10/05 10:00
ぴあ