小林柊矢 リリース後恒例になった自主企画イベントを開催「僕自身いろんな音楽をしたい」

Text:石角友香 Photo:石原敦志

今の時代にむしろ尖って聴こえるほどスタンダードな音楽性でシーンに登場した小林柊矢。メジャー・デビュー4年目の今年はこれまで以上に精力的なライブ活動を行い、新たなインプットを反映した曲作りも行ってきた。そこに現在地を示すような新曲「ハイライト」が配信リリースされる。疾走感やモダンなバンドサウンドなど新鮮な聴感をまとい、ためらいがちな一歩を踏み出す勇気を後押ししてくれる1曲に仕上がった。小林の2024年を代表する同曲のリリース後には恒例になった自主企画イベント『108の日〜2024〜』も開催。今年の振り返りとともに現在地について話してもらった。

――少し早いですが、2024年を振り返ってみて今年はどんな1年だったと思いますか。

前作の「HONEY」という作品から時間が経っていますけども、その間ずっと作品作りに没頭しまして。今までの小林柊矢という定義じゃないけど、型を一回破って飛び出してみて新しいジャンルの曲にチャレンジしたり、これまでの小林柊矢を崩すという作業を一回挟んで、自分を見つめ直す期間でした。

――楽曲の作り方も変えて?

そうですね。普段はピアノだったりアコギでちょっと鳴らしてから作ることが多かったんですけど、最初にリズムを入れたり、こういう感じというニュアンスを頭に持ちながら、いつもは詞先だったりもするんですけど、曲先やメロ先にしてみたり、新しい切り込み方を試しました。

――今までのスタイルを崩すモチベーションはなんだったんですか?

セルフプロデュースをしたいっていうのがありますね。アコギを持ってというスタイルが僕のイメージであると思いますが、それも一回取っ払いたいなという思いがあって。例えばR&Bだったりバンドサウンドにも手を出したいし、それをやるには自分から勉強しないといけないなということで、いろいろ手を出すようになりました。

――同時に春から夏はサーキットイベントなどへの出演も多かったですね。

そうですね。たくさん出させていただきました。

――そういう場所でバンドやアーティストとの出会いや影響もありましたか?

たくさんありました。そもそも僕自身いろんなアーティストの方に声をかけて、その方のルーツや、どうやってその音楽性に落ち着いたのかとか、どうやってバンド組んだのかとか気になるので積極的に声をかけるようにしていますが、たくさんイベントに出させていただくと出会いもあって。下北沢のサーキットイベントにたくさん出させていただきましたが、下北沢って僕の中で登竜門のようなライブハウスがたくさんあって、その界隈にちょっと憧れがありましたけど、いろんなバンドの方と話している中でちょっとだけ下北沢という街に馴染めたのかなと思います(笑)、そのぐらいいろんな交流がありました。

――路上ライブもやっていますね。

実は結構最近のことで、それは10月の僕の自主企画に出てくれるVivanz Edenの菊地諒真という方とふたりでやっていましたが、ライブハウスでのライブとはまったく違って、まずお客さんが歩いてるところで止まってもらわないと聴いてもらえないという状況で、歌う曲でしたり声の出し方、立ち振る舞いは全然違います。

――インディーズの頃以来、再びやってみてどうですか?

あの頃より歌もギターも上手になれていたらいいですけど、やはり自分の曲が増えたというのは大きいですね。以前はカバーしかできませんでしたが、こうやってたくさん曲をリリースしているから、僕のオリジナル曲を歌ってほしいとリクエストももらえて。そういうところはうれしかったですし、変わったところではあります。

――そういうがむしゃらさみたいなものを取り戻す意味もあったり?

そうですね。初心に一回返るというか、場数がものをいう世界だと思っているので、どれだけ人前に立ってきたか、貪欲に音楽に向き合ったかというのが全部生きてくれればと思っています。

――そんな中、今回の「ハイライト」はかなりうれしいリリースなのでは?

うれしいですね(笑)。東洋建設さんからお話をいただいてCMソングとして書き下ろしで作ったので、思い入れもありますし、うれしい曲ですね。

東洋建設テレビCM『どこまで愛せるか』篇

――クラアイントとはどんなお話しを?

若手層を取り入れていきたいというお話をいただいて、僕もまだまだ若手だと思ってますし、自分のやりたいことが見つからない方でしたり、やりたいことがあっても挑戦する勇気がない方だったり、そういう友人や周りを見ながら、ちょっとでもこの主人公と重ねて羽ばたいてほしいなという意味を込めて作りました。

――どこから作り始めましたか。

この曲はまずBPMというかリズムですね。疾走感のある爽やかな、突き抜けるような曲にしたかったので、そこを表現するリズムを決めました。

――構成やアレンジも印象的で、特に大サビで景色が変わりますね。

これはまさに作っている間に出てきたのですが、大サビでガラッと雰囲気を変えたく。ちょっと懐かしい回想のイメージを僕はしていて、本当に歌詞にあるように地元の公園の草むらに秘密基地作っていました(笑)、その頃をイメージして作って。そこでガラッと変えたいなという思いがあり三拍子を取り入れてリズムを変えるところから始めました。

――若い視聴者の方にも浸透させていきたいという意図のCMだと思うんですけど、小林さん自身はどんなストーリーが浮かんだのでしょう?

Aメロでも歌っている通り、この主人公は髪のなびいている隙間から世界を見ているような臆病者ですけど、その主人公がもがいたり抗ったりすると、飛び立とうとしても羽はどんどん落ちるじゃないですか。でもその落ちた羽は僕がちゃんと拾うからという意味を込めて、背中を押せるような曲になってほしいという思いがあります。この企業さんだけでなく、日本を背負っていくのはやっぱりこれからの若い層の方だと思うし、その若い層の方がどれだけ未来に向かって羽を広げられるかという部分を意識しました。

――あとは若さ、もしくは自分らしさの象徴として青っていう言葉が印象的に使われています。

青はそうですね。今夢中でもがいている方はもちろんですし、その感覚が思い出せないとかだんだん薄れてきてしまう方も、この曲をきっかけにその感覚を思い出してほしいですし、その感覚が絶対今後自分の背中を押してくれると思いますし、この曲は一緒に歌える曲だと思うので、ライブでも一緒に叫んで歌ってほしいと思いますし、自分の夢に向かって頑張りたいという意味も込めて入れましたね。

――CM映像は若手の社員の人たちがコンセプトを作ってロケ場所も選定されたそうで、そこもすごく意義深いなと。

そのお話も聞いた時うれしかったです。ちょっとでもCMを見て、この曲を聴いて、東洋建設に入りたいと思ってくれる人が増えたらうれしいですし、この曲を聴いて夢に向かってもう一度羽を広げられる人が増えたらいいなと願っています。

――この曲作ってみた手応えはいかがですか。

早くライブでバンドを背負って披露したいなという思いが強いですし、実際出来上がったCM内で流れているのを見て、改めてこの曲を見つめ直せたというか、自分で作った曲であることを忘れるぐらい新鮮な気持ちで聴きました。CMに出演している方も実際の東洋建設の社員さんでして。そのひとりひとりの瞳の輝きというか、目に闘志というかちゃんと光があって、この曲の意味をもう一度改めて教えてもらったというか。

――アウトロもいいですね。小林さんらしいロングトーンで。

ありがとうございます。なんで「う」の母音にしたのかわかんないですけど(笑)。でも、この「ハイライト」のようなロングトーンの曲をカラオケで歌ったら気持ちいいじゃないですか。そこも意識して作りました。

――新鮮な曲ですけど、そこは小林さんらしさだなと思いました。

自分の良い部分は残しつつできました。

――そして恒例になった自主企画イベント『108の日』ですが、会場に渋谷eggmanを選んだのはここがライブアーティストの登竜門的な場所だからだそうですね。

そうですね。一度だけライブさせていただきましたが、やはり一度は自主企画でやりたいなと思いまして。

――どんなライブになりそうでしょうか。

自分の大好きなアーティストを呼んでライブをさせていただくという、本当に贅沢なイベントですが、Vivanz Edenという同い年で切磋琢磨してきたアーティストとやっと一緒にライブができるということで、僕自身もそのライブを楽しみます。ジャンルは全然違うし、音楽の幅は広いライブになりますけど、どういう化学反応が起きるのかというのは自分でも楽しみです。ちょっとセッションもしたいなというのも自分の中では思っていて、いろんなことをやろうと思っています。

――小林さんは弾き語りですか?

ドラムの方がひとりついてツーピースです。珍しいですけど、自分の中でリズムを大事にしていた期間でもあったので、ドラムの方がひとりいてくれると頼もしいというか、いるといないのではまったく違うぐらいドラムひとつで迫力が出るので、その少ない音での良さというか、バンドサウンドとは違う楽しみ方をしてほしいなと思います。あとピアノの弾き語りもちょっとやろうと思っています。

――分かりました。楽しみですね。では、最後に目下小林さんが目指していることをお伺いしていいですか?

最初の話に戻りますが、自分の芯に縛られ過ぎないということですかね。デビューしてからの小林柊矢を見つめ直すと、いい意味でも悪い意味でもずっと同じスタイルでやっていたというか。でも自分の殻を破ってしまえばどこまででもいけるだろうし、僕自身いろんな音楽をしたいというのも、もちろんあります。でも自分の今までのスタイルに戻ると安心しちゃう部分があって、音色でしたり、コード進行、メロディを中々変えられなかったのですが、それを一回とっぱらって恐れず挑戦して見える景色もあると思うので、自分の芯を持ちながら、それだけに縛られない意識をして、これからも続けていこうかなと思います。

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<リリース情報>
配信シングル「ハイライト」

2024年10月4日(金) リリース

<イベント情報>
小林柊矢 自主企画イベント『108の日~2024~』

2024年10月8日(火) 東京・Shibuya eggman
開場 18:30 / 開演 19:00
出演:小林柊矢 / Vivanz Eden
一般:4,500円 ※入場時ドリンク代が必要
https://w.pia.jp/t/kobayashitouya-t/

公式サイト:
https://kobayashitouya.com/

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