1本のヴァイオリンが描き出す偉大なる小宇宙を体験

現代最高のヴァイオリニストのひとり、クリスティアン・テツラフによる、無伴奏ヴァイオリンリサイタルが開催される。

プログラムに選ばれたのは、名高い『シャコンヌ』を含む、J.S,バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番&無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番。そして、クルターグの『サインとメッセージ(J.S,バッハへのオマージュ 他)』に、バルトークの無伴奏ヴァイオリン・ソナタという豪華なもの。

バッハ作品を筆頭に、他のすべてがバッハとの関連を持つ作品だけに、バッハを軸にした音楽史の流れを俯瞰する貴重な機会と言えそうだ。

「J.S.バッハのソナタとパルティータを弾くとき、私たちは死と絶望について語ることになる。これらの曲は、ただならぬ表現に満ちた音楽的な声明。そして音楽的なスピーチだ。弾き手は弱拍と強拍の対比を生み出し、時には没我するような自由も必要となる」

「もっぱら完璧な演奏を求めるだけの聴衆には、私の演奏は何ら意味をなさないだろう」

チラシに書かれた上記の言葉は、2017年に行われたインタビューにおけるテツラフの発言だ。あれから7年の歳月が過ぎた現在のテツラフの心情やいかに。すでにバッハの無伴奏を3回も録音しているテツラフの今を聴くチャンス到来だ。

クリスティアン・テツラフ

■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2451035

<無伴奏リサイタル>
10月6日(日) 15:00
青山音楽記念館 バロックザール
10月7日(月) 19:00
紀尾井ホール

●クリスティアン・テツラフ(ヴァイオリン)

クリスティアン・テツラフは、現代最高のヴァイオリニストのひとりであり、常にエキサイティングな活動を展開している。幅広いレパートリーを持ち、古典派、ロマン派、現代のレパートリーにも精通し、ベートーヴェン、ブラームス、チャイコフスキー、ベルク、リゲティの協奏曲の解釈でニュー・スタンダードを打ち立て、革新的な室内楽プロジェクトやバッハのソロ作品の演奏で高い評価を得ている。ヨアヒムのヴァイオリン協奏曲のように忘れられた名曲に目を向ける一方、イェルク・ヴィトマンのヴァイオリン協奏曲(2013年初演)のように、現代の作品の紹介にも積極的である。カーネギーホール、ウィグモア・ホール、ベルリン・フィル、チューリッヒ・トーンハレ管、フランクフルト放送響のアーティスト・イン・レジデンスをつとめたテツラフは、2021/22シーズンに再びウィグモア・ホールのアーティスト・イン・レジデンス、2022/23シーズンにはロンドン交響楽団の「ポートレート・アーティスト」に選出されている。

録音では、バルトークの協奏曲の録音やベートーヴェンとシベリウスのヴァイオリン協奏曲の録音で数々の賞を受賞、2022年にはブラームスとベルクの協奏曲を録音し高く評価されている。バッハの無伴奏ソナタとパルティータを今までに3度録音しており、『The Strad』誌は、2017年の録音を「バッハの無伴奏作品に宿る美への細心かつ快活な応答」と評し、絶賛した。室内楽では1994年にテツラフ・カルテットを結成、また妹のターニャ・テツラフ、ピアニストの故ラルス・フォークトとのトリオでも積極的に活動し、このトリオでのシューベルト作品の録音は数々の名誉ある賞を受賞している。 ドイツのヴァイオリン製作者ペーター・グライナーの楽器を使用。クロンベルク・アカデミーで定期的に教えている。

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