中河内雅貴×上川一哉「ムーラン・ルージュ!」で出会ったふたりが贈るスペシャルなshow『The Gentlemen's』

橋本さとし、石井一孝、中河内雅貴、上川一哉、村井國夫。日本屈指のミュージカル俳優たちが、自ら出演し演出もするという、歌って踊るスペシャルなイベント、その名も『The Gentlemen's』。『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』日本初演(2023)で出会い、今年上演中の同再演で親交を深めたという中河内雅貴と上川一哉のふたりに、曲者揃いの先輩たちと、ゲスト・小野田龍之介の6人で贈るShowの構想を聞いた。

きっかけは「一緒に踊りたい」

――『The Gentlemen's』はミュージカル俳優たちが、自ら演出・出演を担当し、歌って踊るユニークなショーです。オファーが来た時はどう思われましたか?

中河内 その時点で(橋本)さとしさんとカズ(石井一孝)さん、一哉が決まっていたんです。一哉が僕と「一緒に踊りたい」と言っているよと聞いて、まあいいか〜って(笑)。

上川 お話をいただいた時に、ぜひガウチさんと一緒に踊りたいなと、聞いてもらったんですよね。

――ダンスのパートナーとして?

上川・中河内 パートナー!?(爆笑)

中河内 いやいや、男ふたりでパ・ド・ドゥはきついです。

――演出を出演者が手掛けるところが素敵ですね。企画は進んでいますか。

中河内 先日、この若手ふたりが率先して、ある大きなナンバーの骨組みを作ってみたところです。

上川 (橋本)さとしさんから、普通に歌うだけじゃつまらない、逆に思い切りかっこよく見せてほしいと、ふたつのリクエストがありました。とりあえずきちんとした骨組みを作っておけば、あとは先輩たちがうまく料理してくださるだろうと。

中河内 『ムーラン・ルージュ!』の本番中、さとしさんが控え室で「ふたりがほんまにやりたいことやっていいから。頼んだな」と託してくださったんです。僕らが先輩方にこれ歌ってほしい、踊っているのを見たいというものも要望として出しています。

一筋縄ではいかない先輩たちの化学変化も楽しみに

――共演の皆さまの印象をお聞かせいただけますか。まずは『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』でもご一緒だった橋本さとしさん。

中河内 ライブ感をつかむのがとても上手ですよね。『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』のジドラーでもそうでした。お客様を楽しませたいという思いが強い方で、普段やらないようなことも挑んでいらっしゃる。すごく素敵で見習いたいです。

上川 また歌声が素晴らしく、聴かせるところはきちんと聴かせてくださる。すごく真面目にやって、真面目にふざけている感じがします。今回のライブでもどんな飛び道具が出てくるのか楽しみです。

――村井國夫さんは大先輩ですね。

中河内 僕は初めましてでして、初めてお会いした時は緊張しました。でも僕のことを知っていてくださり、気さくにお話しさせていただいて、すごく素敵でダンディー、そしていい声!あまりに気持ち良くて眠りに誘われるくらい(笑)。癒しの声です。

上川 一度ライブでご一緒して、村井さんのライブも観に伺いました。曲を語る、聴かせる時の集中力がすごいです。お客さまが聴き入っていて、僕もこの歌声をこの場で聴くことが出来てよかった! と心から思いました。こうして一緒に作らせていただけるのは貴重な機会なので、いろんなお話を伺いたいですね。ステージではストレートにお話しされる村井さんとさとしさんのやりとり、その化学変化を見てみたいです。ちょっとドキドキしますけど(笑)。

――心配なのは、村井さんのオヤジギャグ連発におふたりがついていけるかどうか。

中河内 大丈夫! 集中して、ギャグを逃さず受け止めます。ハハハ!って笑って、すぐに切り替える。

上川 キャッチ&リリース!そう考えると、僕たちやることが多いですね(笑)。この3日間で痩せるかも(笑)。

――もうひとりは石井一孝さん。

上川 ある意味、一番の飛び道具かもしれません(ごめんなさい、カズさん!?)。カズさんの天然っぷりがトーク中に炸裂するのでは? 今回、カズさん作のオリジナル曲が披露されるもの楽しみにしていただきたいです。そして、さとしさんとカズさん、村井さんが共に歌うミュージカルナンバーは見どころのひとつ。さとしさんもカズさんも村井さんのことをすごく尊敬されているんですよね。

中河内 大人の3人による重唱、素敵な世界が広がるでしょうね。

“何でもできる”小野田龍之介をゲストに迎えて贈る大メドレー

――ゲストには小野田龍之介さんがいらっしゃいます。

中河内 龍之介は踊れて歌えて何でもできる。今回は他公演の稽古中だから踊りはあまりできないかもしれないけど、でも本人がやりたいと言ってくれるなら何か一緒にできたらいいなと思っています。

上川 予定している大メドレーがあるのですが、これは『Mon STARS』(編集注:橋本さとし、石井一孝、岸祐二によるユニット。2011年に帝国劇場で上演されたミュージカル『三銃士』での共演をきっかけに結成された)の定番で、人気演目だったそうです。今回は基本、龍君(小野田)と僕らふたりが主体となってやる予定。さとしさんからはバチバチにかっこよくしてと言われているんですが、僕らが考えるとどうしてもオモシロにいっちゃう(笑)。あと、先輩たちを登場させたいんですけど。

中河内 それも一捻りした方法で。ただ通過するだけとか、客席に座っているとか。そんなことができる機会はまずありませんから。先輩たちの負担にもならないだろうし、僕がお客さんなら絶対に嬉しい。

――それはお客さん喜びますよ。メドレーにはもうひとつ、傑作ミュージカルのものがあります。

中河内 そこではしっかり僕らのダンスをお見せ出来ると思います。

上川 ミュージカルライブだと歌中心のことが多いけれど、今回は歌って踊って笑いもある。先輩たちのバックで踊らせていただくのも、本当に貴重なコラボレーションになるでしょうから、シンプルに楽しみです。

――おふたりは、意外なソロを歌われますね。中河内さんはジュリーの名曲、上川さんはJ-POPのバラード。

中河内 先輩方と打ち合わせをした時に歌謡曲が出た流れで、僕これ歌えます!って提案しました。自分の事務所のライブで歌ったことがありまして。あまり新しい歌だと浮くかな?と、バランスを考えて選んだものです。

上川 僕も同じく、世代を考えて選曲しました。ちょっと落ち着いた感じで決めたいかな。そういえば、このソロの振付はどうするんですか?

中河内 僕、自分で自由に踊ろうと思ってるけど。

上川 え、そうなんですか!? 僕のも振り付けてくださいよ。

中河内 うーん、どうしようかなぁ(笑)。

――上川さんのミュージカル曲に、これまた意外な曲が。

上川 『Mon STARS』の時、ゲストの井上芳雄さんが歌われた曲です。さとしさんも出演なさっていたミュージカルのナンバーなので、僕この曲を歌います!ってなりました。「(橋本の口調で)ええやんか、一哉」と曖昧なリアクションをいただきましたけど(笑)。

――今回、課題にしていることはありますか。

上川 先輩方をうまく導き、同時に導いてもらうことでしょうか。

中河内 それは大事だよね。率先していただけたら僕らはついていくし、逆に先輩たちがやっていいよと言うなら、僕らが前に出ればいい。良きバランスでやれるのが一番です。

上川 僕らも先輩のかっこいい姿を見たいですしね。

中河内 本当にそう!

良い意味で裏切りたい

――実はとても楽しみにしている、パフォーマンスはありますか?

上川 僕は村井さんのミュージカルソロ。歴史的な名曲。

中河内 それは間違いない。

上川 聴きたくてもなかなか聴けないですからね。そしてもう一曲、誰もがご存知の有名なバラードもすごいですよ。

中河内 わかる。歌わずとも語りかけるだけで涙が出てきちゃう。村井さんはそういう力を持っていらっしゃるから。もちろん、さとしさんもカズさんも楽しみです。そして、一哉と龍之介のソロも。

上川 ここでしか出来ないことを、たくさん詰め込みたいですね。

中河内 普通のライブ?コンサート?と思いきや、どんでん返しじゃないけど、良い意味で裏切りたい。それにまだ、今のセットリストにはMCの時間を入れていないので、MCを入れると2時間ノンストップになるわけですよ。

上川 それは大変だ(笑)。

中河内 喋りだすと止まらない方々ばかりなので、多分、僕らが止めなきゃいけない。その演出が難しそうだし大変かなって思っています。

上川 僕ら、タイムキーパーの役目も忘れちゃいけないですね(笑)。

――そもそも、上川さんと中河内さんはいつから交流があるのですか?

上川 昨年の『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』初演からですね。その後『イザボー』があって、『ムーラン・ルージュ!~』再演と、ずーっと一緒なんですよ。望海風斗さんと甲斐翔真くんと僕らふたり。

中河内 それでギューッと距離が近くなって。

――お互い、イメージ通りでしたか?

上川 全然違いました(笑)。

中河内 『ムーラン・ルージュ!~』初演ではWキャストのグループが違ったので、実はそんなに喋っていなかったんです。『イザボー』の稽古場で一哉が隣の席で、こんなに喋る人なのかと驚きました。年齢も出身地も近くて、共通点も多い。それからギュン!って距離が縮まったね。

上川 ガウチさんは、最初怖かったですよ(笑)。

中河内 な~んでみんなそう言うかなぁ。何も怖いことしてないのにぃ(苦笑)。

上川 冗談です(笑)。稽古場でもみんなを引っ張ってくれて、頼りにされるいいお兄ちゃんです。プライベートでは飲みに行って、いろんな話をさせてもらっています。

――それはやはりふたりでパ・ド・ドゥやらないと。

中河内 実はふたりで〈闇が広がる〉をガチでやろうか考えていたんですよ。僕がトートで一哉がルドルフ。でも既に内容がボリューミー過ぎて、もう枠がとれなかった。

上川 それはもし『The Gentlemen's 2』が実現するなら、その時のお楽しみに(笑)。

――ではおふたりがバチバチ踊るのを楽しみにしています。

上川 そういえば大メドレーは曲数、かなりありますよね?

中河内 そうですね、見応え、聴き応えしかありません。この曲!えーっ!?って盛り上がること請け合いです。

上川 結構長いので、体力大丈夫かな? もしかしたら後半からもう先輩方のお世話ができないかも(笑)。

中河内 ね。しっかり鍛えて、観客の皆さんと盛り上がりたいです。

上川 はい、頑張ります!

取材・文:三浦真紀 撮影:藤田亜弓

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<公演情報>
『The Gentlemen's』

演出:The Gentlemen

音楽監督:立川智也

出演
橋本さとし 石井一孝
中河内雅貴 上川一哉
村井國夫

ゲスト:小野田龍之介

2024年10月9日(水)~10月11日(金)

会場:I'M A SHOW

チケット情報:
http://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2453113

公式サイト:
https://sunriseproduce.bitfan.id/contents/menu/88423

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