アーティストデュオ・Nerholの大規模個展が千葉市美術館で 千葉市をテーマにした最新作も発表

現在、最も注目を浴びているアーティストデュオ「Nerhol(ネルホル)」の、美術館では初となる大規模な個展が、9月6日(金)から11月4日(月・祝)まで、千葉市美術館で開催される。この会場ならではの最新作も発表される注目の展覧会だ。

Nerholは、紙と平面的構成によるグラフィックデザインを行う田中義久(1980–)と、紙や文字を素材とする彫刻家の飯田竜太(1981–)により、2007 年に結成されたアーティストデュオ。2012年、人物を数分間撮影し、出力された200 枚のカットを重ね、彫刻を施したポートレートシリーズで大きな注目を集めた。人物の連続写真を彫刻化するこの初期の作品から、今日では植物へと関心を広げ、自生地から日本国内に持ち込まれて野生化した帰化植物や、ケイ酸が地中で長い時間をかけて浸透することで石化した珪化木などにも着目し、独自の世界観を深化させ続けている。

《Verbena brasiliensis》2023年 ©Nerhol Courtesy of Yutaka Kikutake Gallery Photo by Yosuke Torii

同展の大きな見どころは、近年国内外で展覧会が続くNerholが、これまでの重要作や未発表作をアーティスト独自の視点によって再構成すること。写真と彫刻、自然と人間社会、見えるものと見えないものといった複数の境界を、ふたりが日々の会話のように行き来して紡いできた作品を網羅的に鑑賞し、その多様性にふれられる貴重な機会となっている。

また今回の見どころのひとつは、千葉市をテーマとした最新作の発表があることだ。紙やその原料となる植物は、グラフィックデザインを行う田中にとっても、また紙や文字を素材に彫刻を制作する飯田にとっても重要なモチーフのひとつ。同展では、千葉市の花であり、古代の蓮をルーツとする「オオガハス」をテーマに、千葉市指定文化財である美術館1階の「さや堂ホール」で大規模なインスタレーションが展開される。また、Nerholが選んだ千葉市美術館のコレクションと彼らの作品を一緒に展示し、この館でしか体験できない空間を創出する試みもあるという。

《Sonchus asper》2021年 ©Nerhol Courtesy of Yutaka Kikutake Gallery

コラボレーションに力を入れているNerholは、今回は現代美術家であり、起業家でもある施井泰平との協働を予定している。そして、会場の展示計画では、建築家の西澤徹夫が協力している。現代的な視点から、人間社会と自然環境や、時間と空間に深く関わる探究を続けているNerholの作品を、緻密に構成された展示空間の中で鑑賞できるのは、刺激的な体験となるに違いない。

<開催概要>
『Nerhol 水平線を捲る』

会期:2024年9月6日(金)~11月4日(月・祝)
会場:千葉市美術館
時間:10:00~18:00、金土は20:00まで(入室は閉室30分前まで)
休室日:9月9日(月)、9月24日(火)、10月7日(月)、10月21日(月)
※10月7日(月)は全館休館
料金:一般1,200円、大学700円
※金土18:00以降は観覧料半額、10月18日(金)は無料
公式サイト:
https://www.ccma-net.jp/

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