どぶろっくがツーマンライブを開催「作ってきたネタが一貫して下ネタだというのが、ここへきてロックなものに思えてもらえてる気もする」
Text:川上きくえ Photo:吉田圭子
女性の困惑を自身への好意と捉える「もしかしてだけど」、イソップ寓話「金の斧」のパロディー「農夫と神様~大きなイチモツ~」など、下ネタを使った歌ネタで人気のどぶろっく。笑いと音楽を融合させたスタイルは数あれど、その芸風はもはや唯一無二といえる。そんな彼らが今年も、奥田民生をはじめ音楽界で名を馳せるアーティストたちとの対バンツアー『掟破りのガチンコマッチツアー』を決行。圧倒的な歌唱力とネタへのこだわりを持つどぶろっくは、その存在こそがロックなのだと誰もが体感できるステージになるだろう。
──どぶろっくはこれまでにもアーティストとの対バンはやってきてるんですよね。
江口 そうですね、ツアーじゃなくて普通の対バンとか、ロックフェスに出演みたいなのはここ数年ちょこちょこやらせてもらってます。6人組の「どぶろっかーず」というバンドもやってるので。
──今回の『ガチンコマッチツアー』は昨年に続き2度目となりますが、おふたりにとってミュージシャンやバンドとの対バンはどんな意味合いのものなんでしょうか。
森 ツアー自体はイベンターさんからお話をいただいたことから始まったんですけど、僕らはフェスとかライブに呼ばれる側でいることが多いので、逆に自分たちがホストになってミュージシャンをお招きしたいなというのがあったんです。ホストという重責のある立場でしたけど、音楽ファンのみなさんが受け入れてくれた感じがして、それはすごく自信になりました。僕らが対バンさせてもらってる人たちはずっと音楽一本で、お客さんの盛り上げ方を追求してきた方たちだから、お客さんもごまかしが効く人たちではない。そういうお客さんに喜んでもらえたのはすごく嬉しかったですね。
江口 まず、ツアーのタイトルがチンコって言いたいがために「ガチンコツアー」ってなってるもんだから、対決っぽさを煽ってるんですよね。だから去年はけっこう緊張したんですけど……結果、めちゃめちゃ楽しかった。色々考えたけど、結局どこもそれぞれの見せ方や楽しみ方があるから、あんまりそういうのを気にせず自分らが楽しむのが一番だなって気づいたんです。そうしたらおのずとお客さんたちも楽しんでくれるんだなっていう。
──全力で演奏して歌ってネタを披露する。つまりライブは、どぶろっくのロック魂をもっとも感じられる場所なのかもしれないですね。
森 そうなんですよね。江口は学生時代にバンドでプロを目指していた時期もあったし、僕も昔からずっと音楽が好きだし。ふたりでお笑いをやろうと決めてからも、いつの間にか歌ネタをやることになって今に至るんです。でも、そうやって好きなことをやってきた中で、僕らがずっと作ってきたネタが一貫して下ネタだというのが、ここへきてロックなものに思えてもらえてる気もするんですよね。始めたときより、だいぶ受け入れられ方が変わってきたというか。僕らが何かを変えたわけじゃなくて、みなさんが僕らを以前より立派なものにしてくださってる感じがするんです。
──コンプライアンスも厳しくなり、時代の流れに逆行してるなと感じることもありますか?
江口 いやもう、すごく感じます。だから難しいところもあって。めちゃくちゃ盛り上がるときもありますけど、やりすぎたな……と思わざるを得ないときもある。今の世の中、目の前の人がいつでも味方なわけではないんで(笑)。
森 難しいよね。だからいろんなネタを見せつつも、お客さんに最後まで味方でいてもらうっていうのが、僕らの専らの目標なんです。
──対バンでいろんなバンドのファンに見てもらえるのは、うれしくもあり緊張する瞬間でもありますね。民生さんとの対バンは昨年に続き二度目ですが、民生さんと面識はあったんですか?
江口 前回、対バン相手を決めるときにダメ元でお願いしたら快諾してくださって、最後にコラボまでやらせていただいたという経緯があって。さすがに今年は無理かなと思ってたんですけど、森が一緒にゴルフに行ったりと地道な努力をして、今年の出演OKを獲得したんです。
森 もともと民生さんと面識は全然なくて、去年、リハのときに会場外の喫煙所でバッタリお会いしたのが最初なんです。天気が悪くてずっと空を見てたら、民生さんが「雨降るのかなぁ?」っておっしゃって。あ!これは民生さんの「野ばら」という曲の「雲行きが気になって見ていたら 君んとこは昨日から下り坂」という出だしだ! って思ったら、勝手に身近に感じちゃったんですよね。そこからゴルフの話とかしはじめて、ライブのあとにコンペに呼んでもらえるようになって。まさか民生さんと対バンできるなんて夢にも思わなかったです。僕なんて大学のときにバイクで佐賀から長崎まで、民生さんが出るフェスを見に行きましたから。
江口 感動です。僕も前回のツアーで、民生さんのステージを袖で見てたらツーっと涙がほほを伝いましたからね。泣きましたよ、もう。
──民生さんの曲もユーモアがありますが、音楽性が似ていると思う部分はありますか?
江口 あ、似てるところはあるのかもしれないですね。民生さんも「息子」という歌を歌ってらっしゃったりするから。
森 それはそういう意味じゃないから!
──そして今回は民生さんの他に超能力戦士ドリアン、chelmicoと対バンです。それぞれどんな内容になりそうですか?
江口 うれしいことに超能力戦士ドリアンは前回のツアーに来てくださってたそうで、喜んで出ますと言ってくれたそうなんです。ライブがすごく盛り上がるバンドなんで、どうなるのか楽しみですよね。chelmicoは…女性アーティストなのに僕らと対バンしてくれるって、うれしいですよね。ラップデュオだし、僕らと一番かけ離れてるぶん一番楽しみですね。3本とも思いっきり楽しんでやりたいなぁと思っています。
──ちなみに対バンツアーを無事完走した後、どぶろっくとして次にどんな展望を抱いてますか?
江口 具体的に考えてたりはしないですけど…僕はソロデビューとかですかね。
森 初めて聞いたよ!
江口 セクハラピストルっていう名前でやろうかなと。
森 怒られるわ! なんか、人の役に立てるような活動できたらいいですよね。商店街を盛り上げるテーマソングとか。
江口 たまに思うんですけど、このままいったらチンコとかおっぱいとか言う人がいなくなると思うんです。時代的に。それは良くないんで、どっかでそのへんを守っていかなきゃいけない。僕らが次の世代に語り継いでいかなきゃいけないなと思うんです。下ネタも楽しめる世の中でいられるよう、僕らで免疫をつけてもらってね。
森 ずいぶん大きな使命があるんだね、僕ら(笑)。そのためにも今回のガチンコツアーに来ていただいて、ライブの雰囲気だけでも味わってほしいですね。普通のライブやお笑いステージとは違う楽しさがあるはずなので!
どぶろっくコメント動画
<公演情報>
掟破りのガチンコマッチツアー
2024年6月26日(水) 東京・Spotify O-EAST
出演:どぶろっく、奥田民生 ※SOLD OUT
2024年7月16日(火) 大阪・umeda TRAD
出演:どぶろっく、超能力戦士ドリアン
2024年7月23日(火) 愛知・ダイアモンドホール
出演:どぶろっく、chelmico
料金:いちもっつチケット(特典付)18,200円、一般6,000円
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/doburock2man/
06/19 12:00
ぴあ