ダ・ヴィンチ、フェルメールなど名画の銅版画約100点を公開 『ルーヴル美術館の銅版画展』八王子市夢美術館で
美の殿堂として名高いフランスのルーヴル美術館の一部門「カルコグラフィー室」の銅版画を紹介する展覧会が、6月28日(金)から9月1日(日)まで、東京の八王子市夢美術館で開催される。フランス王ルイ14世治世下に設立された「王の版画原版収集室」を起源とする歴史ある部門に光をあてる興味深い展観だ。
あまり耳慣れない言葉だが、「カルコグラフィー」とは、ギリシャ語で「銅(カルコス)に描いたもの」を意味するという。写真技術の誕生以前は、学術研究や芸術作品の複製をつくるために銅版画は欠かせないメディアだった。17世紀に絶対王政を極めたルイ14世も、銅版画による複製に力を入れた人物のひとり。フランス王家の権勢を国内外に知らしめるため、壮麗なイベントや王宮、芸術作品などを銅版画で記録することを奨励し、「王の版画原版収集室」を設立したのだ。そしてこの原版コレクションは、続く歴代の王たちの下でさらに豊かになっていく。
ルーヴル美術館の「カルコグラフィー室」は、フランス革命後の1797年、「王の版画原版収集室」や「王立絵画彫刻アカデミー」のコレクションなどを統合し、王家所有の3,000枚のコレクションを引き継いで誕生した。銅版画とともに銅版の原版を収集・保存する同室は、銅版画の技術の保存も使命とし、原版をもとに新たな版画を刷るほか、ルーヴル美術館の名画を版画化するという重要な役割も担うようになった。さらに、19世紀以降、銅版画芸術の新しい創造のために、同時代の作家たちにも原版制作を依頼してきた同室は、ルーヴルで唯一、現代作家の新作も含むユニークなコレクションを有している。
現在、グラフィック・アート部門の一翼を担う同室が保存する原版は、13,000枚を超える。同展は、日本での特別公開のために、歴史ある原版をそのまま使って新たに刷られた100点あまりの版画を紹介するものだ。王政の時代のルーヴル宮やヴェルサイユ宮を記録した作品から、レオナルド・ダ・ヴィンチやラファエロ、フェルメールやレンブラント、ダヴィッドやアングルなど、ルーヴル美術館を代表する名画の数々、そして20世紀の作品まで、多彩な銅版画群を通してヨーロッパの美術史が一望できるとともに、ルーヴル美術館の奥深い魅力を再確認できることだろう。
<開催概要>
『特別展 ルーヴル美術館の銅版画展』
会期:2024年6月28日(金)〜9月1日(日)
会場:八王子市夢美術館
時間:10:00~19:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合開館翌日休)
料金:一般800円、大高・65歳以上400円
公式サイト:
https://www.yumebi.com
06/12 11:30
ぴあ