新作『Here Comes The Sun』を上演。埼玉でしか味わえない、コンドルズのブレない魅力

近藤良平率いるダンスカンパニー、コンドルズが6月8日(土)・9日(日)、埼玉・彩の国さいたま芸術劇場で新作『Here Comes The Sun』を上演する。トレードマークとして知られる学ラン姿のダンスに、コントや人形劇まで飛び出す型破りな舞台は国内外で人気を博しているが、中でもこの埼玉での公演は、彼らの尖った一面がいっそう際立つパフォーマンスを堪能できる。

結成は1996年。若手の活躍も目立つ一方、古くから活動するメンバーの多くは50代も半ばを過ぎたけれど、彼らが放つダイナミックでコミカルで躍動感たっぷりのダンスはずっと変わらず、抗い難い不思議な魅力を放つ。同じ学ラン姿なのにそれぞれが超個性的。彼らをリードする近藤のキレのあるソロも、さらに深みを増して目が離せないし、コントでとことん笑えるのもコンドルズの公演ならでは。さまざまな手を尽くして、ダンスの楽しさを伝えてくるその姿勢はいまも全くブレず、老若男女の心をしっかりと捉えている。

そんな彼らが放つ「埼玉新作シリーズ」が始まったのは2006年。17作目になるという今回の公演の見どころは、この劇場の機構を存分に活かした作品づくりだ。たっぷりと奥行きを使った空間はシンプルに美しいし、メンバーたちが奈落からぐぐぐっとせり上がる大掛かりな仕掛けも決めて、その迫力に「これぞ舞台芸術!」とドキドキさせられる。ハリボテ感満載なところも彼らの魅力だけれど、それに加えてより尖った姿勢を見せてくれるのが、埼玉での彼らだ。

2022年より彩の国さいたま芸術劇場芸術監督としても多忙な日々をおくる近藤だが、やっぱりコンドルズでの彼も観たい。大規模改修による約1年半の休館を経てリニューアルしたばかりの劇場で、コンドルズ自体もまた新たな魅力を打ち出してくれるはず。タイトルに据えたのは、ビートルズの名曲「Here Comes The Sun」。ポジティブで希望に満ちた時間を存分に楽しみたい。

取材・文:加藤智子

<公演情報>
『Here Comes The Sun』

構成・振付・演出:近藤良平

出演:コンドルズ
石渕聡、オクダサトシ、勝山康晴、香取直登、
鎌倉道彦、黒須育海、古賀剛、小林顕作、
スズキ拓朗、橋爪利博、藤田善宏、安田有吾、
山本光二郎、近藤良平

2024年 6月8日(土)・9日(日)
会場:埼玉・彩の国さいたま芸術劇場 大ホール

公式サイト:
https://www.saf.or.jp/arthall/stages/detail/99306/

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