純烈、険しい道を切り拓いてたどり着いた今 紅白は「10回を目標に」 メンバーの卒業・加入で感じた思いも

●現体制最後の座長公演に意気込み 岩永卒業後にも言及
今年デビュー15年目を迎え、11月25日に初の日本武道館公演を開催するムード歌謡コーラスグループ・純烈。2022年末に小田井涼平が卒業し、2023年1月1日から岩永洋昭が加わり新体制で活動してきたが、来年3月で岩永が卒業することになり、1月7日~28日に東京・明治座で上演される『明治座新春純烈公演』、2月6日~17日に大阪・新歌舞伎座で上演される『新歌舞伎座純烈公演』が、現体制最後の座長公演となる。4人にインタビューし、同公演への意気込みや、デビュー15年目の今の思い、そして今後について話を聞いた。

明治座では3回目、新歌舞伎座では2回目となる座長公演は、今回も芝居とコンサートの2部構成。第1部の芝居「俺たちはダディじゃねえ!」は1950年代のアメリカを舞台にした書き下ろしコメディで、白川裕二郎は花形パイロットのポール、酒井一圭は大リーガーのロック、岩永洋昭はコメディ俳優のリッキー、そして3人に「誰かがこの娘の父親だ」と訴える謎の男・ウォルターを後上翔太が演じる。

――公演への意気込みをお願いします。

後上:3回目の座長公演となりますが、1回目と2回目をやった上でお声がけいただいたと思います。これからも純烈の座長公演が続いていくように、来た皆様に楽しんでいただいて、いい公演になるように努めたいと思います。

白川:座長公演をやらせていただいたときに、いろんなことが起きている純烈なんですけど、今回は岩永が来年3月で卒業ということで4人での座長公演は最後になりますので、岩永ファンはもちろん、たくさんの方に見ていただけるように精一杯やらせいただければと思います。

岩永:3月末で卒業なのでラストスパートに近い公演になると思います。純烈に入るまで座長公演はやったことがなく、自分自身は2回目になりますが、来ていただく皆さん、スタッフと、一生に残る思い出にしたいなと。全力で臨みたいと思います。

酒井:1月2月と、明治座、新歌舞伎座と続く長丁場は初めてなので、3月に岩永が卒業するまでは「休まねーぞ!」というか、12月と1月で呼吸を置かず、そのままツッコんでいくしかないよなという感じで、みんなで力を合わせて大千秋楽まで行ければいいなと。すごく長いマラソンに挑む感覚です。

――岩永さんを含む4人で活動した期間は、グループにとってどういうものになっていますか?

後上:小田井さんと入れ替わりで、(2023年)1月1日明けて0時15分ぐらいに岩永さんと合流し、一番最初は蒲田の温泉に行きました。そこからスタートし、岩永さんにとっては初めてのこと、純烈としてもこの4人でやるのは初めてという2023年で、今年も初めてのことがたくさんあるので、余韻に浸れる感じではないなと。この体制の集大成という最後のほうに明治座、新歌舞伎座という大きなステージがあるので、中身が詰まりきった時間になって終わってくんだなと思います。

――小田井さんが卒業される前にインタビューさせていただいた時は、“第二の純烈”構想も話してくださり、いろんな可能性を探られていた時期だったと思いますが、メンバーの卒業・加入を経験したことで、グループとして何か見えてきたことはありましたか?

後上:純烈を見に来てくださるお客さんやマダムたちが望んでいるものや喜ぶ顔はそんなに大きく変わらないので、メンバーが変わろうが、いろんな条件が変わろうが、皆さんが望む姿を提供していく職種なんだなと実感しました。

白川:本当だね。6人から始まって、1人、また1人と減り、新しく入学みたいな形で入ってきたメンバーがいなくなって来年3人になってしまうことに、少し不安がありますが、岩永は1人になるので、そちらのほうが心配な気持ちもあります。10数年ずっと駆け足で来たグループに途中から入ってきて、休憩する間もなく岩永も走り続けてきたので、かわいそうだったと思うんです。ダンスも歌も1人でやらなきゃいけない期間が長く、一緒に合わせる時間とかがあればよかったのかなと思ったりもしています。

岩永:その分、キャバレー時代などを経験してないので、途中から入るということは、そういったことをやらなきゃいけないと、ある程度覚悟はしていました。

――岩永さん卒業後は、3人で活動されていくそうですね。

白川:今のところは3人でということになっていますが、ちょっと寂しいんじゃないかという声がファンの皆さんからあったら、また誰か入るかもしれないですし、そうじゃないかもしれないですし、その時になってみないとわからないというところはあると思います。

――今後はわからないということですが、まずは新メンバーを入れずに3人で活動しようと決断した理由を教えてください。

白川:途中で入るのは大変だと思いますし、辞めちゃうから(笑)

●紅白は今後も変わらぬ目標「後上の父ちゃんが10回出てほしいと」
――今年は初の武道館公演があり、7年連続紅白出場の期待もかかっていますが、純烈さんにとってどんな年になりそうですか?

後上:まだ紅白は決まってないですし、武道館も開催前ですが、すでにだいぶ濃い1年に。1月に大阪新歌舞伎座で座長公演をやらせていただいたところから始まり、前年の紅白が終わってほっと一息して、緩く漕ぎ出すはずの自転車が、1月から立ち漕ぎし、それ以降もいろんな地方に行って歌うという従来の純烈の日常がずっと続いてきたので、今の段階で今年も濃かったなと、すでに年の瀬感があります。

白川:ここまで走り続けてきているというのは、今年に限らず、去年も一昨年もそうですけど、ずっと立ち漕ぎしている状態です。毎年紅白出場という大きな目標をずっと掲げてやっていますが、今年ももし決まれば、また報われるのかなと思います。

――『紅白歌合戦』はやはり、純烈さんにとって今後もずっと目標であり続けるわけですね?

白川:紅白はきっと変わらない目標だと思いますし、これからもそれを目指して頑張っていければなと思っています。純烈は1回出られればいいなと思っていましたが、出れば出るほど、また出たいという風になってくるので、10回を目標に。リーダーが10回という目標を口にしていたので。

酒井:後上の父ちゃんが「10回出てほしい」と言うので。「7、8、9、10、この4回は超難しいですけど、挑む価値はありますよね。やれるところまでやってみようと思います。

――そして、来年は明治座での座長公演が最初の大イベントになると思いますが、この公演は純烈さんにとってはどういう公演になりそうですか?

後上:純烈としても新年1発目の仕事になりますし、ファンの方にとってもお正月でめでたい雰囲気ですが、明治座さんという伝統がものすごい場所の1年間のスタートを預かるということで、我々もお客さんもそうですけど、明治座さんにとってもいい1年のスタートになるような公演にしたいなと思います。

――岩永さんにとっては一つの集大成的な公演になるかと思いますが、いかがでしょうか。

岩永:気負うと空回りしてしまうので、変わらず。でも、純烈としての座長公演はおそらく最後になるので、自分も含め、来てくださる皆さんと強い思い出の一つになればいいなという思いを込めて挑もうと思います。

――今年デビュー15年目に突入しましたが、今後どのようになっていきたいと考えていますか?

酒井:いや~わからんね。どうしたいというのもそこまでないんです。だからお客さんの日々の体調とか、メンバーもそうだし家族の事情とか、いろんなことが影響していくと思うので、自分としてはそれに対応しながら形にしていくという感じだと思います。ここまでの15年ですら成り行きなので。もちろん一生懸命やることには変わりないですけど。

――先を見据えるというより、目の前のことにしっかり向き合っていきたいと。

酒井:本当にそうです!

――新しいことにも挑戦され、ますますパワフルになられているように感じます。

酒井:浮世離れしてるっちゃしてますよね。純烈を結成した時が最も離れていて、「お前らが紅白かよ」「出られるわけないやろ」というのがスタートなので、あの頃に比べたらだいぶ理解者が増えた感じがするし、もうちょっと続けたらどんな世の中になって、純烈もどうなるんだろうと、サイコロを振るような楽しみがあります。

●デビュー15年目も綱渡り状態「常にギリギリの登山を続けている感じ」
――岩永さんは卒業後、俳優として活動されていくとのことですが、抱負をお願いします。

岩永:純烈でいろんな経験させてもらって、俳優でも活かせることはすごくいっぱいあると思っているので、純烈で僕を知ってくださった人たちの目に留まるような活動ができたらいいなと思います。

――白川さんと後上さんは、純烈として今後どういう風に活動していきたいと考えていますか?

白川:自分の体力が続く限り、そして皆さんの体力が続く限り、純烈を続けていきたいなと思っているので、これからも応援よろしくお願いします。

後上:求められている限り、お仕事をいただけるうちは頑張りたいなと。一切仕事の予定がなく1カ月のカレンダーが真っ白になったら、転職を考えようかなと思うので、そのときまでは純烈を頑張りたいなと思います。

――活動初期はお客さんがほとんどいないこともあったそうですが、当時と今の状況を比べると感慨深い思いになりますか?

後上:個人的には、そんな前と今日を比べることはあまりないかもしれません。

酒井:今の純烈がよっぽど調子が良く見えているんだろうなと思いますけど、一進一退でっせ!

白川:綱渡り状態(笑)

――今でも?

酒井:もちろん! 紅白に出ようが明治座が決まろうが、健康センターやキャバレー時代と歩いている道が違うかというと、地獄とギリギリロードというのはずっと変えてないんです。狙っている道は常にスリリングで、命がけやないと無理。ええところの道は大手事務所が線路を作っているので、僕らが通る道は限られていて、そこを狙っていくと木も切らなあかんし、絶壁やし。そこを通り続けているので鍛えられるけど、常にギリギリの登山を続けているという感じです。

――ギリギリのところを攻めてきたからこそ今があるのでしょうか。

酒井:そうですね。だからこその急成長……まさかこんなに純烈が続くとは、世の中の人もファンも僕らも思ってなかったけど、日々の積み重ねが結果的にモンスターを作った感じがします。

――今後も変わらず険しい道を!?

酒井:これしかないからね!

●ファンや家族、自分のため…4人それぞれの原動力を語る
――皆さんの原動力もお聞かせください。

後上:お客さんが目の前にいたり、収録だとスタッフさんが目の前にいたり、誰かの前で何かをやることが多いので、目の前にいる人たちが楽しそうに帰っていく姿を見られるように日々努めていこうという繰り返し。新しいことも、目の前の人がやってほしいと言っているしなって。求められたらやろうという気持ちです。

白川:僕もファンの皆さんや自分の親族が、日々いろんなことで疲れたり元気がなかったりしても、僕たちのステージやテレビを見て、元気をもらったり、ファン同士でコミュニティができたり、そういった話を聞くとすごくうれしくて、力をもらいます。純烈は「夢は紅白! 親孝行!」というキャッチフレーズでずっとやらせてもらっていますが、うちの母が今年91歳になり、僕の名前を忘れてしまったり、ベッドで寝たきりということが多いですが、僕がテレビに出ていると目の色が変わって「裕二郎が出ている」と。そういうのを見るともっと頑張らなきゃいけないなと思うし、僕が出ることがうちの母ちゃんには一番の薬になると思っているので、純烈をやり続けたいと思います。

岩永:純烈に入る以前の俳優時代からずっと思っていたことですが、僕も2人と一緒で、映画やドラマに出たら、親族や友達が喜んでくれるし、純烈に入ってからも、自分の家族も何度もコンサートに来てくれて、ファンの方はもちろん、自分の一番身近な人たちが喜んでくれるというのが原動力です。

酒井:この肉体が使い物にならなくなるまで、この体を利用して行けるところまで行ったろうという感覚が小さい頃からあって、突き進むという根性が消え去らない。自分は自分のためにやっていると思います。究極言うと家族とかファンじゃないと思う。もちろん喜んでいただきたいという思いでやるんですけど。北島三郎さんのようにあそこまでやり切った先輩がいて、そういう人たちのバトンを感じるので、あんなに長くは続けられないけど、次の人にバトンを渡すまでは頑張ろうという思いです。

――最後に「明治座新春純烈公演」に関してメッセージをお願いします。

酒井:もちろん多くの方に来てほしいですけど、特に元気がなかったり、疲れたり、ちょっと自分の矢印が下がっているなという方、思い切って明治座の入り口をくぐって客席に座ってくれれば、僕らなんとかしますので、ぜひともお集まりいただければと思います!

■純烈
2007年結成。元戦隊ヒーロー俳優中心の4人組ムード歌謡コーラスグループ。 メンバーは酒井一圭(リーダー)、白川裕二郎、後上翔太、岩永洋昭。2010年「涙の銀座線」でメジャーデビュー。「夢は紅白親孝行」を目標に掲げながら温浴施設で地道に活動を続ける姿が“スーパー銭湯アイドル”としてテレビ番組に多数取り上げられ、注目を浴びた。2018年、グループ結成から11年で『第69回NHK紅白歌合戦』初出場を果たし、6年連続出場継続中。11月25日には初となる日本武道館公演が開催される。

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