澤穂希「“ゾーン”に入った最初で最後の瞬間でした」初優勝した「ワールドカップ ドイツ大会」での“劇的同点弾”を回顧

藤木直人、高見侑里がパーソナリティをつとめ、アスリートやスポーツに情熱を注ぐ人たちの挑戦、勝利にかける熱いビートに肉迫するTOKYO FMのラジオ番組「SPORTS BEAT supported by TOYOTA」(毎週土曜 10:00~10:50)。

今回の放送は、番組10周年を記念して、第1回目のゲストとしてご出演いただいた、元なでしこジャパン(サッカー女子日本代表)の澤穂希(さわ・ほまれ)さんがリモートゲストで登場! ここでは、なでしこジャパンが初優勝を果たした2011年の「FIFAワールドカップドイツ大会」を振り返りました。


(左から)藤木直人、澤穂希(PC画面)、高見侑里


澤さんは、なでしこジャパン(サッカー女子日本代表)のキャプテンとして、2011年の「FIFAワールドカップドイツ大会」では、優勝とともに大会の得点王とMVPを獲得。続く2012年ロンドンオリンピックでも、サッカー女子日本代表史上初のメダルとなる銀メダル獲得に大きく貢献するなど、日本の女子サッカー界を牽引してきましたが、2015年に現役を引退しました。

◆この10年で私生活は激変

澤:番組10周年記念、おめでとうございます!

藤木:ありがとうございます! 10年といえば我々も大きく変わりましたけれども、澤さんにとっても非常に大きな変化があった10年だったのではないですか?

澤:もうすぐ現役を引退してから10年が経ちますし、そのあいだに結婚、出産もして、本当にあっという間の10年でした。

藤木:お子さんはサッカーをされていたりするんですか?

澤:サッカーはやっていないですが、何かボールを与えたら普通にこなしてやってくれます(笑)。

藤木:澤さんがすごいサッカー選手だったということはもう認識されているんですか?

澤:最近(お母さんが)サッカーをやっていたことには気づいていますし、テレビやお友達に言われたりもして、認識はしてくれていますね。

藤木:いつか「サッカーをやりたい!」と言うかもしれませんね?

澤:そうですね。でも、私が教えることは多分ないと思います。

藤木:そうなんですか!?

澤:自分の子どもだと厳しくなりますし、子どもにも甘えが出ちゃうと思うので、もしサッカーを始めるとしたら、違う指導者にお願いすると思います。

◆2011年「FIFAワールドカップドイツ大会」を回顧

藤木:この番組では、澤さんにゆかりのあるゲストも出演していらっしゃいます。そのなかで、2011年のワールドカップ優勝メンバーの宮間あやさんが(当番組に出演した際)「ドイツ入りした日に、澤さんが『あや、この大会で優勝する気がする』と予言してビックリした」とおっしゃっていましたが、ご自身では覚えていらっしゃいますか?

澤:はい、あやと一緒に散歩をしていたときに言った記憶があります。

藤木:そういう予言めいたことは、よく言われるのですか? それとも、そのときにたまたま降りてきたんですか?

澤:今はそこまでではないですが、昔から第六感が働くことが多々あって、その当時も、なぜかは分からないですけれど、チームの雰囲気、みんなのコンディションの良さ、チームワーク、団結力とか……何か流れに沿っていくと“このチームだったら優勝できる”“今しかない!”と思ったんです。

藤木:アスリートは活躍できる年齢も限られていますし、もし叶えられるんだったら“この大会がチャンスだ”と思ったのでしょうか。

澤:それもありましたし“このメンバーで絶対に優勝したい!”とも思いました。本当にずっと苦楽を一緒にして戦ってきたメンバーでしたし、家族以上に一緒にいた時間が長かったので。“このチームのために自分は全力を出し切れる”と思えたメンバーでしたね。

藤木:それだけ思い入れのあるチームで実際に優勝できて、その喜びは相当なものだったのではないですか?

澤:当時の自分の人生のなかで一番うれしかった瞬間でしたね。ワールドカップで優勝することが本当に夢であり目標だったので、世界一になれた日は本当に夢の時間でした。表彰式とかが終わって、打ち上げをして30分だけ寝られる時間があったんですけど、起きたときにメダルが横にあって“やっぱり夢じゃなかったんだ!”って(笑)。それくらいアドレナリンも出ていましたし、大興奮でした。

藤木:決勝のアメリカ戦で(延長後半での同点ゴールを決めた)宮間さんのコーナーキックからの(澤さんの)シュート! 映像で何回観てもどうやってシュートを打っているのかが分からないんですが、どうやって決めたんですか?

澤:(笑)。でも、あのシーンって実は宮間のスーパー(プレー)なんですよ。最後の最後まで(状況を)見て、自分が走るコースに(ボールが来るように)蹴っているんです。それって本当に難しいことで、もう“点で合わせる”というか……私の思惑は、高さのあるアメリカにヘディングでは絶対に勝てないと思ったので、ああいう速いボールで、ニアサイドで日本ならではの俊敏性を効かせたら、どこかに当たって、それでコースが変わって(そのこぼれ球を)誰かが入れてくれたらいいな、と思って蹴ったんです。

藤木:じゃあ、ご自身で決めるというよりは“ゴール前に流し込めれば”ぐらいのイメージ?

澤:そうですね。コースを変えて……と思ったら入っていて“うわ~!”みたいな(笑)。実際は最後ワンバック選手に当たってコースが変わったんですけど、あれこそ、アスリートでいう“ゾーン”に入った瞬間でした。物事が全部スローに見えて……言葉で言うのが難しいんですけど(笑)。

藤木:ゾーンに入る体験って、そうそうないんじゃないですか?

澤:あれが最初で最後です。ただ、その1回が決勝のあのゴールで良かったです。本当にサッカーの神様からの贈り物でしたね。でもあれは、本当にみんなの気持ちが入った得点でした。私だけではなく、女子サッカーに携わってきてくれたすべての人たちの思いがあったからこそ、あのゴールが生まれたと思っています。

<番組概要>
番組名:SPORTS BEAT supported by TOYOTA
放送日時:毎週土曜 10:00~10:50
パーソナリティ:藤木直人、高見侑里
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/beat/

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