心当たりがあれば“肝炎ウイルス検査”を…「C型肝炎特別措置法」に基づく給付金について専門家が解説
杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。
6月9日(日)の放送テーマは、「知っていますか? C型肝炎特別措置法」。厚生労働省 医薬局血液対策課 課長補佐の金子健太郎さんをゲストにお迎えして、血液製剤によるC型肝炎感染、C型肝炎特別措置法について伺いました。
◆「C型肝炎」は自覚症状が少ない病気!?
C型肝炎とは、C型肝炎ウイルスに感染することによって起こる肝臓の病気です。主な肝炎ウイルスはA、B、C、D、E型の5種類があり、AとEは主に食べ物、B、C、D型は主に血液を介して感染します。そのうち、慢性化するのがB型とC型です。C型肝炎の約30%は自然に治癒しますが、残り約70%は慢性肝炎へと進行します。
C型肝炎が慢性化すると、20~30年をかけて肝硬変(かんこうへん)や肝臓がんに進行することがありますが、ウイルス性の肝炎は自覚症状が少ないことでも知られています。症状が出たとしても“なんとなくだるい”“食欲がない”といった一般的な体調不良のような症状の場合もあり、非常に気付きにくい、やっかいな病気です。
◆“血液製剤”によるC型肝炎ウイルス感染について
C型肝炎の感染ルートは、汚染された注射器や注射針を使用した場合や、母子感染のほか、血液から作られた医薬品(血液製剤)の投与による感染などが挙げられます。
血液製剤とは、献血などによって提供された、ヒトの血液を原料として作られた医薬品のことで、輸血に使われるものと、出血を止めるために使われるもの(止血剤)があり、金子さんは「私たちの血液には、出血したときに血液を固めるのに必要な“血液凝固因子”という成分が含まれており、その成分を取り出して医薬品が作られています」と説明します。
その血液製剤ですが、1964年から86年まで販売されていたもののなかにC型肝炎ウイルスが入っていたことが判明。その血液製剤を投与されたことでウイルスに感染してしまい、慢性肝炎や肝硬変、肝臓がんなどの病気になってしまった方がいます。当時「フィブリノゲン製剤」「血液凝固第Ⅸ因子製剤」と呼ばれる医薬品にC型肝炎ウイルスの混入リスクがありました。
そのため、1964年~1994年頃のあいだに出産や手術などをしたことがあり、止血剤としてこれらの血液製剤を使われた方は、C型肝炎ウイルスに感染している可能性があります。しかし、対象となる血液製剤が納入されたとわかっている医療機関7,000ほどのうち、記録が残っていた医療機関はわずか1,500ほどにすぎず、金子さんは「2~3万人ほどの方に投与されたことが判明しています」と言及。
投与されたことが判明した方には病院からのお知らせが届きますが、連絡先が不明な場合もあり、いまだに感染の可能性があることを知らない方が大勢いる状況です。
改めて金子さんは「1964年~1994年頃に、何らかの理由で大量の出血があり、医療機関で処置した経験がある方は『肝炎ウイルス検査』を受けていただきたいです。そして、C型肝炎ウイルスが入った血液製剤を投与したことが原因でC型肝炎ウイルスを発症されたと判明した方は、C型肝炎特別措置法に基づき、給付金を受け取っていただきたいです」と呼びかけます。
◆「C型肝炎特別措置法に基づく給付金」を受けるために
「C型肝炎特別措置法に基づく給付金」とは、特定の血液製剤の投与によってC型肝炎に感染した方を救済するための給付金です。これは2002年以降、特定の「フィブリノゲン製剤」「血液凝固第Ⅸ因子製剤」の投与によってC型肝炎ウイルスに感染した方々により、国と製薬企業に対して「C型肝炎訴訟」が提起され、この訴訟の解決を図るために2008年1月16日から施工されたのが「C型肝炎特別措置法」です。
国は感染被害者の方々に甚大な被害が生じ、その被害の拡大を防止できなかったことについて責任を認めています。金子さんは「お金を給付することで責任を果たせるものではないことは承知しておりますが、C型肝炎ウイルスに感染された方や、それによって尊い命を失ってしまった方のご遺族には、C型肝炎特別措置法に基づく救済の仕組みに沿って給付金を受け取っていただければと思います」と述べます。
給付金の対象となるのは、妊娠中や出産のとき、または手術や特定の病気により大量出血などがあったために、特定の血液製剤の投与を受けたことによってC型肝炎ウイルスに感染された方です。
給付を受けるには、まず、国を相手として裁判所へ訴訟を起こす必要があります。訴訟を起こすと、裁判所で対象となる血液製剤が投与されたかどうか、その投与と感染の因果関係、症状について判断がなされます。これらの事実関係が認められる旨の判決が確定、または和解・調停が成立した場合には、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)に給付金の支給を請求できます。そして、給付額は裁判手続きのなかで認められた症状に応じて1,200~4,000万円が、本人や亡くなられた方の遺族に支給されます。
厚生労働省では、C型肝炎や給付金に関する相談窓口を設けています。政府広報オンラインでは、C型肝炎の情報や厚生労働省の相談窓口などもまとめて紹介しています。金子さんは、「訴訟の提起には2028年1月17日までの期限がありますので、最寄りの弁護士会や法テラスにご相談いただければと思います」と補足します。
また、対象となる可能性のある方や、当該の血液製剤の納入が確認できている医療機関リストについては、厚生労働省のC型肝炎に関するページに記載されています。肝炎ウイルス検査は近くの保健所や医療機関で無料、または低額で受けることができます。詳細はお住まいの自治体にお問い合わせください。
番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「C型肝炎特別措置法」について復習します。“心当たりのある方は肝炎ウイルス検査へ”という注目ポイントを挙げた村上は、「自覚症状がなくても“もしかしたら私も……”という思いがありましたら検査に行ってほしいです」と呼びかけます。
一方、杉浦は“C型肝炎特別措置法”をポイントに挙げ、「裁判をするのに大変なこともありますが、サポートもありますので、いろいろなことを学んでいきましょう」とコメントしました。
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6月9日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年6月17日(月)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://audee.jp/program/show/300007925
6月9日(日)の放送テーマは、「知っていますか? C型肝炎特別措置法」。厚生労働省 医薬局血液対策課 課長補佐の金子健太郎さんをゲストにお迎えして、血液製剤によるC型肝炎感染、C型肝炎特別措置法について伺いました。
◆「C型肝炎」は自覚症状が少ない病気!?
C型肝炎とは、C型肝炎ウイルスに感染することによって起こる肝臓の病気です。主な肝炎ウイルスはA、B、C、D、E型の5種類があり、AとEは主に食べ物、B、C、D型は主に血液を介して感染します。そのうち、慢性化するのがB型とC型です。C型肝炎の約30%は自然に治癒しますが、残り約70%は慢性肝炎へと進行します。
C型肝炎が慢性化すると、20~30年をかけて肝硬変(かんこうへん)や肝臓がんに進行することがありますが、ウイルス性の肝炎は自覚症状が少ないことでも知られています。症状が出たとしても“なんとなくだるい”“食欲がない”といった一般的な体調不良のような症状の場合もあり、非常に気付きにくい、やっかいな病気です。
◆“血液製剤”によるC型肝炎ウイルス感染について
C型肝炎の感染ルートは、汚染された注射器や注射針を使用した場合や、母子感染のほか、血液から作られた医薬品(血液製剤)の投与による感染などが挙げられます。
血液製剤とは、献血などによって提供された、ヒトの血液を原料として作られた医薬品のことで、輸血に使われるものと、出血を止めるために使われるもの(止血剤)があり、金子さんは「私たちの血液には、出血したときに血液を固めるのに必要な“血液凝固因子”という成分が含まれており、その成分を取り出して医薬品が作られています」と説明します。
その血液製剤ですが、1964年から86年まで販売されていたもののなかにC型肝炎ウイルスが入っていたことが判明。その血液製剤を投与されたことでウイルスに感染してしまい、慢性肝炎や肝硬変、肝臓がんなどの病気になってしまった方がいます。当時「フィブリノゲン製剤」「血液凝固第Ⅸ因子製剤」と呼ばれる医薬品にC型肝炎ウイルスの混入リスクがありました。
そのため、1964年~1994年頃のあいだに出産や手術などをしたことがあり、止血剤としてこれらの血液製剤を使われた方は、C型肝炎ウイルスに感染している可能性があります。しかし、対象となる血液製剤が納入されたとわかっている医療機関7,000ほどのうち、記録が残っていた医療機関はわずか1,500ほどにすぎず、金子さんは「2~3万人ほどの方に投与されたことが判明しています」と言及。
投与されたことが判明した方には病院からのお知らせが届きますが、連絡先が不明な場合もあり、いまだに感染の可能性があることを知らない方が大勢いる状況です。
改めて金子さんは「1964年~1994年頃に、何らかの理由で大量の出血があり、医療機関で処置した経験がある方は『肝炎ウイルス検査』を受けていただきたいです。そして、C型肝炎ウイルスが入った血液製剤を投与したことが原因でC型肝炎ウイルスを発症されたと判明した方は、C型肝炎特別措置法に基づき、給付金を受け取っていただきたいです」と呼びかけます。
◆「C型肝炎特別措置法に基づく給付金」を受けるために
「C型肝炎特別措置法に基づく給付金」とは、特定の血液製剤の投与によってC型肝炎に感染した方を救済するための給付金です。これは2002年以降、特定の「フィブリノゲン製剤」「血液凝固第Ⅸ因子製剤」の投与によってC型肝炎ウイルスに感染した方々により、国と製薬企業に対して「C型肝炎訴訟」が提起され、この訴訟の解決を図るために2008年1月16日から施工されたのが「C型肝炎特別措置法」です。
国は感染被害者の方々に甚大な被害が生じ、その被害の拡大を防止できなかったことについて責任を認めています。金子さんは「お金を給付することで責任を果たせるものではないことは承知しておりますが、C型肝炎ウイルスに感染された方や、それによって尊い命を失ってしまった方のご遺族には、C型肝炎特別措置法に基づく救済の仕組みに沿って給付金を受け取っていただければと思います」と述べます。
給付金の対象となるのは、妊娠中や出産のとき、または手術や特定の病気により大量出血などがあったために、特定の血液製剤の投与を受けたことによってC型肝炎ウイルスに感染された方です。
給付を受けるには、まず、国を相手として裁判所へ訴訟を起こす必要があります。訴訟を起こすと、裁判所で対象となる血液製剤が投与されたかどうか、その投与と感染の因果関係、症状について判断がなされます。これらの事実関係が認められる旨の判決が確定、または和解・調停が成立した場合には、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)に給付金の支給を請求できます。そして、給付額は裁判手続きのなかで認められた症状に応じて1,200~4,000万円が、本人や亡くなられた方の遺族に支給されます。
厚生労働省では、C型肝炎や給付金に関する相談窓口を設けています。政府広報オンラインでは、C型肝炎の情報や厚生労働省の相談窓口などもまとめて紹介しています。金子さんは、「訴訟の提起には2028年1月17日までの期限がありますので、最寄りの弁護士会や法テラスにご相談いただければと思います」と補足します。
また、対象となる可能性のある方や、当該の血液製剤の納入が確認できている医療機関リストについては、厚生労働省のC型肝炎に関するページに記載されています。肝炎ウイルス検査は近くの保健所や医療機関で無料、または低額で受けることができます。詳細はお住まいの自治体にお問い合わせください。
番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「C型肝炎特別措置法」について復習します。“心当たりのある方は肝炎ウイルス検査へ”という注目ポイントを挙げた村上は、「自覚症状がなくても“もしかしたら私も……”という思いがありましたら検査に行ってほしいです」と呼びかけます。
一方、杉浦は“C型肝炎特別措置法”をポイントに挙げ、「裁判をするのに大変なこともありますが、サポートもありますので、いろいろなことを学んでいきましょう」とコメントしました。
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6月9日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年6月17日(月)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://audee.jp/program/show/300007925
06/10 20:30
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