毎年“約2,900人”が「子宮頸がん」で命を落とす…がんになるリスクを減らす「HPVワクチンの接種」を解説
杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。
7月14日(日)の放送テーマは、「大切な未来を守る 子宮頸がん予防ワクチン」。厚生労働省 健康・生活衛生局感染症対策部 予防接種課の早田英二郎さんをゲストにお迎えして、HPVワクチンの重要性、キャッチアップ接種について伺いました。
◆“子宮頸がん”の特徴を解説
日本人の2人に1人は、生涯のうちに何らかの「がん」になると言われています。今回は、女性がかかる「子宮頸がん」の予防について学んでいきます。
子宮頸がんは、日本では年間約1万1,000人の女性が子宮頸がんにかかり、毎年約2,900人が命を落としています(厚生労働省のホームページ「HPVワクチンについて知ってください」より)。他のがんとは違って20代の若いうちから患者が増え、30代までにがんの治療で子宮を失ってしまう人も年間約1,000人います。そのため、子宮頸がんは未来の人生設計に大きく関わるがんであり、若いうちから予防することが大切です。
◆“子宮頸がん予防”のためにできること
子宮頸がんを予防するためにできることは、「HPVワクチンの接種」と「子宮頸がんの検診」です。この2つをおこなうことで、子宮頸がんになるリスクを減らし、がんの早期発見・早期治療につなげることができます。
そもそも子宮頸がんは子宮の出口付近にできるがんで、ヒトパピローマウイルス(略称:HPV)の感染がきっかけで起こることが多いと考えられています。このウイルスは主に性交渉により感染し、女性の多くが一生に一度は感染すると言われており、「ほとんどの人は自然にウイルスが消えていきますが、一部の方はウイルスが消えず、それによって『がん』になってしまうことがあります」と早田さん。
HPVへの感染を防ぐことが子宮頸がんにならないための手段であり、その感染を防ぐ効果を期待できるのが「HPVワクチンの接種」です。日本では小学6年から高校1年相当の女子を対象に、公費でHPVワクチンの定期接種を提供しており、各自治体からワクチン接種の対象となる子どもを持つ家庭に案内が届きます。
公費の補助がない場合の接種費用は1回3万円ほどで、費用はワクチンの種類や回数によって変化します。また公費で受けられるHPVワクチンは3種類あり、一定の間隔をあけて同じ種類のワクチンを合計2回または3回接種します。早田さんは「ワクチンの種類や年齢によって、接種のタイミングや回数が異なります。どのワクチンを接種するかは、接種する医療機関にご相談ください」と補足します。
◆HPVワクチンによる副反応
HPVワクチンは新型コロナワクチンと同じく、筋肉注射という方法で接種しますが、主な副反応として、接種を受けた部分の痛みや腫れ、赤みなどの症状が挙げられます。また、まれに呼吸困難やじんましんといったアレルギー症状や、頭痛、吐き気、手足の力が入りにくい、といった神経系の症状などの重い症状が起こる場合もあります。
早田さんは「HPVワクチン接種が原因か分からないものも含めまして、接種後の重い症状として報告があったのは、ワクチンを受けた方1万人あたり3人~5人といわれています。もし、接種した際に気になる症状が現れましたら、医師にご相談いただければと思います」と話します。
ワクチンを接種するかどうかの判断は、ワクチンを接種することで“がんを予防する可能性が高まる”というメリットと、接種後に起こりえる副反応のリスクを比較して自分で判断する必要があります。ただし、小学6年から高校1年相当の女子の場合は、自分の判断と同時に、接種する際は保護者の同意が必要です。
◆公費で接種する場合の注意点
HPVワクチンを公費で接種する場合、今の高校1年相当の子には注意点があります。というのも、1回目を受けてから接種が完了するまでに約6ヵ月かかるため、2回目の接種のときに高校2年生になっていると自己負担しなければならなくなるため、「高校1年相当の女の子が合計3回の接種を公費で受けていただくには、9月末までに1回目の接種を済ましていただく必要があります」と早田さん。
また現在、公費による定期接種の対象だったにも関わらず、HPVワクチン接種の機会を逃した方を対象にした「キャッチアップ接種」が現在おこなわれています。
HPVワクチンの接種を個別に推奨する取り組みは2013年4月からスタートしましたが、接種後に報告された症状について十分に情報提供できない状況があり、約9年間(平成25年6月から令和4年3月)は取り組みを差し控えていた時期がありました。
しかし、2021年11月の専門家の会議で、ワクチンの安全性について特段の懸念が認められないことが改めて確認され、ワクチン接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると認められたことから、2022年4月からは個別に接種を推奨する取り組みが再開されました。
そうした状況を踏まえ、HPVワクチン接種の機会を逃した平成9年度生まれ~平成19年度生まれを対象におこなわれています。ちなみに、キャッチアップ接種の締め切りは2025年3月末までなので、高校1年相当の女子と同様に、今年の9月末までに1回目の接種を受けないと、公費の補助で接種を完了することができません。対象の女性はHPVワクチン接種の判断を早めにおこないましょう。
また、子宮頸がんを予防するために、20歳になったらHPVワクチンの接種をしてもしなくても、子宮頸がん検診を定期的に受けるようにしましょう。子宮頸がんを早期発見して治療を受ければ、多くの場合は命を落とさずに治すことができます。
そのほか、子宮頸がんやHPVワクチンについてより詳しく知りたい方は、お住まいの自治体からの案内や、厚生労働省のホームページをご確認ください。
最後に早田さんは「子宮頸がん、そしてHPVワクチンについて理解を深めて、親子や友達同士で話をしてみたり、かかりつけの先生などにご相談いただければと思います」と呼びかけました。
番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「子宮頸がんとHPVワクチン」について復習します。村上は“子宮頸がんの定期健診”をポイントに挙げ、「私も行っていますけれども、皆さんも定期的に検診に行きましょう!」と声を大にします。
一方、杉浦は“若いうちから子宮頸がん予防 HPVワクチン”と書き、「子宮頸がんを若いうちから予防するために、HPVワクチンの存在を知っておくことが大事かなと思いました」とコメントしました。
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7月14日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年7月22日(月)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://audee.jp/program/show/300007925
7月14日(日)の放送テーマは、「大切な未来を守る 子宮頸がん予防ワクチン」。厚生労働省 健康・生活衛生局感染症対策部 予防接種課の早田英二郎さんをゲストにお迎えして、HPVワクチンの重要性、キャッチアップ接種について伺いました。
◆“子宮頸がん”の特徴を解説
日本人の2人に1人は、生涯のうちに何らかの「がん」になると言われています。今回は、女性がかかる「子宮頸がん」の予防について学んでいきます。
子宮頸がんは、日本では年間約1万1,000人の女性が子宮頸がんにかかり、毎年約2,900人が命を落としています(厚生労働省のホームページ「HPVワクチンについて知ってください」より)。他のがんとは違って20代の若いうちから患者が増え、30代までにがんの治療で子宮を失ってしまう人も年間約1,000人います。そのため、子宮頸がんは未来の人生設計に大きく関わるがんであり、若いうちから予防することが大切です。
◆“子宮頸がん予防”のためにできること
子宮頸がんを予防するためにできることは、「HPVワクチンの接種」と「子宮頸がんの検診」です。この2つをおこなうことで、子宮頸がんになるリスクを減らし、がんの早期発見・早期治療につなげることができます。
そもそも子宮頸がんは子宮の出口付近にできるがんで、ヒトパピローマウイルス(略称:HPV)の感染がきっかけで起こることが多いと考えられています。このウイルスは主に性交渉により感染し、女性の多くが一生に一度は感染すると言われており、「ほとんどの人は自然にウイルスが消えていきますが、一部の方はウイルスが消えず、それによって『がん』になってしまうことがあります」と早田さん。
HPVへの感染を防ぐことが子宮頸がんにならないための手段であり、その感染を防ぐ効果を期待できるのが「HPVワクチンの接種」です。日本では小学6年から高校1年相当の女子を対象に、公費でHPVワクチンの定期接種を提供しており、各自治体からワクチン接種の対象となる子どもを持つ家庭に案内が届きます。
公費の補助がない場合の接種費用は1回3万円ほどで、費用はワクチンの種類や回数によって変化します。また公費で受けられるHPVワクチンは3種類あり、一定の間隔をあけて同じ種類のワクチンを合計2回または3回接種します。早田さんは「ワクチンの種類や年齢によって、接種のタイミングや回数が異なります。どのワクチンを接種するかは、接種する医療機関にご相談ください」と補足します。
◆HPVワクチンによる副反応
HPVワクチンは新型コロナワクチンと同じく、筋肉注射という方法で接種しますが、主な副反応として、接種を受けた部分の痛みや腫れ、赤みなどの症状が挙げられます。また、まれに呼吸困難やじんましんといったアレルギー症状や、頭痛、吐き気、手足の力が入りにくい、といった神経系の症状などの重い症状が起こる場合もあります。
早田さんは「HPVワクチン接種が原因か分からないものも含めまして、接種後の重い症状として報告があったのは、ワクチンを受けた方1万人あたり3人~5人といわれています。もし、接種した際に気になる症状が現れましたら、医師にご相談いただければと思います」と話します。
ワクチンを接種するかどうかの判断は、ワクチンを接種することで“がんを予防する可能性が高まる”というメリットと、接種後に起こりえる副反応のリスクを比較して自分で判断する必要があります。ただし、小学6年から高校1年相当の女子の場合は、自分の判断と同時に、接種する際は保護者の同意が必要です。
◆公費で接種する場合の注意点
HPVワクチンを公費で接種する場合、今の高校1年相当の子には注意点があります。というのも、1回目を受けてから接種が完了するまでに約6ヵ月かかるため、2回目の接種のときに高校2年生になっていると自己負担しなければならなくなるため、「高校1年相当の女の子が合計3回の接種を公費で受けていただくには、9月末までに1回目の接種を済ましていただく必要があります」と早田さん。
また現在、公費による定期接種の対象だったにも関わらず、HPVワクチン接種の機会を逃した方を対象にした「キャッチアップ接種」が現在おこなわれています。
HPVワクチンの接種を個別に推奨する取り組みは2013年4月からスタートしましたが、接種後に報告された症状について十分に情報提供できない状況があり、約9年間(平成25年6月から令和4年3月)は取り組みを差し控えていた時期がありました。
しかし、2021年11月の専門家の会議で、ワクチンの安全性について特段の懸念が認められないことが改めて確認され、ワクチン接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると認められたことから、2022年4月からは個別に接種を推奨する取り組みが再開されました。
そうした状況を踏まえ、HPVワクチン接種の機会を逃した平成9年度生まれ~平成19年度生まれを対象におこなわれています。ちなみに、キャッチアップ接種の締め切りは2025年3月末までなので、高校1年相当の女子と同様に、今年の9月末までに1回目の接種を受けないと、公費の補助で接種を完了することができません。対象の女性はHPVワクチン接種の判断を早めにおこないましょう。
また、子宮頸がんを予防するために、20歳になったらHPVワクチンの接種をしてもしなくても、子宮頸がん検診を定期的に受けるようにしましょう。子宮頸がんを早期発見して治療を受ければ、多くの場合は命を落とさずに治すことができます。
そのほか、子宮頸がんやHPVワクチンについてより詳しく知りたい方は、お住まいの自治体からの案内や、厚生労働省のホームページをご確認ください。
最後に早田さんは「子宮頸がん、そしてHPVワクチンについて理解を深めて、親子や友達同士で話をしてみたり、かかりつけの先生などにご相談いただければと思います」と呼びかけました。
番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「子宮頸がんとHPVワクチン」について復習します。村上は“子宮頸がんの定期健診”をポイントに挙げ、「私も行っていますけれども、皆さんも定期的に検診に行きましょう!」と声を大にします。
一方、杉浦は“若いうちから子宮頸がん予防 HPVワクチン”と書き、「子宮頸がんを若いうちから予防するために、HPVワクチンの存在を知っておくことが大事かなと思いました」とコメントしました。
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7月14日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年7月22日(月)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://audee.jp/program/show/300007925
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