茂木健一郎「脳科学的に指摘できる問題点は…」新年に立てた目標が達成できない…と悩む相談者にアドバイス

脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。
TOKYO FMとJFN系列38局の音声配信プラットフォーム「AuDee(オーディー)」では、当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を配信中です。この番組では、リスナーの皆様から寄せられたお悩みに茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。
1月6日(土)の配信では「目標達成」に関する相談に答えました。


パーソナリティの茂木健一郎



<リスナーからの相談>
私は毎年、新年に「今年の目標を立てて頑張ろう!」と意気込むのですが、1年が終わる頃に、その目標を達成できていないことに気づいて落ち込んでしまいます。今年は目標を達成したいと思っているのですが、目標を達成するために脳科学的な「継続のコツ」などがありましたら教えてください。

<茂木の回答>
新年に立てた目標を達成するには? という相談ですが、まず、脳科学的に指摘できる問題点は「1年が長すぎる」ということなんです。

我々は「2024年はこういう年にしよう」とか、“1年単位でものを考える癖”がありますよね。でも、脳にとっての時間の単位は、もっと短いんです。脳がなにかを記憶できる「ワーキングメモリー」(注:作業や動作に必要な情報を一時的に記憶・処理する能力)は、せいぜい数分間くらい。そのあとは忘れてしまうので、(今年の目標を)カレンダーに書いたり、机などの作業スペースに貼っておくと、それを見て「ちゃんと目標意識を持たないと……!」と思うんです。

どうしたらそれを継続できるのか? ということですが、ポイントの1つは「習慣化」だと思います。いま申し上げたように、脳は数分間で忘れてしまいますが、習慣のすごいところは、忘れても習慣は続くんです。

たとえば、歩き始めの子どもの頃は、最初は苦労したと思うんです。でも今、我々は歩く動作を考えないで習慣化して歩いています。目標に向かって努力を継続する一番の良い方法は、「習慣化」ということなんです。

では、どうやって習慣化するかというと、「意識」から「無意識」への転換です。今までやっていないことは、最初は意識して努力する必要がありますが、それを繰り返しているうちに、無意識でもできるようになるんです。たとえば、先ほどの赤ちゃんの歩行もそうですが、習い事や勉強も同じです。無意識になると習慣化して続けられますよね。

なので、習得したいことや達成したい目標に向けた努力を「意識」から「無意識化」して習慣化すること。今年は、このようなことを試みていただけたら良いのかなと思います。またぜひ、その結果報告のメールをいただけたらうれしいです。

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音声版「茂木健一郎のポジティブ脳教室」
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<番組情報>
番組名:茂木健一郎のポジティブ脳教室
配信日時:毎週土曜 22:30配信(予定)
パーソナリティ:茂木健一郎

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