《旅サラダを卒業》「常にトレンディー」「共演者を気遣う」「ダジャレも歓迎される」“愛されるMC”だった神田正輝の魅力

映画『カリブ・愛のシンフォニー』の製作発表に出席したふたり(1984年11月)

 27年半にわたりMCを務めた『朝だ!生です旅サラダ』を卒業した神田正輝(73才)。その魅力について、コラムニストで放送作家の山田美保子さんが綴る。

【写真】かつて“激やせ”が報じられた神田正輝(全身)。他、神田を献身的にサポートしていたパートナーのAさんなど

コロナ禍のピンチを持ち前の明るさなどで見事に乗り切った

 9月28日、神田正輝サンが27年半もMCを務めた『朝だ!生です旅サラダ』(ABCテレビ・テレビ朝日系)を卒業されました。

 同日は、番組レギュラーの勝俣州和サン(59才)や松下奈緒サン(39才)と共に3泊4日のグアム旅に出かけた神田サンの様子や、懐かしいVTR。さらには、初代のヒロド歩美サン(32才)をはじめ歴代の「プレゼントソムリエ」のアナウンサーが勢揃いし、神田サンのために特大キハダマグロ釣りに挑戦するなど、スペシャル企画が満載でした。

 改めて驚くのはグアムでの神田サンのオシャレさと軽やかさでした。Vネックの白Tやボーダーがこんなに似合うオーバー70がいらっしゃるでしょうか? BBQでお肉を焼くときの手さばきもお見事でしたし、どんなレストランで何を召し上がっても、どんなにゴージャスなシチュエーションにもなじんでしまう。本当に夢のようなすてきな旅を見させていただきました。

『〜旅サラダ』の歴史に戻れば、本当にいろいろなことがあったと思います。特にコロナ禍は、海外はもちろん国内ロケにも制限が出て、ほかの旅番組と共に『〜旅サラダ』も大ピンチに陥ったものです。

 その間に力尽きて終了してしまう旅番組や街ぶら番組もあったものですが、神田サンの持ち前の明るさとキャプテンシーで『〜旅サラダ』は見事に乗り切ったのでした。

 近年では、共演者の1人だった三船美佳サン(42才)との間にロマンスの噂が持ち上がり、「事実無根」と全否定。最愛の娘さん、神田沙也加さん(享年35)が亡くなられたり……とプライベートでおつらいことがあっても、神田サンは常にマスコミ対応をされ、番組を休まれることがなかったのです。

 それが昨年11月18日から、「72才で初めて体のメンテナンスをすることになりました」と欠席。今年1月27日に復帰されて、7月6日に9月末をもっての卒業が発表されました。

 1997年春から務めた同番組のMCは、実は神田サンで2代目。初代は草野仁サン(80才)でした。サブ司会は昨年3月まで神田サンを支えた向井亜紀サン(59才)。当初はピンクの電話の竹内都子サン(62才)の「みやこの宿かり日記」やゲストによる「私の三ツ星レストラン」、さらには神田サンと共に番組に加わり、1000回以上も担当したラッシャー板前サン(61才)による生中継などなど人気コーナーを多数生み出し、後続の旅番組はずいぶん参考にさせていただいたものです。

 土曜の朝の在阪局制作の生番組は、東京組は全員“前乗り”。ですから前夜から打ち合わせをして、一緒に食事をして……というパターンが少なくないのですが、そうした場でも共演者を安心させ、スタッフへの感謝を忘れない神田サンの座長力が光っていたと思われます。

長い脚を組んでいすに座っていたオーラはいまでも覚えている

“イケオジ”というよりは“二枚目”とか“ハンサム”という言葉がピッタリで、常にトレンディーで、共演者を気遣い、ゲストとのちょっとしたエピソードを覚えていらして番組で紹介するような優しさを持っている神田サン。そして常にダジャレを欠かしませんでした。

 不思議なもので、それも“親父ギャグ”と疎まれることがなく、「出ました!」と共演者や視聴者に歓迎された神田サン。本当に愛されるMCだったのです。

 個人的には、新卒で就いたTBS954キャスタードライバー時代、神田サンと同窓の先輩が「神田くん」呼びをしていて、一緒にスキーに行った写真を見せてくれたり、「約束の時間に来ない神田くんの家まで迎えに行って、みんなで部屋の窓に小石を投げて起こした」という学生時代ならではのエピソードを聞いたりしたことが懐かしいです。

 私が30代の頃、神田サンと同じ「石原プロモーション」に所属していらした峰竜太サン(72才)の帯ラジオ『峰竜太のナンデモアルキメデス』(ニッポン放送)に出させていただいていたとき、スタジオに神田サンと舘ひろしサンが見学にいらっしゃるという夢のようなひとときも体験しました。

 共にスーツをお召しで、長い脚を組んで折り畳みいすに座られていたお二人のカッコよさとオーラはいまでも鮮明に覚えています。

「石原軍団」の俳優さんは、石原裕次郎さん(享年52)や渡哲也さんの教えだったのでしょうか、皆さん、お優しいし、年下だったりアシスタントディレクターだったり、下の立場の者の振る舞いも温かい目で見ていてくださる。

『〜アルキメデス』のスタジオでも、神田サンや舘サンが「こんなに若いお嬢さん(私のことです……苦笑)と一緒に出ているの?」「うらやましいなぁ」などと真顔で言ってくださる(ように見えました)のでした。

 おそらく、そうした“石原イズム”が、神田サンの『〜旅サラダ』をここまで長寿番組に育てたのでしょう。

 グアムでの神田サンの映像からは、「石原軍団」の皆さんと毎年のように行かれていたハワイの映像も思い出されましたし、松田聖子サンと出会われた映画『カリブ・愛のシンフォニー』もよみがえってきました。

 思えば、私の世代は『〜旅サラダ』だけでなく、神田サンの思い出がいっぱいで、その多くが甘酸っぱくて、学生時代に交際していた元カレのような存在であることに気づきました。

 神田正輝サン、『〜旅サラダ』、おつかれさまでした!! これからもず〜っとすてきな神田サンでいらしてくださいね。

構成/山田美保子
『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!+』(メ〜テレ)、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。

※女性セブン2024年10月17日号

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