高橋由美子が語る“学園祭”の思い出「プロと遜色のない舞台作りをしていた学生には何度も驚かされました」

高橋由美子が“学園祭”の思い出を振り返る(写真/ロケットパンチ)

 今ではすっかり死語となった感があるが、かつて秋の学園祭シーズンには毎年「学園祭の女王」が誕生。各地の学園祭を回って話題になる女性芸能人がいた。高橋由美子も1990年代初頭、学園祭を巡った経験の持ち主。彼女が当時を振り返る。

【写真】高橋由美子アザーカット 赤ジャケット白スカートで歌う

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『ザ・ベストテン』(TBS系)が1989年に終了するなど、歌手デビューした1990年は歌番組が減り始めた時期でした。歌を披露できる機会が深夜のバラエティ番組でコントの合間に歌うくらいしかなくなってきていたのですが、当時の深夜番組は大学生に人気で、出演した番組が目に留まり学園祭に呼ばれるようになりました。

 いま振り返ると、学園祭はいわゆる“営業”と呼ばれるイベントの仕事だったので、制作サイドの学生さんたちと触れ合うことはほぼなくて、マネージャーさんやレコード会社のスタッフさんたちが詳細を詰めて、私には台本だけが届くといったことが多かったです。まだ16歳でしたから、大人に守られている立場にいたんですね。

 学園祭はお客さんとの距離が近くて、「カメラ小僧」と呼ばれる人たちが最前列で撮影していました。いい写真が撮れるとファン同士で共有していたようで、気に入った作品を引き伸ばして木の額縁に入れてプレゼントしてくださるファンの方もいました(笑)。

 当時の私は、業界のプロである大人たちが考え抜いたステージに立たせていただいていたわけですが、学園祭はいわば素人である学生さんたちが準備してくれたものです。にもかかわらず、プロと遜色のない舞台作りをしていたのには何度も驚かされました。

 音響や照明もかなりレベルが高くて、当時の私より少し年上くらいの同世代なのに、大勢の観客を入れたイベントを試行錯誤しながら成功させていた。そんな姿を見て、「すごいな、こんなことができて羨ましいな」と思ったことを今でも憶えています。

【プロフィール】
高橋由美子(たかはし・ゆみこ)/1974年生まれ、埼玉県出身。1989年に女優、1990年にアイドル歌手としてデビュー。「20世紀最後の正統派アイドル」として絶大な人気を誇った。10月18~27日に東京・俳優座劇場、11月1日~4日に大阪・ABCホールにて舞台『Silent Sky』に出演。

※週刊ポスト2024年9月20・27日号

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