指揮者・岡宏さん、脳梗塞のため死去　８３歳　１０月１４日にディナーショーで元気な姿も

　ビッグバンド「クリアトーンズ・オーケストラ」のバンドマスターで指揮者の岡宏（おか・ひろし）さんが８日午前１時５８分、脳梗塞のため入院先の病院で死去した。８３歳だった。所属事務所が発表した。

　岡さんは１０月１４日に都内のホテルでディナーショーを開催し、元気な姿を見せたばかりだった。昨年６月には「ＢＯＳＳ★岡」として「かすり傷」でテイチクエンタテインメントから歌手デビューしていた。所属事務所は「葬儀告別式は、本人の強い意志により、近親者にて密葬として執り行います。改めまして偲（しの）ぶ会などを開ける環境になりましたら、生前のご厚誼（こうぎ）のお礼を申し述べさせていただきます。よろしくお願い申し上げます」とした。

　東京・浅草生まれの岡さんは日大芸術学部在学中、日本大学リズムソサエティ楽団にアルトサックスプレイヤーとして入団。在学中にビクターオーケストラの専属となり本格的にプロの道に入った。

　その後テナーサックスのソロプレィヤーとなり、数々のレコーディングで活躍。１９７４年クリアトーンズ・オーケストラを結成し、今年５０周年を迎えていた。韓国、中国、旧ソ連、アメリカ、フランス、北朝鮮など海外にも演奏の場を広げ、ブラジル・サンパウロ州議会から「アンシェッタ賞」を、メキシコの日本人会からは「友好賞」をそれぞれ受賞した。国内でも毎年コンサートやディナーショーをバンド独自で精力的に開催。１０月のディナーショーでは、歌唱と指揮で約３時間フル出演していた。

　社会活動にも従事した。ＮＨＫ教育テレビの韓国語講座の音楽を監修・担当。長年にわたる日韓の文化交流に対し、韓国政府より文化功労賞を授与された。加えて、刑務所慰問活動を通して矯正教育への多大な貢献に対し、法務大臣表彰も受けた。２０１６年には日本作曲家協会、日本音楽著作家連合から功労賞を授与した。

　プライベートでは８１年に韓国の人気歌手だったキム・ヨンジャと結婚。１２年に離婚していた。