信子・金子きょんちぃ以上にブッ飛んでる!? すがちゃん最高No.1の元相方の話

TVerで配信中の関西テレビ『マルコポロリ!』(9月29日放送)へ出演した、お笑いトリオ「ぱーてぃーちゃん」のツッコミ担当・すがちゃん最高No.1。番組では「ワンさん」と呼ばれ、MCの東野幸治から可愛がりという名のイジりを受け、師匠であるちゃんぴおんず・日本一おもしろい大崎に「俳優をやりたい、ミッチー(及川光博)みたいになりたい」と打ち明けたというイタすぎる素顔が暴露された。

普段はギャル二人に囲まれるツッコミのギャル男という立ち位置なのだが、12歳で一人暮らしをすることになったり、女好きで破天荒すぎる父親がいたりなどのエピソードが注目されている。そんなすがちゃんには、父親と同じくらい破天荒な元相方がいたことを知っているだろうか?

“親父に似すぎ”ていた俺の元相方・石原

俺の元相方、石原の話だ。

石原は、一言で言うと”親父にマインドが似ている”。

もっと簡単に言えば、ぶっ飛んでいる。

俺は、こいつとじゃなかったら、おそらく芸人を志そうとは思わなかっただろうし、こいつの面白さを一番理解しているのも俺だと思っているし……この男から一番被害を受けているのも俺だと思っている。

石原は、昔からとにかく優秀な男だった。

俺たちは東京の専門学校で出会ったのだが、卒業間際になっても就職先が決まらない俺とは対照的に、石原は学生にもかかわらずなんと“スカウト”と言う形で就職している。

専門学校の講師が、技術会社の社長をやっていて、授業で一生徒である石原に「君に必ず部長職を用意するから、卒業したらうちの会社に入ってくれ」と懇願されたそうだ。こんなこと専門学生が言われるなんて前代未聞。

「あ、お笑いやりたいんで辞めまーす」

しかし、石原は就職して1年後、あっさりそう言い放ち、将来約束された部長職を捨てた。

とにかく、とんでもなく器用な男なのだが、とにかくクソほど変な男でもある。大手テレアポ会社のバイトで、ごく少ない出勤日数にして、独自の我流のやり方でありえない件数のアポイトメントを獲得し、表彰されることになったのだが、

「あ、ライブ入ったんで欠席しまーす」

と、自分のための表彰式を断ったらしい。

とにかく石原という男は優秀だった。

そもそも、ヤツが芸人になろうと思ったきっかけも「人生で挫折がないから」という理由なのだ。

俺が社会人になって1年。社会の荒波にのまれ、全てが裏目に出て、もう何をやってもうまくいかなかったとき、石原から呼び出され、言われた。

「俺たち、芸人になんないか?」

俺は考えもしてなかったことを石原から言われ、とりあえず石原に「なんで芸人?」と尋ねる。と、ヤツは、

「俺、今まで人生で一回も挫折したことないんだよ。全部。もう全っ部うまく行ってきたんだけど、唯一お笑いだけ『あ、うまくいくかわかんないなー』って思ったんだよ」

「…………」

「だから、一緒にやろうぜ!」

なんて高飛車なヤツなんだ……。

ただ、この男のオーラというか雰囲気に、「なんでも成功してきた! だから俺について来い!」と自信を見せるこの男に、俺は魅せられてしまったのも確かだった。

あ、確か石原は高校も野球推薦で入っている。

忘れられない石原のクソみたいな思い出

そんな優秀な男・石原は、優秀なのだがぶっ飛んでいる。親父みたいに自分に正直に、自分の思った通りに生きているという感じだろうか。

似ている二人だからこそ、俺は石原と親父をなるべく合わせないようにしていた。石原からは何度も、

「お前の気持ち悪い親父に会わせてみろ」

と言われていたが、俺は、

(この二人がぶつかったらどうなってしまうんだ……!)

と戦々恐々したため、二人を合わす気にはなれなかった。それこそめちゃくちゃ喧嘩になるか、はたまた……。

まあ、そんな石原とのエピソードで、忘れられないクソみたいな思い出が一つあるので紹介したい。

芸人になって少ししてからのこと。俺たち二人は芸人の先輩から草野球に誘われ、大井町で早朝から野球をすることになった。

当時、俺は母方の祖父母が大井町に持っていたアパートの2階に住んでいて、その日、朝早いこともあって、石原がうちに泊まりに来ていた。

母方のお婆ちゃんは、父方の破天荒婆ちゃんとは違い、めちゃくちゃ優しいお婆ちゃんで、その野球の日もわざわざ朝5時くらいに起きてくれて、

「せっかく相方くんが来てくれてるんでしょ。朝ご飯食べさせてあげる」

と、わざわざ俺たちのために、めちゃくちゃ朝早くから朝食を用意してくれた。

石原と共に1階に住む祖父母の家に向かい、リビングで祖父母と俺と石原、4人で朝食をいただくことになった。

食卓には、食パンとなんだか小洒落たサラダやおかずが並ぶ。

結構な量だ。わざわざ俺たちのために朝早く起きて、この量を用意してくれたのかと思うと感謝しかない。

しかし、眠い。いや、飯は美味しそうだが。しかし眠い。眠いのも紛れもない事実。

そんな眠気まなこで、ぼんやりと食パンを半分くらいかじった頃に、お婆ちゃんが、

「次のパン持ってこようか?」

と言ってくれる。お婆ちゃんがたくさん食べさせてくれるというのは全世界共通なのだろうか、なんてことを思いつつ、

「あー。うん」

と、また運ばれてきたおかわり食パンを食べる。また半分くらいかじると「次のパン持ってこようか?」と。

すると、途中で石原が突然、ブッと吹き出すように笑い始めた。

イヤな予感がした俺は、「なんだお前」と言うと、石原は、

「ダメだ! 我慢できません! 一言もしゃべらないジジイと、食パンをいっぱい持ってくるババァです!」

テメェ……! 

せっかく好意でやってくれてることに対して!

いや俺も思ってたけど。おじいちゃん喋んないなーって。

「いりません! 大人は朝、そんな食パンを食べません!」

確かにそうなんですけどね! この眠さでこの量は到底無理! てか、こんなお腹いっぱいで野球したら吐くわ!

石原は、自分の思ったことを思いっきりその場でぶちまけた。クソほど失礼な石原。……なのだが、

「そうよねー」

と、お婆ちゃんは笑う。

これだ。これが石原の力だ。いつもそうだ。石原がどんな失礼なことを言っても、破天荒なことをしても、大抵周囲は笑ってしまう。的を得ているのもあるし、発言がおもろいのもある。

石原がM-1に出場するときの芸名が…

でも、何よりヤツが優秀であるがゆえに、そうなる空気に仕向けていくのだろう。言い過ぎなのだ。失礼極まりないのだ。それでも、周囲を「石原なら良し」という空気にしてしまう。そんなところも石原は親父に似ている。

似ているからこそ、二人が会えば、めちゃくちゃ喧嘩になるか、はたまた……めちゃくちゃ仲良くなるか。

もし、二人が仲良くなったら……ちょっと寂しかった、かもなー。嫉妬? いやいやいや! そんなんあるわけないじゃない! だって親父だし。石原だし。うん。ないない。

ま、今となってみれば、会わせたかった気もしなくもないかな。

そんなアホほど面白かった石原は、今は芸人をやめている。

でも、もともと優秀なヤツだから、どこの世界でも、おそらくヤツはうまくやっていけるだろう。そんな男なのだ。石原は。

ちなみに石原は芸人を辞めてはいるが、毎年M-1には出続けている。また理由がクソみたいな理由で……。

石原には現在固定の相方はいない。そのときにスケジュールの合う元芸人とかピンのヤツと組んで出場する。なんだかんだ、そこそこのところまで行って敗退するのだが、そのときにプロで出場していた芸人に、

「俺は遊びで出たけど、お前、俺より結果出てないな。芸人やめてください!」

と、素人の自分より結果が悪いプロに、「夢諦めさせマン」としてそう言い放つためにM-1に出場しているらしい。

やっぱり最低なヤツだよ、石原は。

ちなみに、そんな石原がM-1に出場するときの芸名は、

石ちゃん最高NO.1

「ダセェだろ。媚び売ってキャラ芸人みたいなことすんの。自分に嘘ついてるヤツら、気持ち悪りぃんだよ」

と昔言っていた石原が、一番信念を曲げている。マジで勘弁してほしい。

ジャンルで探す