『ツギクル』で話題!! お笑いコンビ・ポテトカレッジ「業界のヤツは見る目がない!」

「世の男の代弁者」であるコモダドラゴンと、ツッコミのきよによるお笑いコンビ・ポテトカレッジ。今年7月に行われた『第5回ツギクル芸人グランプリ』で決勝に進出し、強烈なインパクトを残した二人。

ニュースクランチ編集部では、意外!?にも思える二人の社会人経験や、結成のきっかけ。さらに今年、コモダの家が火事になった事件の真相までインタビューで聞いた。

▲ポテトカレッジ(コモダドラゴン / きよ)【【WANI BOOKS-“NewsCrunch”-INTERVIEW】

バンドやったらモテる! と思ったら笑い声

――ポテトカレッジさんは、お二人とも芸人になる前、社会人経験があるそうですが、なぜお笑い芸人を目指したのですか。

きよ:芸人になる前は看護師として働いていました。お笑いは好きだったんですけど、自分がなるとかはまったく考えてなくて。でもある日、病室から患者さんの「ヒー! ヒー!」って苦しそうな声が聞こえてきて、大丈夫か? と思って駆けつけたら、バナナマンさんのライブDVDを見て笑ってたんですよ。

――息ができなくなるくらい。

きよ:しかもその患者さん、いつもは寡黙な方だったので、改めてお笑いってスゴいなと。ほかにも、入院しているのはおじいちゃん、おばあちゃんが多いんですけど、みんな『バカ殿様』とか『ドリフ』とかを見て笑ってるんですよ。それで、みんなを笑顔にできるお笑いっていいな、やってみたいな! と思うようになりました。

コモダドラゴン(以下、コモダ):すごくしっかりした理由でしょ?(笑)

――先ほどお笑いを見るのは好きだったと言っていましたが、好きな番組や芸人さんはいましたか?

きよ:出身が宮崎県なんですけど、宮崎ってそもそも娯楽があまりなくて。テレビも民放は2局しか映らない環境なんです。なので、お正月の『爆笑ヒットパレード』(フジテレビ系列)、『爆笑オンエアバトル』(NHK)を夢中で見てました。

あと、チュートリアルさんが大好きで、テレビではあまり見られない分、配信番組の『ヨシモト∞』とかを見てましたね。それまではネタ番組でしか見てなかったので、“この人たち、しゃべりもおもしろいんだ!”って驚きました。

――本当にお笑い好きだったんですね。コモダさんはいかがですか?

コモダ:きちんとお笑いを見るようになったのは、大学の頃ですね。軽音楽部に入ったんですけど、そこの友達がいろいろ教えてくれて。

――最初はお笑いより、音楽のほうが好きだったんですか?

コモダ:はい、バンドを始めたのもオアシスのギャラガー兄弟に憧れてです。愛媛県のすごい田舎で育ったんで、大学行って、バンドやりゃモテるだろうって、ベタな考えを信じてました。だって、生まれてから自分のことを一度も鏡で見たことなかったから(笑)。その結果、バンドで俺が歌うと笑いが起きたんですよね。

きよ:カッコイイつもりでやってるのにね。

コモダ:学園祭で演奏したときは笑いも起こったし、メンバーの友達がハーフの子を呼んでたんですけど、終わったあとに俺のことを「あいつの発音、ヤバいね」と言ってたらしくて。顔が悪くても、実力があれば良かったんですけど、そんなこと言われたら……そりゃやめますよね。理想と現実は違うんですよ。

――それでお笑いをやろうと。

コモダ:友達が「さすがに俺ら笑い者やから、大学卒業したら養成所に行こうぜ」と、誘ってくれました。もう、モテるためにはお笑いしかない! と。だけど、そいつがギリギリになって“やっぱ、やめるわ”って言い出して、俺もお金を貯めるために一旦働くことにしたんです。

――どんな仕事をされていたんですか。

コモダ:居酒屋やカラオケ店にお酒を卸す仕事をしてました。いま考えるとすんごいブラック企業(苦笑)。毎日、朝6時から夜8時ぐらいまで働いてたし、休みも月4回くらい。それで給料15万とかでした。だからやめたくて辞表を出したんですけど、「いやいやいやいや(笑)」って言われて受け取ってもらえなくて。それで結局、3年くらい働きましたね。

――そして、ワタナベの養成所に入ったんですね。なぜ、ワタナベだったのですか。

コモダ:“王道に行ってもな”というのがあったので、吉本さんではなく、人力舎かワタナベの養成所で迷ってたんですよ。そこでワタナベの養成所に1回問い合わせの電話したら、ものすごい営業の連絡が来るようになって。

俺が「お金がないんですよ」とか言っても、「でも、ローンを組めたり、新聞奨学生とかやれば大丈夫だから」って、あの手この手で来させようとするんですよ。それで結局、新聞奨学生をしながら通ってました。

きよ:私も強い思いがあったわけではないんですけど、当時、ブルゾンちえみさんがブレイクしたタイミングだったので「一番おもしろい女芸人集合!」みたいな広告にまんまと食いついちゃって。

しかも「おもしろければ特待生になれます!」みたいな案内もあったので、いいなと思って入りました。実際に10万円だけ免除されたんですけど、あとから聞いたら、みんな免除されてるらしいんですよ(笑)。

コモダ:俺も10万円免除でした。ただ本当に1期にひとりくらいは、全額免除になって気まずそうにするヤツもいるんですよ。

偉い先生に「お前はほんとに才能ない、やめろ」

――養成所で出会ったお二人は、どのようなきっかけでコンビを結成したんですか。

コモダ:俺は最初、ギャルの女の子とちょっとチャラいEXILEみたいなヤツと、お試しでトリオを組みました。ぱーてぃーちゃんの走り、みたいな(笑)。でも、お笑いの知識もなかったんで、普通に女の子にも頭を叩いてツッコんだりしてたら、養成所の偉い先生に「お前はほんとに才能ない、やめろ」と言われまして。

きよ:うちもコモと組む前は別の男の子と組んでたんですけど、それはお試しみたいな感じで。そしたら、演劇の授業のときに先生から「なんかココが相性よさそうだから、この台本でやってみて」って無理やり組ませられたんですよ。でも、それがけっこうウケて、じゃあ二人でやってみようか? となりました。

▲きよ「最初は先生に無理やり組まされたコンビでした」

――お互い手応えがあったんですね。

コモダ:あと、当時は事務所的に変わった経歴がある人が好きだったんですよ。だから、きよちゃんの「看護師キャラ」を押し出して、それに俺が横からツッコむみたいなネタをやってたんですけど、そこがけっこう褒められたんです。

きよ:ワタナベの養成所って卒業後、全員が事務所に所属できるわけじゃないんですけど、なんとか事務所には所属できました。

コモダ:だけど、徐々に今みたいに俺が前に出るような漫才に変更していったら、それは求めてねえよっていう顔されて、ネタ見せで作家に「コモダはしゃべんな! お前の思うことは世の中が思うことではないからな!」って言われました。一生忘れないですね。その作家はもう引退したんですけど……一生許さない。

きよ:わかるひとには誰かわかっちゃうから!

コモダ:別にええやろ! もう!

『ゴッドタン』出演のからくりとは?

――ネタ作りはどうしているんですか。

きよ:二人で作ってます。ネタの種みたいな案をお互い持ってきて、“それいいな!”となったら二人で話しながら作っていきます。基本キモいネタなんで、コモダがひとりで考えてるって思われがちなんですけどね…(笑)。

コモダ:ラジオとか聞いていただいたらわかると思うんですけど、きよちゃんも変な人ですからね。俺専用のツッコミなだけで、本来はツッコミの人と違いますから。でも、本当に最初はお互いお笑いなんて何も知らなかったので、スベりまくって……。試行錯誤して完成させていった感じです。

――コモダさんは、お笑いを見ていなかったとおっしゃってましたもんね。

コモダ:もう経験を重ねるしかないと思って。ただ最初に事務所にいた頃は、月1~2本ぐらいしかライブに出れてなかったので、そりゃおもしろくならないよなと。それで事務所を出て、フリーになって、浅草の小さい劇場とかに出るようになりました。そうやってとにかくライブに出て、今のかたちに近づいていてきたんですけど……。

でも、まだ早いですよね、このエピソード(笑)。売れたヤツが語るならまだしも、たいした経歴もないのに、こうやって自分の軌跡を語って、脳汁を出して、気持ちよくなってる芸人が大っ嫌いだったことを今、思い出しました。危ない、危ない。

▲コモダ「売れた感じでインタビュー答えちゃってた、危ない危ない」

きよ:もう少し売れないとね(笑)。

――(笑)。ちなみになぜ、再び事務所に入ったんですか?

きよ:フリーだとテレビのオーディションが来づらいんですよ、情報も入ってこないし。

コモダ:だから、フリーの頃は周りの芸人に「とにかくなんでもいいからアンケートには“ポテトカレッジ”って書け」って半ば脅しも込めて言ってました。『ゴッドタン』(テレビ東京系列)の「この若手知ってんのか!?」は、アンケートに書かれた数が多ければ、オーディションに呼ばれると聞いたので。

――その結果は?

コモダ:なんとかオーディションには呼ばれました。反応も良かったんですけど、落とされて(笑)。でも、そのときの恨みつらみを今年、またオーディションに呼ばれたときに話したら受かりました。放送は全然うまいこといかなかったんですけどね(笑)。

火事で家が焼けてしまったコモダ

――今年は『ツギクル芸人グランプリ』で決勝に進出しましたね。

きよ:去年も2点差ぐらいで決勝に行けなかったんで、次は行けるんじゃないかと思ってたんですけど、うれしかったですね。

コモダ:基本、ポテトカレッジってナメられてるんですけど、周りの芸人たちもこういう大会で決勝行ったら、コロっと評価を変えてきて、急に楽屋で話しかけて来たりするんです。そういうヤツの顔は全員覚えてるんで、許しません!

きよ:と言いつつ、まだ全然お仕事は入ってないんですよね。取材もこれだけです(笑)。

コモダ:業界もマジで見る目ないっすね。

▲ツギクルに出てから貰った仕事はこの取材だけです

――本当にそう思います(笑)。決勝の舞台はいかがでしたか。

きよ:反応も良かったんで、優勝もあるかもって思ったんですけど、0票でしたね(笑)。

コモダ:本当にテレビはもう終わりですよ! えびしゃみたいに、売れそうな2年目の若手を優勝させてどうすんのよ! 一回、ポテトカレッジに賭けてみる、気骨のあるテレビマンはいないのかよ!

――あはははは(笑)。

コモダ:この意見は、優勝したえびしゃ自身も「俺たちもそう思います」と言ってましたから。

――決勝の舞台にはセンチネルさんや豆鉄砲さんもいましたが、トミサットさんとホセさんはコモダさんのシェアハウスメンバーですね。今年、3月には家が火事になったのが話題になりましたが……。

コモダ:決勝はさながら、“カジクル芸人”って感じでしたね。

――(笑)。火事の日、コモダさんだけ家にいたんですよね。

コモダ:二人とも仕事に行ってて、俺はその日、夕方から大使館で立食パーティーのバイトだったんで、家にいました。

きよ:お前が(笑)?

コモダ:俺が! ちゃんと料理とか配るよ。まあ、それはどうでもよくて、洗濯物を取りに一階に行ったら、めっちゃ火が上がってて、洗濯物もすげー燃えてました。すぐに、ほかの部屋とか隣のアパートの人にも「火事だ!」って声かけて、消火活動して、119番して、ちょっと煙を吸ったからということで、気づいたら救急車で運ばれてました。

――コモダさんが第一発見者だったんですね。

コモダ:はい。だから、その後の警察の方とのやり取りでも“あれ? ちょっと疑われてる?”と思ってしまうところが多々ありました(笑)。あとから聞くと、その頃、近所で不審火が相次いでたらしいんですけど……真相は闇の中です。

――ツギクルでも「家がない」と言ってましたが、そのあとはどうしたんですか?

コモダ:この前まで事務所の寮にいたんですけど、 先週ようやく3人で住める家が見つかりました。

――また3人で暮らせるんですね。ちなみに事務所も違うのに、なぜ3人で暮らすようになったんですか。

コモダ:最初は違うヤツと俺が住んでて、そこにトミサット(センチネル)が入ってきたんですけど、最初から一緒だったヤツが“もうお笑いやめる”となって、アッチッチ上野が……。

きよ:そんなサラッと言われても知らんて、アッチッチ上野。

コモダ:(笑)。皆さんご存じのアッチッチ上野が新たに入ってきたんです。そこから3人で1年ぐらい住んでたんですけど、上野も“お笑いやめる”となって、そのとき家がなかったホセが入った感じです。

――なるほど。そのほか、どんな方と交流があるんですか。

きよ:事務所の先輩だったら、​マッハスピード豪速球さんに良くしてもらってます。

コモダ:ガン太さんはハウスクリーニングの会社をやってるんですけど、火事になったときに「手伝ってよ」って言われて、ちょっと働かせてもらったんです。そしたら、お見舞金を入れてお給料をくれたり。たいした仕事してないのに、プラスでお金をくれて、粋ですよね。本当に助かりました。

逆に相方のさかまきさんは、貯金が400万ぐらいあるのにも関わらず、1円もくれず……。その話をライブで言ったら、ようやく財布から渋々8000円を出してくれました(笑)。

きよ:でも、本当に二人とも良い先輩です。

コンビの目標は「酒池肉林」

――最後にコンビとしての目標をお願いします。

コモダ:もう『M-1』優勝とか言わないっす。酒池肉林、これだけです。

きよ:コモダはモテたくて、この世界に入ってきたもんね。

コモダ:みんなそういう部分は隠すじゃないですか。でも、俺はちゃんと言いますよ。「金を稼いで、エロいことします!」。これはロマンであり、俺の夢ですからね。人の夢を笑えるのか?って話ですから。

――酒池肉林を公言する人、今はいないですよね。

コモダ:あと、お笑いの裏のこと語るヤツも好きじゃないんですよね。鼻につくというか。

きよ:私たちは結局、田舎のおじさんとかを笑かしたいので。

コモダ:そうですよ。田舎のおじさん、テクニックとか、そんなんで笑わないよって。笑かしたら、それでええやん。

――キヨさんの目標はありますか?

きよ:うちは“いろんな仕事したいな”とか最初は思ってたんですけど、相方がそういう質問をされるたびに「酒池肉林」って言うんで、だんだん洗脳されてきて。だから、最近は私もコモダの酒池肉林を叶えたいなって(笑)。

▲コンビの共通の目標は「酒池肉林」

コモダ:宮崎の観光大使とか言っとけばいいのに。今、まだ応援大使でしょ。でも「将来的には観光大使やりたい」って書いといてもらえって。そうしたら、俺も宮崎についていけるから。

きよ:まあまあ(笑)。でも、たしかにお仕事で地元に何回も帰れるようなったらうれしいですね。

――コモダさんがここでは親のようですね(笑)。逆に、ラジオではきよさんがコモダさんにお金を貸しているという話もされてますよね。

きよ:相方に彼女ができたらうれしいじゃないですか。だから、合コンのときとかに“うまくいってほしいな”って気持ちでお金を貸すんですけど、1回も成功したことなくて……。

コモダ:でも、それが今こうやって話題になってますから! 最終的に金にたどり着きゃええやん!っていう考えなので。巡り巡って、その金にたどり着いたらいいんだよ、別に。

――会ってみたい女優さんとか、アイドルの方とかいらっしゃいますか?

コモダ:うーん、もう少しリアルなところというか、言い方あれですけど、いけそうな人にいきたいって感じなんですよね。女優さんとかはさすがに会うのもなかなか難しいんで、戦略的にも会いたい人っていうのは……。

きよ:うち、郷ひろみさん!

コモダ:どうした! いきなり!

きよ:会ってみたいんですよね。あそこまでスター性がある人、最近いないじゃないですか。だから、いつかお会いしたいです。

コモダ:そんなら俺も、本当はギャラガー兄弟に会いたいわ!

(取材:梅山 織愛)


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