吉本芸人で組んだバンド・ジュースごくごく倶楽部「目標はMステでタモリさんに会う」
ジュースごくごく倶楽部の2ndアルバム『ぎろりエンタイトル』が7月3日にリリースされた。
ジュースごくごく倶楽部とは、吉本興業に所属する人気芸人が結成したバンドで、メンバーは、ジンジャエール阪本(マユリカ・阪本 / ヴォーカル)、愛コーラ(ムームー大陸・山﨑おしるこ / ヴォーカル)、辻クラシック(ニッポンの社長・辻 / ギター)、堂前タオル(ロングコートダディ・堂前透 / ベース)、ポイズン反町(シカゴ実業・山本プロ野球 / ドラム)、あたし(滝音・さすけ / キーボード)の面々。
精力的にライブ活動をしており、多くの人気バンドと共演も果たしている。今回、ニュースクランチ編集部は、最新アルバムについて聞くべく、愛コーラとあたしの二人にインタビュー。
新しい要素をとことん取り入れた2ndアルバム
――2ndアルバムをレコーディングするにあたって挑戦したことを教えてください。
愛コーラ:歌を意識して練習してきました。声とか、ニュアンスとか、発音とか……歌によって全部変えています。以前は出なかった音域が出るようになったので、声帯が成長したというのはありますね。
あたし:たしかに、だいぶソウルフルになっている気はします。
愛コーラ:曲によって“カッコイイ感じで歌おう”とか、“カワイイ感じで歌おう”とか意識していて、表現の幅が広がった気がします。対バンしていくうちに“ヤバい。ちゃんと頑張らないと!”というか……技術がないなって感じたんで、一人でカラオケに行って練習しています。
――あたしさんはいかがですか?
あたし:“引き出しを増やすためにも、いろんなタイプの曲をやろう”と作ったのが1stアルバムでした。今度の2ndアルバムは、ルーツ・ロックに寄ったやつを作ろうとしたんですけど、そのジャンルは辻さん以外はあまり通ってなくて……。
阪本さんは影響を受けたアーティストを「V6」という男やし(笑)、ポイズンさんもアイドルの曲しか聴いてない……とか、みんなロックンロールの引き出しがないんですよ。特に楽器隊は、初めてちゃんとロックをインプット・アウトプットしたので、幅が広がっているのかもしれないですね。
――レコーディング作業をするなかで印象的な出来事はありましたか?
愛コーラ:“こんなんでいいんかな?”と不安を抱えていたり、いろいろ気にしていたりすると、全部声に出るんですよね。最近のライブでも自分の中で毎回、歌い方を変えているので、前のアルバムより歌いやすくなった気がします。
あたし:キーボードのレコーディングだけ、朝から神奈川の山奥に連れて行かれたんですけど、そこで待っていたのが、元センチメンタル・バスの鈴木秋則さんやったんですよ。最初、自分のフレーズを弾いて「こんな感じでやりたいです」と伝えたら、「いや〜、それハマんねーよ?」って。
――(笑)。
あたし:あの方の理論はエグいんで。デモのドラム・ベース・ギターの時点で「音ぶつかってんな〜! こうしてーわ。でもできねーしなー」みたいな(笑)。「ちょっと待ってて。やってみるわ!」って作業して、それから13時間ぐらい録りっぱなし。
――すごいですね……。
あたし:食事休憩中に「売れる曲、作りたくねえの?」と言われたので「正直、売れる曲よりもカッコイイ曲を作りたい。自分らが楽しいと思える曲を作りたいというのが、バンドとしての総意かもしれないです」と返したら、「いや〜。売れたらスゲーぞ!」と。
――(笑)。
あたし:鈴木さんは『Sunny Day Sunday』で大ヒットを経験しているのもあって「(売れるほうを選んでもらえなくて)悔しいわ〜!」と言ってました(笑)。ファンキーな方でしたけど、鈴木さんとはすごく相性が良かったんですよ。「いいものを作りたいなら、とことんやろう!」と鼓舞してくださいましたし、鈴木さんのおかげで新しい引き出しも増えたし、お会いできてめっちゃ良かったです。
アルバムが完成するまで歌詞は知らない
――最新アルバムのなかから、好きな楽曲とその理由を教えてください。
愛コーラ:自分が作詞をしているなかで、始まり方が他の曲と変わっている『インフィールドスパゲッティフライ』は一番好きかもしれないです。あと、『ぴーち鬼ぱーち鬼~We are the world~』も気に入っています。
――ご自身で作詞をしていると、思いが乗るものなんですか?
愛コーラ:自分で作詞をしてる曲のほうがストレートに表現ができるし、“この言葉をこう言いたい”とかも決めているんで、他の曲よりも気持ちいいかもです。
あたし:僕も『インフィールドスパゲッティフライ』ですね。その時々によって弾きたい曲って変わるんですけど、この曲は弾くのが気持ちいいんで、いつも朝起きて弾いていますね。
あと、キーボードだけなら『晩酌のらりるれろ』も気持ちいいですね。でも、正直どんな歌詞かよくわかってないんです(笑)。楽器隊ってアルバムが完成するまで歌詞は知らないんで。マジで“こんな歌詞やったんや! ここ、こう歌ってたんや! 違う歌詞で覚えてた!”というのが余裕で出てきますね。
――曲作りはどうされているんですか?
あたし:全部、辻さんが作っています。舞台の合間で、弾き語りしたものをストックとして溜めているんですよ。それから「GarageBand(ガレージバンド)」で音を追加したものを僕らに送ってくれます。
あとは各々で編曲して、各自が持ち寄る感じですね。バンドのスケジュールに合わせて「今やったら新曲できそうやな」というときに送ってくれることが多いです。
――この楽曲を引っさげて全国ツアーやライブ開催など、期待する人も多いのでは?
あたし:たしかに。レコ発ツアーみたいなことやってないもんな。
愛コーラ:ツアーいいですね! やってみたいです。
お笑い以外の場所で表現ができるのが楽しい
――ジュースごくごく倶楽部は、作詞・作曲・演奏・歌唱など、芸人活動とは違う表現の場になっていると思います。バンド活動の魅力を教えてください。
あたし:例えば、堂前さんはゲーム好きやし、書いたりもするし、愛コーラは絵本を描いたり、ハンドメイドしたり……。そうやって音楽ってゼロイチで表現できるものの一つでもあるんで、そこは魅力かもしれないです。みんな芸人って名乗ってるけど、芸術家でもあるから、お笑い以外の場所で表現ができるのが楽しいですね。
愛コーラ:お笑いは、それぞれ何年もずっと一緒にいる仕事のパートナー(相方)がいると思うんですけど、それとはまた全然別って感じがします。みんな責任感はあるし、ちゃんと考えているし、仲もいい。
――そんな芸人仲間から同じメンバーとなった皆さん。メンバーと深く接するなかで、「こんなところあるんだ!」と意外に思ったことは?
愛コーラ:みんなストイックですよね。自分のやることにプライドを持って、ちゃんとやっているのがカッコイイです。
あたし:(愛コーラが)こんなに服好きとは知らんかった(笑)。
愛コーラ:あたしさんは服ダサい。
――(笑)。
愛コーラ:もらいものばかりなんで。興味ないんだなと思いました。
あたし:服は買わなくて、もらいものばっかりなんですよ。こだわりがないから、もらったやつは絶対に着る。みんなのアバターというか。
愛コーラ:『あたしはアバター』。新曲ができた(笑)。
あたし:歌詞、書いてみようかな(笑)。
――あたしさんはまだ作詞をされてないんですよね。
あたし:そうですね。
愛コーラ:他のメンバーの作詞も見てみたいですね。みんな、良い歌詞が書けそう。あたしさんは『あたしはアバター』で決まりましたけど。
――あたしさんが滝音として東京に進出したことで、全員の活動拠点が東京となりました。忙しいとは思いますが、これから何かやりたいこと、計画を立てていることがあれば教えてください。
あたし:先ほども出ましたけど、ツアーはいいですね。 全国でもやりたいです。
愛コーラ:基地みたいな場所を作りたいですね。そこに楽器を置けたり、バンドの練習もできたりするような……「ごくごくBASE」みたいな、自分たちの空間が欲しいです。
――「もっと番組に出てほしい!」という声も多くありそうです。
あたし:もともとの目標が『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)出演と、日本武道館でライブだったんですよ。それが一番オモロいというか。Mステはタモリさんに会える番組なので、出たいですね。
(取材:浜瀬 将樹)
07/10 12:00
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