あさこさん(瀬奈じゅんさん)の芸能生活30周年記念コンサートを終えて。夢のような時間をもう一度振り返る
(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
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夢のような時間
夢のような時間とは、まさにこんな時間のことを言うのでしょう。
まだ2週間しか経っていないのに、もっと前だったかのように感じたり、本当にあったのかとも思ったり、ふわふわしているような、でもあの時の景色や匂いや体感はしっかりと記憶に残っています。
そんな夢のような時間をもう一度振り返ってみようと思います。
前回、初日の幕が上がる直前に残念ながら中止になってしまったあさこさん(瀬奈じゅんさん)の芸能生活30周年記念コンサート。
このコンサートを成功させたい!
言葉にせずとも、誰もがそう思っていました。
出演者の彩乃かなみさん、宇月颯さん、晴音アキさん、そして私。
演出家の三木章雄先生、音楽監督の吉田優子先生、振付けのKAZUMI-BOY先生、千田真司先生、スタッフの皆様。
そしてファンの皆様も待っていました。
それがひしひしと感じられ、みんなの想いは一つでした。
こんなに愛されている人っているでしょうか?
瀬奈じゅんさんの約2年越しのリベンジコンサートは、みんなの熱い想いの中スタートしたのでした。
トップスターにしか出来ない技
コンサートのゲストも豪華でした。
1日目のゲストは、大空ゆうひさんと霧矢大夢さん。
2日目のゲストは、春野寿美礼さんと大鳥れいさん。
トップスターが4人も。
トップを張っていた人の舞台の埋め方に、リハーサルから完全に吸い込まれました。
出てきて歌い出した瞬間から、その人の色と世界観で空間を支配します。
どの人も劇場の空気を一瞬にして自分のものに変えていきました。
これは技術ではなく、トップスターにしか出来ない技です。
特に驚いたのは大空ゆうひさん。
ゆうひさんのソロは、映画『カサブランカ』の『As Time Goes By』でした。
昔からゆうひさんの持つ独特な雰囲気が好きでした。
最高のトリオ
そんな独特な雰囲気がもっと色濃くなっていて、あっという間に劇場はアンニュイなゆうひさんの世界に変わりました。
直前に、瀬奈じゅんさんと霧矢大夢さんと3人で爆笑のトークを繰り広げていたとは思えないほど、空気をガラリと変え、引き込まれました。
舞台袖から眺めながら、懐かしさと感動で胸が熱くなりました。
歌唱力がますます素晴らしくなっていた霧矢大夢さん。
彼女の歌声と関西弁が懐かしく、思わず笑顔になります。
大好きな3人の並びをまた舞台で見れるなんて。
しっかりものの霧矢大夢さん、段取りを間違えるゆうひさん、すかさず突っ込むあさこさん。
最高のトリオでした。
早く来すぎた2日目の朝
2日目、12時半公演なのに張り切り過ぎて9時前に楽屋入りをした私。
早すぎてまだ楽屋は開いていませんでした。
劇場付近に人もなく、劇場前にある瀬奈じゅんさんのポスターの前で2ショット写真を散々撮って時間をつぶしました。
そんな早く来すぎた2日目の朝、もう一人早く来られた方がいました。
春野寿美礼さんでした。
オサさん(春野寿美礼さん)とは組が違ったので、あまり接点もなく、そんなにお話したこともありませんでした。
「おはようございます。ずいぶん早いですね」と話しかけると、
「だってもう始めないと私間に合わないんだもん。リハーサルもあるし」
常にすっとしているイメージだったので何だか意外でした。
「そう見えるから誤解されやすいの」と笑いながら話してくれました。
圧倒的な存在感
楽屋ではそんな感じのオサさんでしたが、舞台に登場して歌い出した瞬間から圧倒的な存在感を放っていました。
どこまでも飛んでいくのびやかな歌声は健在で、劇場中に響き渡っていました。
時間を大幅にオーバーしたあさこさんとの兄弟のような爆裂トークも、最後に締めるところはきちんと締め、あさこさんに愛のあるメッセージを送ったところも素敵でした。
そんな2人の中に入っていける大鳥れいさんは大物です。
出番前もあさこさんとオサさんを舞台袖から温かく見守っていました。
どんと構えながらも、いろんなところに気をまわし、空気を読みながら、きちんとスマートにオチを入れる本物の関西人です。
同期ながらも尊敬してやまない人です。
あさこさんの人望の成せる業
みんな退団してからずいぶん時が経っています。
ともすれば、昔との違いを大きく見せてしまうかもしれないリスキーな公演にもかかわらず、誰もが進化していました。
焦るほど、皆さん素敵に輝いていました。
客席には、上級生や下級生や現役生など組を超えていろんな人の顔が見受けられました。
これもひとえにあさこさんの人望の成せる業です。
もう二度と見ることはないと思っていた景色でした。
あさこさんと彩乃かなみさんのデュエットや、舞台袖からの景色。
後ろから見るあさこさんの背中、変わらないダンス、目線の飛ばし方。
一気にあの頃にタイムスリップした気分になりました。
祭りの終わりはどこかさみしい
青春のすべてをかけた場所で、あさこさんを中心に一つの目標に向かってみんなで進んでいたあの頃。
組長として組をまとめようと頑張っていたあの頃。
あさこさんの背中を追いかけ、いろんなことを学び、いろんな言葉をもらい、今があるのだと再確認した時間でした。
祭りの終わりはどこかさみしく、夢のような時間の思い出を胸に、またそれぞれの場所でそれぞれの人生が始まります。
私が言うと許されないようなことでも、あさこさんだと不思議と許されてしまうという、誰からも愛され最も許されている人、瀬奈じゅんさん。
男でも女でもない「性別瀬奈じゅん」の第3章が始まります。
どこまでも進化し続ける瀬奈じゅんさんを、これからも追い続けようと思います。
11/20 10:00
婦人公論.jp