くわばたりえさんが『徹子の部屋』に出演。夫と3人の子育てについて語る「ちゃんとできない自分を今は許すように」

撮影:藤澤靖子
2024年8月30日の『徹子の部屋』に、お笑いコンビ「クワバタオハラ」のくわばたりえさんが登場します。大阪から上京した後、現在の夫に出会い、3人の子育てに奮闘中とのこと。一番大変だったという保育園時代を振り返ります。今回は、くわばたりえさんと、ナチュラルライフ研究家の佐光紀子さんが家事について対談した『婦人公論』2019年10月23日号の記事を再配信します。


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3人の子どもを育てながら、仕事に主婦業にと奮闘中のくわばたりえさん。著書『家事は8割捨てていい』の著者・佐光紀子さんに、「家事の手抜きは後ろめたい」と打ち明けるくわばたさんですが……(構成=福永妙子 撮影=藤澤靖子)

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料理をしなきゃという呪い

佐光 お子さんは3人なんですね。

くわばた 上の2人が男の子で、8歳と5歳。いちばん下が女の子で4歳です。

佐光 子どもの構成はわが家とまったく同じ。うちは、すでにみんな成人していますけど、くわばたさんはお子さんたちにまだ手がかかるし、お仕事をしていると大変でしょう。

くわばた よく思うのが、テレビを置く台って黒色が多いでしょう。ホコリが目立つんです。台がホコリと同じ色やったら、どんなにええかと。

佐光 毎日、掃除していられないですものね。

くわばた 他のママのブログを見ると、部屋はきれいに片付いているし、料理もすごい。自分もちゃんとしたらいいんやろな、と思うけど、できない。でも、できない自分を今は許すようにしています。

佐光 やっぱり「ちゃんとしなきゃ」と思うんですか?

くわばた もちろんです。子どもがいても、身なりはいつもきちんとしていて、家事もしっかりやっている人、いるじゃないですか。テレビのバラエティ番組でご一緒するタレントさんで、子どもに自らピアノのレッスンをしながら、食事の支度もしている人とか。朝ごはんも早起きして作っていて、「うちやったら、これ、夜ごはんちゃうの」というようなメニューで。そういうママが、みんなから口々に「素晴らしい」と言われるのを見ていると、「私、肩身が狭すぎる」ってなるじゃないですか。

佐光 比べるとそう感じてしまうのね。

くわばた そんなことがあった翌日は、ちょっと頑張るんですよ。朝ごはんはいつもパンと卵とヨーグルトですけど、今日はレタスをつけてみようかなと。切らんとあかんキャベツは無理やけど、ちぎるのはできまっせ、と(笑)。私にすれば、朝、ゆで卵を作るだけでも手間で、面倒くさいんです。

佐光 うちの朝ごはんは、冷奴に納豆とキムチをのせたもので、みんなそれを食べて出て行きます。基本、火を使わないようにしています。

くわばた なるほど、パーッと食べられて、おいしそう。ごはんのことでは、「今日はカップラーメンやけど」という日もあって。でも、子どもたちはめっちゃ喜ぶんです、「イエ~イ、ラーメン、ラーメン!」って。私は罪悪感があるから、野菜炒めを作ってラーメンの上にのっける。すると子どもは、「野菜炒めなんか、のっけるんじゃねえ」。

佐光 カップラーメンとして楽しみたい(笑)。普段あまり出てこないから、喜ぶんでしょう?

くわばた 他にも、そうめん、カレー……。手抜きメニューはいろいろありますが。

佐光 そういうのがあると、助かりますよね。でも、後ろめたい?

くわばた 何年か前、友だちに「うちに夜ごはんを食べに来ない?」と誘ったとき、「ラッキー、今日はカップラーメンだけの予定やったから助かるわ」と相手が言ったんですね。彼女、看護師をしていてめっちゃ忙しいんですけど、そのとき「えっ、昼やったらわかるけど、土曜の夜ごはんがカップラーメンって……」と、一瞬、引いた自分がいたんです。今は、私と子どもがいいのならええわ、と思うようにしてますけど。

佐光 「料理をちゃんと作るのがいいママ」という呪いがあるんですよ。

くわばた 多分、世間体も気にしてるんでしょうね、「こう思われてるのとちゃうか」と。赤ちゃんがいる友だちに、「今日の夕ごはんは、スーパーのお惣菜にしたら?」と言ったとき、「他のママに見られて、『自分で作らないで、買って帰るんだ』と思われるのが怖くて買えない」って。

佐光 「手作り弁当は愛情の証し」なんていう言葉もあるけれど、お弁当は作れなくても、子どもが部活の試合で負けて悔しがっているとき、「うん、うん」と一所懸命に話を聞いてるママだって、十分に愛情があるわけでしょう。

くわばた そうです、そうですよ!

「申し訳ない」なんて思わなくていい

佐光 日本の女性は家事に対して、「私がやらなきゃ」「ちゃんと」「きちんと」という思い込みやこだわりをもっている人が多いですよね。

くわばた 私もそのひとりです。

佐光 でもね、「女性は家事を完璧にこなさなければいけない」という刷り込みが始まったのは、多分、戦後からですよ。それより前の時代、商家や旧家の人たちは女中さんを雇って家事をしていたんですね。女中さんに指示を出すために、丁寧な家事のやり方は知っていたけれど、自分がやるわけじゃない。

くわばた そうなんだ。

佐光 それが戦後、使用人を雇う家は減り、核家族も増えた。そうしたなか、おかみさんと女中さん、両方の役割を一手に引き受けるようになったのが、専業主婦なんですね。きちんと家事をこなす女性は「主婦の鑑」なんて言われて。そういう母親を見て育った人たちも、「女性は家事をきちんとしなければ」と思う。

くわばた 私もそうですよ。それでなくとも、うちは両親が九州出身で、母はとにかく父を立てる。九州男児の父は家では何もしない王様で、家のことや子どものことは、すべて母がやるんです。母はパートで働いていましたから、共働きでも、家事は女がやるものと思ってましたね。

佐光 うちも、専業主婦の母が何もかもやっていました。父の身の回りのことも全部、母の担当。靴下まではかせていました。30年くらい前に父が脳梗塞で倒れたんですが、動けなくなって父はさぞ不自由だろうと思っていたら、何も生活は変わらない。本当に母まかせで、父は何もしてこなかったのね、と驚きました。もし先に倒れたのが母だったとしたら、父はまったく何もできないし、家庭崩壊でしたよね。うちに限らず、家事すべてを担う人が入院したりしたら、一大事ですよ。

くわばた うちでも、私らきょうだいが大人になってから、母はみんなに文句言われてますよ、「お父さんを何もできなくさせたのはあんたや」と。

佐光 ご夫婦で家事の分担はどのように?

くわばた うちのダンナはごはんも作るし、わりと何でもできるんです。だから、やれる人がやる、みたいなところはあります。私が仕事で疲れて何もしない時、たとえば夕食のあと、食器を洗わず、そのまま子どもと寝てたりすると、ダンナが全部洗ってくれているし。こういう話をママ友にすると、「すごいね!」と拍手されるんですよ。でも、私は毎日洗ってるやん。その私はすごくないけど、ダンナが洗ったら拍手って、それ、どうなん? とも。

佐光 そうです、そうです。

くわばた とは言いつつ、私もダンナがやってくれたら「ごめんね」となるんです。「やってもらってる」と。

佐光 日本の主婦はよく謝るけど、その「ごめんね」は、自分がちゃんとやってなくてダメだった、という思いがあるからでしょう? 責任を感じすぎじゃないでしょうか。

くわばた 「家事は夫婦2人でやる」と言ったりはするけれど、結局、女の人自身に「自分の仕事」と思っているところがあるんですね。

佐光 「ごめんね」と言われた側も、「やってあげたぞ」という気持ちになるじゃないですか。むしろ、「ありがとう」のほうがいいですよね。

くわばた 「申し訳ない」なんて、思わなくていいんですね。

〈後編につづく

※本記事は『婦人公論』2019年10月23日号の特集「家事はもう、がんばらなくていい」内に掲載されたものです。

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