原爆、焦土となった国土、戦争孤児…劇中に戦争映像を流し、差別問題を深掘りする『虎に翼』は<攻めている>?視聴者「時代の流れ」「知る・考えるきっかけに」「作り手の覚悟を感じる」

(『虎に翼』/(c)NHK)

8月2日の『虎に翼』

現在放送中の伊藤沙莉さん主演・連続テレビ小説『虎に翼』(NHK総合/毎週月曜~土曜8時ほか)。第18週「七人の子は生すとも女に心許すな?」の89回が8月2日に放送され、話題になっています。

*以下、8月2日放送内容のネタバレを含みます。

判決後、涼子(桜井ユキさん)の店で偶然一緒になった寅子らと杉田(高橋克実さん)たち。

戦争で娘と孫を亡くした杉田。彼の「戦争を止めることはできなかった」という言葉をきっかけに、航一(岡田将生さん)は戦争中に経験した「ある秘密」を語り始めーーといった話が描かれました。

あらためてあらすじ

今日の回で、航一が日米開戦前に「総力戦研究所」に所属していた事実が初めて明かされました。

研究所に集められた優秀で若い人材によってつくられた「模擬内閣」で机上演習を重ねたところ、「日本敗戦」という結論に至ります。

そこで、航一らはその結果を”軍事の中枢を握っていた”とされる人物へ報告するも、「研究に関する諸君らの努力は認めるが、この演習の結果は政府の方針とは何らの関係もない」と一蹴されてしまいました。

「その後、戦争は机上演習をなぞるように進み、そして日本は敗戦した」と話す航一。

「さすがに原爆投下は予想できませんでしたが」という航一の言葉と共に、劇中には零戦や原爆投下、焦土となった街、引き揚げ船、戦争孤児など、実際の戦争映像が流れるのでした。

ネットの声

戦争を深堀りし、さまざまな角度から差別問題にふれた今週の『虎に翼』。ネットでは<攻めている>という評価が多くみられているようです。

「戦争を扱う番組が激減。その結果、戦争映像がドラマの中でしか放送されない、という時代の流れ」「敗戦の記憶は日々薄れていく。私たちはそのことを自覚していかなければ」「知る・考えるきっかけを得る。それもエンタメの素晴らしいところ」「単純に差別はダメ、というだけではなく人間心理の深いところまで掘り下げて脚本を作ってるところがすごい」「空襲警報を彷彿させるサイレンの音で始まり、汽笛の音で幕を下ろす…。演出が圧巻」「今週は特に作り手の覚悟を感じた」といった声が交わされていました。

一方、同ドラマの脚本を担当している吉田恵里香さん(@yorikoko)もエックス(旧ツイッター)を更新。

「あらゆる差別をしてはいけない。戦争を繰り返してはいけない。そんな当たり前のことが当たり前ではなくなっている気がします。今週のメッセージが攻めていると思えてしまうことに恐怖を覚えます。日本の敗戦から79年が経とうとしている今こそ、立ち止まり、平和を守る責任を果たしませんか?」

とつぶやいていらっしゃいました。

朝ドラ通算110作目となる『虎に翼』は、日本初の女性弁護士で後に裁判官となった三淵嘉子(みぶち・よしこ)さんがモデル。昭和の法曹界を舞台に、激動の時代を描いたリーガル・エンターテインメントです。

仲野太賀さんや石田ゆり子さん、松山ケンイチさんらが出演し、尾野真千子さんが語りを、脚本は吉田恵里香さんが担当。

主題歌『さよーならまたいつか!』は米津玄師さんが手掛けています。

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