青木さやか「高知東生さん出演の依存症をテーマにした映画『アディクトを待ちながら』が連日満席。印象が変わった高知さんの自己開示、私も見習いたい」

映画「アディクトを待ちながら」舞台挨拶 高知東生、青木さやかなど出演者

(写真提供◎青木さん以下すべて)
お笑いの仕事だけでなく、女優・エッセイストとしても忙しい毎日を送る青木さん。今回は「高知東生さんの自己開示後輩として」を綴ります。

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【写真】パンフを手に、高知さんはじめ、皆さんと記念撮影

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映画「アディクトを待ちながら」舞台挨拶

映画「アディクトを待ちながら」が連日満席の入り。

ギャンブル依存症、アルコール依存症、ゲーム依存症、薬物依存症、買い物依存症、ゲーム依存症…。
依存症者(アディクト)多数出演、依存性からの回復を題材とした問題作。

まるでドキュメンタリーをみているような感覚になりつつ、いやしかし、エンターテイメントであり、虚実ないまぜ、不思議な世界に入りつつ、結果ものすごいリアルで生々しいものが残る。

共に実生活でギャンブル依存性の家族を持つナカムラサヤカ監督と田中紀子プロデューサー。出演は高知東生さん、橋爪遼さん、杉田あきひろさん、塚本堅一さんをはじめ、実際の依存性者やその家族が多数出演している。(わたしもワンシーン出ています)

7月5日新宿のKs cinemaでの上映後に、田中プロデューサー、ナカムラサヤカ監督、出演者の方たちと挨拶に立たせていただいた。

映画「アディクトを待ちながら」ポスター

映画「アディクトを待ちながら」ポスター

挨拶でスベッたわたし

お客さんたちは、上映後1人も席をたたず我々の話を聞いてくれた。
なんというか、とても真剣に。
わたしはこの日、客席で映画を観たのだが、息をのんだり、すすり泣きをしたりする客席の集中をすでに感じていた。

わたしが挨拶をする番になり

「美容院に出てくる保険屋さんの役で、週刊誌に書いてあることを真に受けて芸能人に嫌味をいう、芸能人なんて嫌味を言われてしかるべきでしょって思ってる、役です」

と、正確に自分の役柄を伝えることで笑ってもらえるかな、と思ったらスベったから、早々に隣にいる高知東生さんにマイクを渡した。高知さんは、にこにこ笑って、「ありがと、さやかちゃん」と、小声で言った。

高知東生さんという方は、もちろん先輩で、ドラマ「曲がり角の彼女」でご一緒させていただいたのは2005年のことだ。稲森いずみさん演じる不倫がやめられないバリキャリ(綺麗だったなー!)の新たな恋の行方はいかに?というドラマ。芸能界に入り立てのわたしは、そのドラマの世界も高知東生さんのこともきらきら輝いて見えていた。

再会したのは、2020年。高知さんの復帰作になった、Twitterドラマ「ミセス・ロスト~インタベンショニスト・アヤメ」(ギャンブル依存性問題を考える会制作)

20年近く、時折ご一緒させていただいているが、こんなに印象の変化した方はなかなかいない。そりゃそうだろう、と言われてしまうかもしれないが、決して世間の印象ということだけではなくて、ご本人が醸し出すものが全く違う、と感じるということだ。

高知東生さんのことばは、Xなどで時々話題になったりするが、ズドンと強くこちら側に伝わってくる。

青木さんの著書『母』

本連載から生まれた青木さんの著書『

自己開示先輩

アディクトを待ちながらのパンフレットによせる、高知さんの文章はパンチがあって何度も読んだ。

「見栄を張り、強がり、平気な振りをする。それが俺の生きづらさだと気づいたのはだいぶ後のことだ。そんなことを言ったら生きづらい奴なんていなくね?と俺は仲間に尋ねる。ええ、そうですよ。だから我々は選ばれし者なんですよ。なんせそれを認めて、自分から言えるんですから。なるほど、そういうことか。でも世間的には負け犬に見えるんですから、面白いですよね。確かに面白い」

自己開示して、内側にある見たくない自分をあぶり出していく作業は、大変だったし辛かったに違いないけれど、わたしも、自分の奥をあぶり出す作業を、事あるごとにするようにしている。

知ることは癒しという言葉があるほど、自分を知れば知るほど、ラクに生きられることであるということを知ってしまったし、隠したいことほど先に言ってしまった方が、これまたラクに生きられるということを知っているからだ。

確かに、自己開示すればするほど、負け犬だと思う人もいるかもしれない。

2005年の高知さんは、芸能人としてかっこよかったし、

この前隣にいた高知さんは、自己開示先輩としてかっこよかった。

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