青木さやか「自分発企画、大泉洋さんと北海道・旭川市でトークショー!翌日はなぜかタクシーで路線バスを追いかける羽目に」
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【写真】どんな化学反応が?「大泉洋with青木さやか ザ・トークショー」
「大泉洋with青木さやか ザ・トークショー」を開催
「with青木さやか」というイベントを立ち上げた。全国各地で、その土地に縁のあるゲストと楽しい時間をお送りするイベント。各地の行政と連携し、売り上げの一部を寄付する。
初回は北海道旭川にて「大泉洋with青木さやか ザ・トークショー」を開催。盛り上がるとはこういうことか!洋さんの登場で割れんばかりの拍手と悲鳴?がやまない(とめなかったら90分そのままだったに違いない!凄すぎる!)
おかげさまで無事終了。洋さん、皆さん、ありがとうございました。
興奮も安堵もあったが、わたしは、なんだか想像通りに行かなかったことで、意気消沈し娘に電話。
「ママ、いま終わりました。洋さんとのライブ」
「だれ?」
「大泉洋」
「すご!」
「洋さんに助けてもらって盛り上がった」
「いいじゃん」
「だけど、ママが思ったのと違った、ママが考えたクイズとか、あんま。それに洋さんの話がどこまであるかわからなくて進行が変だった」
「そういう時もあるよ」
「打ち合わせした方がよかったのかな」
「そうかもね」
「もっと、うまく、まわせると思った」
「次、頑張れば」
「だけど、初めてにしてはうまくいったとも言える」
「よかったじゃん」
「だけど、ゲストの話を変に切ってしまったな、もっとうまく、できると思ってた」
「もう電話切っていい?」
旭川から美瑛への節約旅
わたしは、旭川の町で、佇んだ。
with青木さやかの立ち上げに、ここまで走ってきた。終わった。
兎も角、元気に旭川に来ることだけを考えて、前日には北海道に入ろう!とか色々。帰りの飛行機をとることすら、失念していた。
明日は、何もない。ちょっと落ち着こう。それに、ここまで頑張って準備してきたじゃないか。自分を労おう。
7月後半の旭川は30度をこえ、暑かったが、日影に入ると途端に涼しい。
Instagramにライブの様子を載せると、多くのメッセージが入っていた。お客様からで、楽しかった嬉しかった洋さんに会えたありがとうメッセージの中に、「もし旭川から旅に行くなら美瑛の温泉がよい、富良野のラベンダーも見頃」というものを見つけ、そうしようと決めた。
翌朝、わたしは連泊しようとホテルに聞いたが満室。そこで、近くのドーミーインのシングルをおさえ、荷物だけ置いて旭川駅前のバス停に向かった。
わたしは、いま人生で初めて、節約に挑戦しているのだ。収入より支出が多いここ数年(ダメだろ!)カードでいくら使っているかも把握せず(どうにかしたい!)だからできるだけ、ここ半年現金主義で動いている。
というわけで、美瑛の温泉に泊まる手もあったが、お金の計算をしてみると明らかに旭川のホテルに泊まり、美瑛までは路線バスが一番安価。片道90分、1200円ほどでいけるのだ。
乗車するはずのバスに乗り遅れ
ドーミーインに荷物を預け、手ぶらで出発。スマホと財布とオヤツをポケットに入れ、これぞ本当の手ぶら!11時20分のバスに乗るため歩き始めたが、旭川の道は広く、日影がほとんどない。暑い暑いと止まったり、おお、ここのラーメン屋さんは列が!とか、覗いていたらあっという間にバスの出発時間が近くなってきた。いかんいかんと、急ぎだすが51歳の体は、そんなに急げない。と、200メートルほど先にいるバスが(多分、あのバス)出発してしまった。
いけない!美瑛白金温泉までは、あれでいかねばならないのだ、確か、美瑛までJRで行けても、そこからバスが相当ない。
よし、ここは、あのバスを追いかけて、先回りして、次のバス停から乗ろう!頭いい!とタクシーに乗り込んだ
「運転手さん、あの、あーもう見えないけど、道北バスの、美瑛行きのバスを追いかけてください、で、追い越してもらえますか?」
「え?」
「ですんで、あの、バスに乗ろうと思ってですね、でも、行っちゃったんですよ、だけど、乗りたいんです、バス、だから、追いかけて、追い越してもらえますか?」
「わかった」
「ありがとうございます!」
「どっち行ったの?」
「バス?」
「バス」
「あっちです!」
「あっちじゃないけどねえ、美瑛は」
「え」
「あっちだよ、美瑛は」
おじいさんは、反対側を指差した。
「でも、たしかに、11時20分に出発したバスは、あのバスしかなかった」
「あれやない?ぐるーと、回って、人乗せて、行くんやないの?」
「ああ、そうですかね、でもでも、大丈夫、このルートでバスを追いかけてください!」
なかなかバスに追いつかず……
わたしは道北バスが、旭川を出て美瑛までどの停留所に停まるのかを調べ運転手さんに伝えた。遠回りやけどねえ、と言いながら、タクシーは、ようやく出発した。
わたしは、都内でよくバスに乗る。各停留所で止まり、人を下ろして乗せて、すぐに追いつくはずだ。
ところが、なかなかバスに追いつかない。わたしを乗せたタクシーは、市街地をすぎ、国道に入った。
「遠回りしなかったら、あんた、もう追いついとったよ」
「すいません」
「遠回りしたからね、人を乗せるから、バスは、だから、ぐるーとまわるから、先回りして国道に出とったら。遠回りしたからね」
おじいさんは、壊れた人形のように遠回りをした件について繰り返した。メーターはすでに2000円をこえていた。
「あ、あれじゃないですか!バス!」
前方に見えるのはたしかにバスだ。トラックじゃない
「あれだねえ」
「バス停で止まれば、追い越して、そのまた次の乗れますね!」
ゴールは見えた、と思ったら、そこからがスタートだった。都会と違って、バス停にはどうやら人がいないのだ。バスは止まらない。そして、国道だからか、なかなかのスピードでバスは走っていく。タクシーのおじいさんは、タコメーターがあるからスピードは出せないからねえ、と言う。なんならバスより遅い。
メーターは4000円目前。
気がつくとバスに先導してもらいながら、延々タクシーで美瑛に向かっていた。
節約旅を希望していたが
バス先導のタクシー青木様がゆくVIP旅に変更。
色々なことが忘れられない旭川。
07/29 18:00
婦人公論.jp