中村倫也、朝ドラ『ブギウギ』にクセ強ダジャレキャラでサプライズ登場!「癒やしは、猫のシャンプー動画を見ること。ペンギンも飼ってみたい」
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ゆるふわ大学生から元暴力団員まで、振り幅の大きい役柄を独特な色気と存在感で演じて魅せる、俳優の中村倫也さん。ブレイクまでの壁と、今の癒やしは――。
(撮影=宅間國博 構成=上田恵子)
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【写真】こちらを見つめる表情にドキ!「人間、壁を乗り越えるだけが成長ではない」と語る中村倫也さん
20代中盤で直面した大きな壁
僕という人間は、皆さんの目にどこか謎めいた存在として映っているのでしょうか。以前から「何を考えているのかわからない」とか「壁を感じる」などと言われがちで、役者になってからも「カメレオン俳優」「ゆるふわ」「つかみどころがない」などの形容詞をつけて紹介されることが多いのです。
そうか、僕ってそんなふうに見られているんだなーと思う一方で、「なるほど、まだ形容詞が必要なポジションなのか」と、わが身を振り返ってみたり……。すでに確固たる地位を築いていらっしゃる俳優さんは、そういう言い方をされないですもんね。とはいえ、全部ひっくるめて面白いので、最近では「もう好きなように見てもらって構わないです、どうぞどうぞ!」という気持ちでいます。(笑)
僕は今年35歳になります。今でこそ壁にぶつかってもそれなりに対処できるようになりましたが、20代で直面した「仕事がない」という壁は大きくて、乗り越えるのが大変でした。しばらく見ないふりをしていたものの、「いいかげん、これは認めなきゃならんな」と腹をくくったのが20代中盤。年齢的にも、このまま役者を続けるのか、続けたとして食っていけるのかを判断する最終ラインだったと思います。
自分のやりたいこと、できること、現場、需要、期待などを考えた結果、シンプルに「好きだからやりたい」という結論が出て。やりたいならやるしかないと、その後もなんとか生きてきて、現在に至ります。
もちろん障壁はその都度ありますが、最近は以前のように真正面からぶつかることはしなくなりました。いろいろなものが複雑に絡み合い、こんがらがってできた「悩み」というでっかい塊を、一つ一つほどいていく作業のやり方を覚えたと言いますか……。
人間、壁を乗り越えるだけが成長ではないですしね。やらなきゃいけないことはやるべきですが、全然できないことを無理にやる必要はない。ある意味、壁を壁として存在させない、なんなら壁を分解する術を身につけたと言えるのかもしれません。
シュッとしていない安倍晴明を演じます
このたび劇団☆新感線の41周年興行いのうえ歌舞伎『狐晴明九尾狩』に出演させていただくことになりました。僕は陰陽師の安倍晴明を演じます。新感線の舞台への参加は5年ぶり、しかも初めての歌舞伎。これまでになかった主役のキャラクターだと思うので、自由度高く、遊びも入れながら作っていけたらと考えています。
安倍晴明って、なんとなくシュッとしている感がありますが、僕は今回、あまりシュッとさせるつもりはなくて。台本の読み方もイメージの仕方も、役者の数だけありますからね。今は稽古場で共演者と芝居を合わせる瞬間を、緊張しながらも心待ちにしているところです。
晴明と戦いを繰り広げる賀茂利風を演じるのは向井理さん。同じ陰陽師であり、他の人には理解できないことも共有できる唯一無二の友人だった利風が、体を妖狐に乗っ取られたことで晴明の敵になってしまう。
晴明と利風の息もつかせぬシーソーゲームのようなバトルシーンが大きな見せ場になりますが、2人の関係性の切なさが垣間見えることで、結果として1つの青春劇のように見えたらいいなと思っています。
おさむっちがどんな悪役を演じるのか、現段階ではまだ想像できなくて……。彼の《ド悪役芝居》と対峙するのが、今から楽しみです。
猫のシャンプー動画が今の癒やしです
舞台ってものすごく健全ですよね。志のある人間たちが「こういうものを作ろう」と集まって、1ヵ月から1ヵ月半のあいだ頑張って稽古をして、いざ幕が上がって面白ければ心のこもった拍手をいただける。
反対に、面白くなければ「マナーだからやっとくか」くらいのカーテンコールを求められる(笑)。それも正直にわかるんですよ、舞台の上にいると。そういったもろもろも含めて、健全だなと思います。
今は『狐晴明九尾狩』に向けて、体幹トレーニングをしているところです。体調管理は日頃からマメにしているため、基本的に体調は崩しません。二日酔いになるまでお酒を飲まないのと一緒で、コンディションに影響が出ないよう、日々気をつけながら過ごしています。体のメンテナンスを含め、いろいろなことを自分のコントロール下に置いておかないと、困るのは自分ですから。
現在の癒やしは、猫のシャンプー動画を見ること。濡れて毛がペシャッとなると、思ったより細くなって可愛いんですよ。嫌がって鳴いている子、諦めている子、キョトンとしている子など、いろいろな子がいて楽しいです。でも実際に自分で飼うなら、今は猛禽類がいいですね。ワシミミズクとかかっこいいと思います。ペンギンも飼ってみたいです。
もし僕が何か不思議な力を使えるとしたら、やっぱり世界平和につながるものがいいかな。――あれ、クスクス笑っている人がいますね? 真心から出た言葉なんですけど。考えますよ、それは。どうしたら世界が平和になるのかなって。まあ、答えは出ずに今に至っているんですけど。
なので不思議な力を使えるとしたら、自分が持っている一万円札がもう一枚増えるとか、そういう能力がいいんじゃないですかね。ひいては、それが世界平和にもつながるかもしれない……どうでしょう?(笑)
03/18 09:30
婦人公論.jp