「一生ママって呼ばれないかもしれない」2歳息子が“発達障害”と診断され絶望…落ち込む倉持由香(32)を救った、プロゲーマー夫の“的確すぎる言葉”

「私のおっぱいを飲んでくれない」「2歳になっても言葉が出ない」息子の“発達障害”発覚…倉持由香(32)が語る、長男が「自閉スペクトラム症」と診断された経緯〉から続く

 2021年、第一子となる湊さんを出産したグラビアアイドルの倉持由香さん(32)。今年、その湊さんが自閉スペクトラム症であることを公表した。夫でプロゲーマーのふ~どさんとともに、湊さんの特性にどのように向き合ってきたのか。また、自身のキャリアについても振り返ってもらった。(全3回の2回目/3回目に続く

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倉持由香さん ©杉山秀樹/文藝春秋

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「もしかしたら一生、ママって言ってもらえないかも」

――今年、一人息子の湊さんが自閉スペクトラム症であることを明かされました。公表のきっかけは?

倉持由香さん(以降、倉持) 去年末に自閉スペクトラム症の診断を受けたんですけど、その直後にメイクさんから、「うちの子も今2歳なんですよ! いっぱい喋って可愛い時期ですよね~。“ママ、ママ”ってずっとべったりでうるさいくらい!」みたいなことを言われて。

 その方にはもちろんまったく悪気はないんですけど、「私はもしかしたら一生、ママって言ってもらえないかもしれない」「うるさいくらい“ママ”って言って欲しい」と思ってしまって、返す言葉に詰まっちゃったんです。

――その場で明かすのもなかなか難しいですよね。

倉持 その前から、喋らない湊を見た知人から、「男の子って発達がゆっくりな子も多いから」と言われていたんです。でも、いつまで皆に「男の子って遅いから」の言葉を言わせてしまうのか考えてしまって。かといって嘘をつくのも違うと思ったとき、これは湊のありのままを知ってもらったほうがいい、と思ったんです。

ハッとした夫の言葉「湊のことを2人で一緒に攻略しよう」

――夫であるプロゲーマーのふ~どさんからも後押しが?

倉持 自閉スペクトラム症の確定診断を受けた後、私が何も手につかないくらい落ち込んでしまって、夫がずっと湊の面倒を見てくれていたんです。

 そのとき、「いつまでもふさぎ込んでいても時計は止まったままだよ。湊はもう産まれてここにいるんだから、これからの未来のことを考えて、時計を進めていかないと。湊のことを2人で一緒に攻略しよう」と言われてハッとして。

 湊のことを思うなら1日でも早く行動をするべきで、母親の私が塞ぎ込んでる場合じゃないんですよね。プロゲーマーらしい言葉選びも含めて、「たしかに!」って心から納得できました。

――「攻略」というところに、プロゲーマーを感じます。

倉持 夫のこういうところが好きで結婚したんだったと、改めて思いました。

「なんで注意しないんですか」「しつけがなってない」と指摘されることも…

――湊さんのことを公表したことでどんな反応がありましたか。

倉持 もっと誹謗中傷がくるかなと思ってましたけど、9割5分、ポジティブな反応でしたね。本当にありがたかったです。一方で、発達障害を理解してもらうことの難しさも感じていて。

――具体的にはどういったことでしょうか。

倉持 もし足に障害のある子だったら、「歩かせればいいじゃないですか」とは言わないですよね。でも、発達障害は目に見えないぶんわかりにくくて、「なんで注意しないんですか」とか、「しつけがなってない」みたいになりがちなんです。

――湊くんの行動で周りから注意を受けることがあると。

倉持 湊がずっとソファの上で飛び跳ねるので、半年でソファがダメになってしまったことをSNSに投稿したら、「飛び跳ねさせなければいいのに」とか、「うちは3人子どもを育ててるけど、みんな聞き分けがいいのでものが壊れたことなんかありません! 躾がなってない!」みたいなリアクションがあって、グサッと刺さりました。

飛び跳ねてるときの息子はとても幸せそう

――飛び跳ねるのも、湊くんの特性のひとつ?

倉持 自閉スペクトラム症の子は足の裏の感覚が鈍いことがあるようで、刺激を求めて飛び跳ねたりするんです。それで気持ちが落ち着く子もいるみたいで、たしかに湊も、飛び跳ねてるときはとても幸せそうなんですよね。

 あと、テーブルにもよじ登ってしまうんですよ。だから、一時期は家の椅子を全部横に倒して遠くに置いて登れないようにしたんですけど、それもすぐに全部攻略されちゃって。ちゃんと椅子を縦に戻して、ズリズリ引っ張ってきて登るんです。パパ譲りなのか攻略が上手いんですよ(笑)。

――発達障害について知識がないと理解されにくい特性があると。

倉持 定型発達の子だったら注意も聞けるかもしれないけど、知的な遅れもある湊にはなかなか厳しいですね。もちろんダメなことをしたときは「ダメだよ」「◯◯しないでね」と注意はするのですが、逆上して引っ掻かれたり髪を引っ張られたりしちゃうんです。フルパワーで来るので普通に痛いんですよ。

  飛び跳ねるのが至福の時間で、湊らしくいられる時間なのかなと思うのと、危なかったり、他の方に迷惑がかかることでなければなるべくやらせてあげたいなとは思いますね。

タワマンから戸建てに引っ越した理由

――タワマンから戸建てに引っ越しをされたそうですが、それも湊さんのことを考えて?

倉持 最初は夫の仕事の都合で引っ越したんです。タワーマンションって、300戸とかに回線を分け合わなきゃいけないんで、ネットの速度が遅くなりやすくて。そうすると、プロゲーマーとして自宅からオンライン大会に参加する夫の仕事に致命的な影響が出るので、10ギガ回線を引けるようにと、タワマンを売って戸建てに引っ越したんです。

 でも、今となっては、湊もどっすんどっすん飛び跳ねるんで引っ越して本当に良かったと思いますし、今後も戸建てじゃないとちょっと無理かなと思ってます。

夫から「発達障害の理解を広めていくのが大事」と言われ…

――お子さんを育てている方でも、発達障害についての理解はなかなか進んでいないと感じる?

倉持 理解してくださる方ももちろんいますが、定型発達の子を育てている方との噛み合わなさを感じることはあります。子育て中の方にさえ伝わっていないのなら、子どもを持っていない方にはさらに遠いものかもしれないですし。

 少し前まで偏食もすごくて、ずっと素うどんと素ラーメン、フライドポテト、バナナ、蒸しパンしか食べなかったんです。そうすると、「もっと野菜を入れて栄養バランスを考えないと」みたいに言われて。こっちとしては、「散々いろいろな食事を準備して、全部床にぶちまけられてきた結果なんですよー!」って(笑)。

 夫からも、「だからこそもっと伝えていって、理解を広めていくのが大事なんじゃない?」と言われました。その通りだなと。

子どもを産んで夫をより好きになった

――お子さんを持ったことで、ふ~どさんとの距離がより近くなった感じはありますか。

倉持 子どもを産んで良かったことのひとつが、夫をより好きになったことですね。私はどっちかというとネガティブで、すぐ落ち込んだり泣いたりするんですけど、15年一緒にいて、彼が感情的になったところを一度も見たことがなくて。声を荒げたり怒ったこともないし、ずっと穏やかで冷静なんですよ。

――子育てが始まってからも衝突もなく? 

倉持 子育てに関してはむしろ、予想以上に積極的でしたね。哺乳瓶の洗浄からお風呂、おむつ替えまで、なんでもできます。ただ、夫は掃除や洗濯などの家事をあんまりやらないんですよ。その代わり、私がやらなくてもまったく怒りもしないんですけど。

――倉持さんに家事を求めることもないけど、自分も率先してはやらないと。

倉持 そうですね。結婚前、夫は他のゲーマーの方と共同生活をしていたんですけど、ゲームに負けた方が家事をする取り決めだったらしく、強かった夫はほとんど家事をせずにきてしまったみたいで、結婚するまでTシャツのたたみ方も知りませんでした。

 というかそもそも、「洋服なんて洗って乾かしたらそこから着ればいいじゃん。なんでたたむ必要があるの? 無駄じゃない?」みたいな“効率厨”なところも大きいですけど。

「ゲームセンターでよく遊んでて…」夫・ふ~どさんと交際した経緯

――ふ~どさんとお付き合いするようになったきっかけは?

倉持 15年くらい前、格闘ゲームのイベントで板橋ザンギエフさんというプロゲーマーの方の紹介で初めて会って。私がそのとき一目惚れしたんです。

――ゲームしている姿がカッコよかった?

倉持 それももちろんカッコいいんですけど、見た目が好みだったんです!(笑)。その後も、「中野TRF」という中野ブロードウェイにあるゲームセンターでよく遊んでて、帰りも地元の船橋まで総武線が一緒だったのでよく喋るようになり、交際に至りました。

 夫は今年39歳ですが、今でも世界レベルの最前線にいるのですごいなあと。恋心って数年で消えるものだとは思うんですけど、15年経ってもずっと根底に夫への尊敬の気持ちがあるので、頻繁に惚れ直してます(笑)。

「倉持さんが公表してくれて励みになります」という声も

――子育てや仕事で大変な日々かと思いますが、どんなことで息抜きを?

倉持 絵を描くのが好きなので、ハッシュタグ「#みなとえにっき」って付けて、X(旧ツイッター)を更新することですかね。

 自閉スペクトラム症の子を育てている親御さんからコメントをいただくようにもなって、「誰にも言えなくてずっと苦しんでたけど、倉持さんが公表してくれて励みになります」みたいなメッセージもらえると本当に嬉しくて。辛い時は、そういう嬉しかったDMをずっと見返してます。

――親御さん同士で交流ができたんですね。

倉持 はじめはすごい孤独感を感じたんです。ママ友の中にも同じ障害を持っている子はいなかったし、この先うちはどうなるんだろうとかでいっぱいいっぱいになっちゃって、未来に希望を持てない状況になっていました。

 そんなとき、ひたすら自閉スペクトラム症の漫画や小説、コラム記事とか、いろんなものを読み漁って、すごく救われたんですよね。当事者の方や親御さんが書かれた本を読むと、「うちだけじゃなかったんだ」というのがわかって、何より励みになりました。

――同じ悩みを持つ人がいることが心の支えになったんですね。

倉持 「ずっと言葉が出なかったけど、小5になってぽつぽつ会話ができるようになりました」とか、皆さんの経験談でこの先に希望が持てたのはありますね。

 湊はこの先どうなるかわからないんですけど、ふさぎ込むんじゃなくて、私たちなりのベストなかたちを探していきたいなと思っています。

〈つづく〉

撮影=杉山秀樹/文藝春秋

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(小泉 なつみ)

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